注文住宅の暮らしを楽しむ木造高性能住宅

住宅は、住まうこと自体を楽しみ、人生を楽しむ暮らしの実現の場、そのものであるべきです。

人生の7割の時間を過ごす住宅こそ、ご自身の現在と未来の暮らしを楽しむために創るというのが、住まいづくりの本質だと思います。
本来注文住宅はそれを実現する住宅であるべきなのです。
そういう注文住宅を実現するためには、どのように住まいづくりを進めたらよいのでしょうか。

具体論に入る前に、もう少し俯瞰的に注文住宅を考えてみましょう。

そもそも注文住宅って何?

注文住宅という住まいづくりが存在するのは、世界的に見て日本だけと言っても過言ではありません。もちろん海外にも注文住宅はありますが、少し事情が異なっています。

例えば、アメリカなどでは、桁違いの資産を有するIT長者などの一握り、いや、一つまみの人しか、注文住宅で家を持とうなどとは考えません。
何故なんだろうと、本気で考えて、アメリカ東部(ニューヨーク、ワシントン、すこし離れたピッツバーグ)、五大湖地区(シカゴ、トロント〈カナダですね〉)、南部(ダラス、アトランタ)、西部(ロサンゼルス、サンフランシスコ、ラスベガス)と、あれこれ調べてみましたが、一般の方々の頭に注文住宅という概念はなく、自身がキャリアアップして、地位と年収ランクが上ると、ステータスという意味でも、住み替えていくというのが一般的なようです。
課長さんならこのあたり、部長さんならこの辺に、役員に就任したら、いよいよあの地区に住めるというように住み替えて行きます。
かつて日本にもそうした地区のグレードはあったようで、田園調布は社長さんの住む街、自由が丘は、部長さん、下北沢は、課長さんの住む街というように。

ただ、違うのは、日本では、概ね注文住宅という建築方式で家を手に入れますが、アメリカでは、セミオーダータイプ(幅は様々あるのですが)の建売住宅を購入するか、社会的地位の高い方々が住む、グレードの地区では、きちんと手入れを重ねてきた、中古住宅(と言っても日本なら邸宅と呼べる規模)を、自分用にリフォーム(アメリカではリモデリングと言うようです)して入居されています。

そもそも日本でも、元来注文住宅というのは、地位も教養も高い、目利きの施主が、銘木などの良質な木材などの素材を、施主自らが買い集めて、すぐれた大工の棟梁に指示して建てるというのが注文住宅であったようです。

そういう意味では、施主が暮らしに対する趣向性を明確に持ち、ライフスタイルも洗練されているという、そういう意味では、施主の方が、住宅に対する見識や、情報を豊富に持っていたという方々が、建築の専門家である棟梁に指示して建てる家が本来の注文住宅であったようです。

注文住宅の変質

戦前を中心に、こうして建てられた住宅は、庶民の羨望の的であったと思います。
その後経済が発展し、一般の方々も戸建住宅を手に入れることができる時代に、注文住宅は憧れでもあったため一般化したのではないかと思います。
もちろん平野部の少ない日本の国土環境もあり、狭い敷地の中で少しでも便利に暮したいという要求も注文住宅を後押ししたと思います。

戦後農村部から都市部への人口移転が、日本の工業化とともに進み、都市部に人口が更に集中する中、少ない面積で、より便利に、より快適に、そして個人のプライバシーも確保したいという要求で、生み出されたのが、住宅公団(現UR)の2DKプランです。
それから72年が経過し、4~5LDKにまで部屋数は増えましたが、基本的な考え方は不変です。
現在の注文住宅も、この4LDKをベースにして、多少変えていると言っても過言ではありません。

明治以降、日本の教育は、厳密に年齢を区切った、国家主導の画一教育が主流ですから、同じ教育受けた、国民でしたから、住宅も4LDKで良かったと思います。
1950年代半ばからの高度経済成長は、この考え方が正しかった証でもあります。
3Cと言われる「クーラー(エアコン)」「カラーTV」「自動車(CAR)」を多くの人が欲しがりましたから、規格化された製品を大量生産し、これで成功した日本の家電製品、自動車は、世界を席巻し、80年代後半には、「ジャパン アズ ナンバーワン」と自負した時代を築くことができました。

