RC外断熱住宅は3世代が快適に住み継げる家

これからの住いは、従来のようなスクラップandビルドを繰り返すことなく、親から子へ、子から孫へと、少なくとも、3世代に亘って、住み継ぐことを考える時代です。
敢えてSDGsと声高に、叫ばなくても、地球環境に優しい上に、財布にも優しいのは言うまでもありません。
さらに、大切なことは、「家という暮らしの器」を継承することで、家族のアイデンティティーまでもが、受け継がれ、世代を超えて家族の絆が、より増すことが、住み継ぐことの出来る住まいの最大の利点だと思います。

元来、地震や台風など自然災害の多い日本では、災害ごとに作り直すことを、住まいづくりでは、永く前提にしていたように思います。
それが長期に亘って、極端な言い方をすれば、日本列島に日本人が、住み始めて以来の「あたり前」の考え方であったように思います。
旧来の考え方では、庶民の住宅は簡便な建物という意味での木造住宅が、住宅づくりでは主流の考え方でした。
最新の木造住宅を理解すれば、もうそういう時代ではないのですが、現在でも住宅は1世代限りという考え方が、当然のように定着しているように思います。
現代では、木造住宅でも耐震性能や温熱環境性能、耐久性能も向上し、受け継ぐことも可能な領域に入って来ていますが、どうも現実の住まいづくりでは、そうなっていないように思います。

折角住まいづくりをするなら、3世代が安心安全で、快適に生涯に亘って住み続けられる、住まいにしてみてはいかがでしょうか。

それでは、3世代が住み継ぐことができる住宅とはどのような、要件が必要なのか、考えてみましょう。

3世代に亘って、住み継ぐという具体的な期間

住宅の性能については、温熱環境性能や、耐震性能など様々な角度から、住宅性能表示制度などで、「新築時の住宅性能」を、一般の方々にも、分かりやすく、表示がなされるようになってきています。

それはそれで、良いことなのですが、ここでは3世代に亘っての、安全安心、快適に住み継げるのかということを視点で考えてみましょう。

まず、3世代に亘って、住み継げる住宅とは具体的に、トータル何年間を想定すればよいのでしょうか。

住宅取得の一般的な年代は20才代前半から40才台半ばくらいが主力年齢と言われています。
その年代層の真ん中あたりの、35才で家を仮に建てたとしましょう。
この時点で、お子様の年齢は5才としましょう。
厚生労働省の平均余命表で、35才の男性は、あと45.59年間、女性では52.03年間、平均余命があるということです。
最初に家を建てた世代の女性(妻)の方が長生きされるようですので、52年間住んだ後で、次世代に引き継ぐとすると、その時点で次世代は57才から住み始めることになります。
57才女性の平均余命は、約33年間ですから、2世代目は、90才まで、この家で過ごすことになります。
その後を3世代目が受け継いで暮らし始める年齢は、概ね60才です。
60才から90才までの30年間を過ごすと、合計115年間です。
あくまでも平均余命ですから、各世代が、5年間それぞれ長生きしたとすれば、+15年間で130年間です。
この辺りが現実的な3世代住み継げる住宅と想定できます。
この受け継ぐことができる住宅とは、130年間に亘って、安全安心(耐震性能等)で快適(温熱環境性能)で、世代ごとのプラン空間の融通性をキープできる住宅ということになります。

新築時の性能表示では、3世代住み継げるかどうかが見通せない

新築時の性能は一般の方にも、ある程度理解できるような、性能表示制度が普及しつつありますが、ここでの性能はあくまでも新築時の性能です。

しかし、130年後に住宅の性能がどの程度キープされているのかを、明示するものは、困ったことに、どこにも存在しません。

住宅の安全安心、快適性能等は、経年でどのような変化や劣化を起こすのでしょうか。

一歩踏み込んで考えてみましょう。

建物はいつも動いている!?

例えば、足にフィットする真新しい最新のランニングシューズも、使い込むと、さらに足になじむ一方、少しずつシューズの素材が伸びて、フィット感にゆるみが出てくると思います。
履くたびに、靴ひもの締め付け具合を、足にフィットする様に調整していると思います。
つまり「動くと緩む」ということです。
「いや、ちょっと待ってください。それは靴の話で、家は、どっしりしていて動かないでしょ」と、考えがちなのですが、家はわずかではありますが、常時動いています。
地震や台風等災害時には、大きな力が加わるのは、理解できると思います。
もちろん地震活同期に、日本列島はどうやら入っているようですので、これから新築されての130年間に、おそらく何度か震度5~7くらいの大きな地震を経験することがあるかも知れません。
さらに本震の外に余震が長期間続くことも、あるということは、ご理解いただけると思います。
地球温暖化で、台風も大型化し、台風シーズンには、スーパー台風も襲ってくるかもしれません。
そうした大きな外力に、抗することができる建物の耐震性や耐風性が「長期間落ちない、劣化しにくい」という意味での耐久性は、まだ明示されていません。
むしろ確実に緩み、着実に経年劣化が進行しています。

