老後を見据えた最適な住まいづくりとは

近年、「老後のことを考えて平屋にしたい」というご相談をいただく機会が増えています。

実際に、国土交通省の令和6年度住宅市場動向調査では、新築注文住宅を取得した方のうち**30代が42.1%**と最も多く、住まいづくりの中心世代となっています。

30代で家を建てる方が増える一方で、「老後に階段が大変だから」「将来を考えると平屋が安心」という理由から、家の形を先に決めてしまうケースも少なくありません。

もちろん、将来を見据えることはとても大切です。

しかし、本当に考えるべきなのは「老後に住みやすい家」ではなく、「人生を通して豊かに暮らせる家」ではないでしょうか。

人生の大半を過ごす住まいだからこそ

厚生労働省が公表した令和6(2024)年簡易生命表によると、日本人の平均寿命は男性81.09歳、女性87.13歳となっています。

30歳で住まいを建てた場合、多くの方は50年以上その家で暮らすことになります。

つまり、住宅は「老後」のためだけではなく、

  • 子育てを楽しむ時間
  • 家族との思い出を育む時間
  • 趣味や仕事を楽しむ時間
  • 子どもが独立した後の夫婦の時間
  • 孫と過ごす時間
  • そして老後

という、人生のさまざまなステージを支える場所なのです。

だからこそ、「老後だけ」を基準に住まいを考えてしまうのは少し視野が狭くなってしまうかもしれません。

家族の形は、何度も変化していく

住まいは完成した瞬間がゴールではありません。

家族とともに成長し、役割を変えながら長く暮らしていくものです。

幼児期

子どもが歩き始め、言葉を覚え、毎日新しいことに挑戦する時期です。
安心して遊べる空間や、室内の温熱環境・空気環境など、健康に配慮した住まいづくりが大切になります。

学童期

勉強やスポーツ、友達との交流など、子どもの世界が大きく広がります。
ダイニングで宿題を見守ったり、庭で思い切り遊んだりと、家族が自然とコミュニケーションを取れる住まいが暮らしを豊かにしてくれます。

青年期

自分だけの時間を大切にしながらも、家族とのつながりも必要な時期です。
適度な距離感を保ちながら自然に顔を合わせられる住まいは、親子のコミュニケーションを支えてくれます。

成人期

子どもが独立し、結婚や出産を経て、今度は孫が遊びに来る暮らしが始まるかもしれません。
家族みんなで食卓を囲み、世代を超えて集まれる住まいは、新たな思い出を育んでくれます。
さらに仕事を引退すると、夫婦で旅行やガーデニング、家庭菜園、読書など、新しい趣味を楽しむセカンドライフが始まります。
人生には、このように何度もライフステージの変化があります。
だからこそ、家は「今」だけでも、「老後」だけでもなく、人生全体を支える住まいであることが大切です。

平屋か、2階建てかではなく

私たちは平屋を否定したいわけではありません。
平屋だからこそ実現できる魅力もたくさんあります。

一方で、敷地条件や予算によっては、

  • LDKが狭くなる
  • 廊下が長くなる
  • 採光や風通しが悪くなる
  • 庭が小さくなる
  • 土地や建築費が高くなる

といったケースもあります。

その結果、本来大切にしたかった住宅性能や快適性を諦めることになってしまっては、本末転倒です。

大切なのは、「平屋が良い」「2階建てが良い」と決めることではありません。
そのご家族にとって、どのような暮らしが一番豊かになるのかという視点から考えることです。

本当に考えたいのは「健康寿命」

老後を考えると、「階段のない暮らし」が安心だと思われる方も多いでしょう。

しかし、本当に大切なのは、階段を使わなくても済む住まいではなく、できるだけ長く元気に暮らせることではないでしょうか。

現在の住宅は建築基準法の改正により、階段の勾配は以前より緩やかになり、手すりの設置も標準となっています。

また、2階建てでよく聞く不満は、「階段」そのものではなく、「洗濯物を持って2階へ上がること」です。
ランドリールームや室内干しを1階に計画することで、この負担は大きく軽減できます。
つまり、住まい方を工夫すれば、2階建てでも老後の負担は十分減らすことができます。

さらに、将来車いす生活になった場合でも、収納スペースを活用してホームエレベーターを設置できるよう計画しておくなど、将来への備えはいくつもあります。

50年後の社会は誰にも予測できません。
介護サービスや住宅設備も、今とは大きく変わっていることでしょう。

だからこそ、今からすべてを老後仕様にするのではなく、将来の変化に対応できる余白を残しておくことも大切です。

まとめ

平屋か、2階建てか。

その答えは、ご家族によって異なります。

だからこそ、最初に決めるべきなのは家の形ではなく、「どんな暮らしを送りたいか」ということです。

子育てを楽しむ時間。
夫婦で趣味を楽しむ時間。
孫と過ごす時間。

そして、健康で自分らしく暮らし続ける時間。

人生にはさまざまなライフステージがあります。
そのすべてを見据えて考えた結果、平屋が最適な方もいれば、2階建てが最適な方もいます。

大切なのは、家の形に暮らしを合わせることではなく、暮らしに合わせて家の形を選ぶこと。
人生全体を見据え、その時々の暮らしを楽しみながら、将来の変化にも柔軟に対応できる住まいづくりを考えてみてはいかがでしょうか。

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