それから30年余りが経過し、世界第2位だった経済力も4位に転落し、低成長とデフレがいつまでも続く、活力が失われた、先進国の窓際族とG7の仲間内の国からも陰口をたたかれています。
教育の世界も、不登校の小中学生数は30万人という問題が鮮明化していますが、有効な手立てを見いだせずにいます。
経済、教育という2つのジャンルを見ても、過去の成功体験から、いつのまにか現在の経済、社会、暮らしから、ずれてしまっていることが分かると思います。

暮らしをもっと楽しむ注文住宅へ

1980年に比べて2019年には、共働き世帯数が倍増し、逆に専業主婦世帯は、半減しています。
40才以下の年代では、男性も義務教育で、家庭科の授業で料理が出来るようにもなっていますし、そもそも、キッチン立つという抵抗感がない世代です。
男性の育休制度も拡充し、家事育児の男女共同参画は当たり前化してきています。
東京のタワーマンションの上層階を購入するような、夫婦あるいは、パートナーは、それぞれの年収が1000万円以上の、いわゆるパワーカップルまで行かなくても十分に注文住宅への統治は可能です。
女性もフルタイムで働いていらしゃる世帯年収800~1000万円クラスの若いカップル世帯は、全国どこのエリアでも多く存在しています。
このような世帯は、十分に住宅に投資するだけの資金はお持ちですが、残念なことに、住宅を購入される際の、ご予算を出来るだけ抑えたいという方々も増えています。

確かに、仕事と家庭で、忙しいお二人にとって、家事の合理化は最優先ですし、部屋数が欲しい、収納もこうしたい、それもごもっともですし、大切なことです。
地震に強く、省エネで健康住宅、それも大切です。それだけで良いのでしょうか。
結局、性能の良い「箱」という住宅に、従来の4LDKプランを敷地と要求に合わせているだけの、住いづくりが現状の主流となってしまっています。

30才で家を建てて、100才まで生きるとするなら、70年間を過ごす住宅です。
このコラムの冒頭にも記しましたが、人生の7割の時間を過ごすのが住宅です。人生で、最も多くの投資をすべき対象は、ご自身の現在から未来の各年代で、心豊かに暮せるという「家族の個々の暮らしにフィットした住まいづくり」を求めるべきだと思います。
人間は、環境に適応する生物ですので、4LDKの普通のプランでも暮らせますが、逆の見方をすれば、人間は環境によって、より幸福になり、才能を伸ばし、心豊かに暮らすことができる生き物です。

現在の注文住宅は、施主の要求に対応して、モノとしての住宅を造ることを指してしまっています。
住宅というモノは、暮らしの器ですから、それも大切なことですが、住まいづくりに最も必要な「70年間という『暮らし時間の質』が高い住まいづくり」であるべきです。

もっと、もっと、日常の暮らしも楽しむ、つまり、住まうこと自体を楽しみ、人生を楽しむ住まいづくりに重心を置いた、心豊かな住まいづくりを実現すべきです。
それには、住宅建築と暮らしの専門知識を持つ住まいづくりのスペシャリストが、お客様一人ひとりと向き合い、対話しながら進める新たな注文住宅が必要です。
もちろん仕事も家庭も忙しい年代でも、あることから、限られた時間を、節約しながらも、内容のある、深い対話、対応ができるような工夫も必要です。
特に暮らし視点の住まいづくりのスペシャリスト(住宅建築と暮らしの専門家)が、積極的にZoomなどのオンラインも活用して、住まわれる方と直接対応する必要があります。

まず、住まわれる方々のお考えや価値観を、暮らし視点で、住まいづくりのスペシャリスト(住宅建築と暮らしの専門家)が理解し共有することが、最初のステップです。

そして、住まわれる方々の、これから生涯に亘って「住まうこと自体を楽しみ、人生を楽しむ暮らしを実現する、住まいをご一緒に企画をすること」が住まいづくりの具体化のポイントになります。
このプロセス自体も、楽しいワクワクする時間です。