また、大きな地震や台風のような大きな外力ではないにしろ、春のそよ風でも、外力は外力ですので、建物はわずかですが、揺れています。
小さな地震でもタワーマンションの上層階では、揺れを感じると言われますが、2階建でも平屋でも、体に感じない程度ですが、常時揺れています。
また、建物が日射を受けるとその面は、熱膨張の影響を受けて「伸びて日陰側との差が生じます」がこれを毎日、何年も繰り返しますし、シーズンごとに、大きな気温差もありますので、建物が伸び縮みを繰り返すことで、建物が徐々に緩み、狂いが生じます。
これが経年による耐震性能や断熱気密性能の劣化の原因です。

耐震/耐風性能の劣化対策より、難しい温熱環境性能の劣化対策

建物が、長い時間を掛けて、緩むということで、じわじわと、安全安心に影響が出てきます。

しかし、「繰り返される地震」でも倒壊や、大破を免れる技術は既に開発され、新築住宅には普及しています。
繰り返す地震に対応した耐震技術という部分は、特に法的に規制されていませんので、多くの戸建住宅での耐震性能はあくまでも「新築時の性能」に限られています。
極端な言い方をすれば、一回目には大いに有効という、エアバック的な考え方で、繰り返す外力には、抵抗力が大きく損なわれているのが一般的な木造工法です。

もちろん、繰り返す地震に対抗できる木造工法もありますが普及は、まだ、限定的です。

構造的な強度の、耐久力確保の技術以外に木造住宅では、腐朽菌(木造構造体が腐る)やシロアリ対策などを、長期に亘って、その効力を発揮させ、なおかつ、住まわれる建主ご家族の健康への影響を、及ぼさないようにするという課題も付きまといます。

さらに難しいのは温熱環境性能という快適環境の長期間性能を維持する技術です。

温熱環境性能を左右するのは、高い外皮性能(断熱性能)と高い気密性能(隙間を最小化)、更には高い蓄熱/蓄冷性能の3種の性能の確保と長期間に亘るキープ力です。

耐震性能や耐風性能は、大きな力が加わっても倒れないという、デモビデオなどの説明で、分かりやすさがありますが、快適性能の中心位置を占める温熱環境性能は、熱と空気という目に見えないものを扱う分野ですから、より高い精度で、性能をキープするという難しさがあります。

例えば、空気はわずかな隙間から熱と共に外部へ漏れ出て行きますので、地震力などへの対応よりも、緻密さが必要になります。

また、ドイツなどでは温熱環境確保の一般的な技術である、蓄熱/蓄冷という性能についてはほとんどの住宅会社、工務店ではその概念も持ち合わせていないというのが、日本の現状です。

高い温熱環境性能をキープする構造体は3世代住み継ぐことができる

そこで住宅の躯体構造の基本構成として、最も経年劣化が進まないと考えられる、RC(鉄筋コンクリート)外断熱構造を取り上げて、その基本構成がもたらす、長期に亘る温熱環境性能の維持をはじめ、副次的にもたらされるいくつかの、メリットについて考えてみましょう。

1.構造躯体のRC(鉄筋コンクリート壁式構造)は、耐力壁(垂直面)と梁やスラブ(床/屋根等:水平面)を一体化して造る構造のため、繰り返しの地震などの外力に対して、構造躯体として緩む部分がない構造です。
そのため構造体の接続部分に隙間が生じることがなく、高い気密性能を持続できる基本構成です。

2.RC構造躯体を板状の断熱材で外側からスッポリと包んでしまうため、構造躯体が外気に触れることがない躯体構成のため(ヒートブリッジ〈熱橋〉がない)、躯体全体にムラなく断熱性能が発揮されます。

3.構造躯体の外側で断熱されているため、建物の日射を受ける面や、季節ごとの温度変化で、躯体の伸び縮みが少なく、躯体の劣化を防ぎます。

4.構造躯体の外側で断熱され、更にその外側を外壁や屋根などの外装材で、保護しているため、躯体コンクリート寿命に影響する、コンクリートの中性化を招く雨に触れることもなく、コンクリートの強度を長期間に亘って発揮させる基本構成です。

5.構造躯体の外側で断熱されているため、躯体のコンクリート全体を大容量の蓄熱/蓄冷材として利用できるため、安定した快適温度環境を、省エネで実現できます。
躯体自体が室温を快適温度範囲に保とうとするため吸放熱を輻射で行うため、異次元の快適性能をもたらします。

6.さらにコンクリート構造は耐火建築物で火災に強く、重厚なコンクリート壁が、躯体の圧倒的な防音性能をも、もたらします。

7.体感的には建物自体「微動だにしない」どっしりとした、質量感のある躯体で、精神的な安心感をもたらします。

安全安心で快適性能を長期間キープする住宅は資産価値が高く、3世代あるいは、他の方へ売却するにしても、従来のように「結局土地代だけ」ではなく、建物としての資産価値が高い住宅です。

各世代の暮らしを許容するプラン空間の保有

家族が受け継ぎ暮らすにしても、別の方が購入して住まうにしても、世代を超えて受け継がれる住宅の条件は、ハードウェアの安全安心(耐震性能、台風性能)と温熱環境性能(断熱気密、蓄熱/蓄冷性能)という快適環境の性能を長期間維持する躯体性能という、必要条件に加えて、時代を超えて、そこで住まう人々の暮らしに対応する、プラン空間を生み出せる、基本設計で構成されていることが、十分条件になります。

具体的には、平面方向にも、垂直方向にも空間を繫いで構成する設計思想をベースに持ち、そこに住まう方や、ご家族の暮らし方に応じて、空間を仕切ることも、一体空間としてオープン化することも可能な、空間構成の自由度を持った考え方をベースに、設計デザインされていることが大切です。
もちろんこうした設計デザインが可能になるのは、RC外断熱住宅のように、高性能な温熱環境性能を長期間維持できるハードウェアを前提にしています。

このようなRC外断熱住宅というハードウェアと、基本設計デザインというソフトウェアを併せ持つ住宅が、世代を超えて、受け継ぐにしても、資産として保有する場合でも、価値ある住まいということになります。

これからの住いは「坪単価」から「年単価へ

「坪単価」は、よく耳にする、新築時の住宅の延床面積(坪)当たりの建築費用のことを言いますが、これはあくまでも「新築時のコストパフォーマンスの目安」です。
スクラップandビルドの時代の目安であり、本来の住宅の価値(コストパフォーマンス)は「何年間、安全安心に快適に住み続けられるのかという尺度」の方が正しいと思います。

その意味では、建築費用を、安全安心に快適に住み続けられる、年あたりとして計算した、「年単価」という本来の住宅の価値に基づく考え方に切り換えましょう。

世代を超えて住み継げる住宅/資産価値の高い住宅づくりを考える際に、新築住宅を、どこの会社へ依頼して建てようかと考えた場合、一般に新築時の住宅の性能や設計デザインで判断せざるを得ないということに問題があります。

築35年以上の住宅で実際に体感体験して3世代住み継げるか判断を

新築時外観写真
築35年外観写真

本来は、130年近く経過した、世代を超えて受け継ことができる、RC外断熱住宅というハードウェアと、基本設計デザインというソフトウェアを併せ持つ住宅はまだ存在しません。
しかし、設計や計算上だけではなく、既にある程度以上、長い年月が経過した、RC外断熱住宅で検討することは可能です。
安全安心(耐震性能、台風性能)と温熱環境性能(断熱気密、蓄熱/蓄冷性能)という快適環境の性能を十分に有しており、そこで暮らす方々の心豊かな暮らしが少なくとも、新築から35年以上継続している住宅を実際に体感体験してみれば、その能力は、はるかに高い、価値を持つことが、その性能も含めて、一般の方々でも類推することができます。

良い注文住宅づくりを実現するには、実際に長い年月を、経過してもなお、新鮮で、そこに住まわれている方々が、住まいを楽しみ、人生を楽しむ暮らしができているのかという視点で、実際にご自身で体感体験して確かめましょう。

良い注文住宅づくりに必須である、安全安心(耐震性能、台風性能)と温熱環境性能(断熱気密、蓄熱/蓄冷性能)という快適環境の性能を、長期に亘って維持していることを、100の言葉より、あなた自身の五感で確かめて判断されることをおすすめします。

まとめ

生涯に亘って60~80年間を過ごす住宅です。
しかも、生涯時間の7割を過ごす住宅です。
そこで暮らす方々の暮らしの器としての住宅は、先進のRC外断熱住宅という構造躯体をベースに、家族の成長にリンクした暮らしと、住まわれる方々の価値観に基づいた、設計をハウジングラボは、進めています。
そして、世代を超えて受け継げる資産価値の高い住まいづくりを進めています。
設計デザインというソフトウェアについても、建築設計と暮らしコーディネートという「Architecture Design & Life Coordinate」視点で、お客様に向き合うことで、お客様の暮らしにとって、最適の住いを創り上げていきます。
外観デザイン、プラン空間/インテリアコーディネート、仕様設備部材、温熱環境/耐震性能などの住宅性能と、それをもたらす構造/工法、暮らしやすさ、などを、お客様の暮らしを中心に置いて住まいづくりを進めます。
その住いづくりのプロセス自体も楽しんでいただきたいと思っています。

その中で、従来の、暮らしを超えたKurashinnovation.(暮らしの革新)を実現し、住宅内で過ごす時間の質(Quality of Time)を高め、それぞれのお客様にとって、最適で快適な住まいづくりをハウジングラボは追究し、ご満足をいただける住まいづくりを目指してまいります。
先ずは、お気軽にご相談ください。

株式会社ハウジングラボ
代表取締役 一級建築士 松尾俊朗

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