高性能で良質な部材を採用することは前提条件

注文住宅で最も重要なことは、住まわれる方々の、「現在から未来の暮らし時間の質」ですが、それを実現する前提条件は、基本的な住宅性能(耐震性能や温熱環境性能など)が高性能であるということですが、新築時が高性能な住宅というだけではなく、住宅性能の経年での劣化を最小限に抑えた、生涯に亘って快適に暮らすことができるという、性能維持の建築技術と使用部材の採用は必要不可欠です。
そうすることによって、初期投資は、少し嵩むことにはなりますが、60~70年間という生涯住まう家として考えた場合、結果としてトータルコストを抑えることになります。
従来の耐久性能という概念に、高い性能を維持できるという、新たな考え方も有するという高性能住宅です。

もちろん、どのような住宅でも、メンテナンス費は掛かります。
しかし、そのメンテナンス費を出来るだけ抑えることができる、劣化しにくい、部材を選択するというのも大切な視点です。
そういう意味で、質の高い、良質な部材を採用するという投資が結果として、長期間に亘る暮らし時間で見れば、投資対効果のコストパフォーマンスの高い住宅を生み出すことにつながります。

例えば、土地を2500万円で購入され、建物を3000万円でと、考えておられた方が、木造高性能住宅と、質の高い仕様部材へ、更に1000万円を投資されたとすると建物4000万円。
豪華な仕様ということではなく、質の高い耐久性の高い材料や、性能が落ちにくい構法へ切り替えるという投資です。
土地建物を合わせて、6500万円にもなってしまい、「高い」と感じられるのも、もっともですが、「時間軸」で考えてみましょう。
35才で家を建て、100才までの65年間で考えてみましょう。
6500万円÷65年間=100万円/年。これを12カ月で割ってみると8.3万円/月です。
現在お住いの家賃と比べて如何でしょうか。
かなりお買い得でもあり、そして何よりも「住まいを楽しみ、人生を楽しむ暮らしの実現」という本来の注文住宅を建てる目的を達成することができます。

まとめ

「住まいづくりの本質は、そこに住まう人が幸せになる」ということですから、まずは、生涯、快適に安心して暮らせる躯体性能を持っているということは、住まいづくりのプロとして絶対に譲れない条件です。
できることなら3代に亘って住み続けられるなら申し分ないと思います。
高性能木造住宅は、建主の次世代の方にも、住んでいただきたい住宅ですが、次世代の方の仕事の都合などで、住む場所を変えるときでも、その住宅を購入される方が、安心して快適に暮らせるということは、売却に際して実質的に有利な条件にもなります。
SDGs、地球温暖化対策の視点で見ても、スクラップ&ビルドから脱却した住まいづくりとして価値ある住宅です。

ハウジングラボは、「暮らしを研究する」という意味の「Housing Laboratory=住宅研究所」を略して、「Housing Labo」と名付けて設立しました。
この高性能木造住宅という、長期に亘る性能を維持する能力を有する、先進の住まいをお届けしています。この高性能木造住宅とい建物ハードに加えて、「暮らし」×「イノベーション」で、住宅内で過ごす、「暮らし時間の質(Quality of Time)」を高めるために、既成概念にとらわれることなくKurashinnovation.で、一人一人に最適な、そして自然に家族のコミュニケーションが生まれる暮らしの革新を目指しています。
新たな暮らしの「+」領域という、暮らしの楽しさや、心の豊かさを生み出すプラン/空間を用意しています。

住いづくりのソフト面では、建築設計と暮らしコーディネートという「Architecture Design & Life Coordinate」視点で、お客様に、住まいづくりのスペシャリストが、向き合うことが、住まいづくりには、最も重要だと、ハウジングラボでは考えています。
外観デザイン、プラン空間/インテリアコーディネート、仕様設備部材、温熱環境/耐震性能などの住宅性能と、それをもたらす構造/工法、暮らしやすさ、など、お客様の暮らしを中心に置いて進めます。
その住いづくりのプロセス自体も楽しんでいただきたいと思っています。

お客様個々の、従来の暮らしを超えたKurashinnovation.(暮らしの革新)を実現し、住宅内で過ごす時間の質(Quality of Time)を高め、それぞれのお客様にとって、最適で快適な住まいづくりをハウジングラボは追究し、ご満足をいただける住まいづくりを目指してまいります。
まずは、ご相談ください。

株式会社ハウジングラボ
代表取締役 一級建築士 松尾俊朗

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