子育て世代の夏休みを乗り切る住まいづくり
2022/08/01
就学中のお子様がいらっしゃるご家庭は、夏休みが始まり10日程が過ぎたのではないでしょうか。
夏休みは、朝から夜までお子様が家にいるため、夏休みの宿題に朝昼夜の食事に遊び相手に余計な家事などなど様々な負担がかかることが多いかと思います。
そんな夏休みを少しでも楽しく気持ちよく乗り越えるための住まいづくりを考えてみましょう。
子どもにも大人にもハッピーな家
長い長い夏休みを子どもも大人もハッピーに過ごすには、「快適環境」と「家事効率」と「楽しい空間」の3つは欠かせません。
1.快適環境
快適な環境には、「調温」「調湿」「換気」「空気清浄」の4つの機能を合わせ持つ事が大切です。
4つの機能を合わせて取り入れるには全館空調設備がオススメです。
快適環境にする上で分かりやすいのは調温だと思いますが、個別エアコンでは各部屋で室温が異なりますし、廊下や水廻りは調温されていません。
夏場の暑さと冬場の寒さは、人のやる気や行動力を邪魔する大きな要因ですが、各部屋で室温が異なると家庭内では様々な支障をきたしていることがあります。
夏場、温度差のある家中の掃除が億劫になったり、せっかくお風呂に入っても脱衣所で服を着ている間に汗をかいて不快になったり、1人1部屋1台のエアコンをつけるのはもったいない気がしてリビングで宿題をさせたり、その間奥様は見たいテレビも見れず無駄な時間を過ごしたりと、知らず知らずの内に、各部屋の温度差があることはこれほどにストレスを与えているのだという事が分かります。
「ある程度快適になったら良い。そこまで求めていない。」とおっしゃる方もいるかもしれません。
しかし、人が快適だと感じるには快適温度と快適湿度は切り離せません。
高気密高断熱住宅となった今、空気の淀みからくる体調不良を防ぐためには換気も欠かせません。
更に、花粉やウィルス、PM2.5などの様々な空気汚染物質などから身を守るには空気清浄も欠かせません。
つまり、全館空調にするか個別エアコンにするかという比較は、イニシャルコストやランニングコストの問題だけではなく、気づかぬうちにストレスがかかっていたり、体調不良の原因になっていることもあり、私たちの暮らしに大きな影響を与えているのだという事も踏まえて比較しなければフェアではありません。
それでも比較したいという場合は、以下のような比較になるかと思います。
× 全館空調1台 vs 各部屋×個別エアコン
〇 全館空調1台 vs 各部屋×(個別エアコン+加湿器+除湿器+換気扇+空気清浄機)
ただし、廊下や水廻りにも個別エアコンを設置することは現実的ではないので正確な比較は出来兼ねます。
仮に、下の式の比較に200万円の差があったとして、それぞれ15年で寿命がくると考えた場合、200万円÷15年÷365日で1日365円の差でストレス無く過ごせるのだとすると、夏休みの約40日間は少し気が楽になる気がします。
2.家事効率
夏休みの家事は、やってもやっても増やしてくれるのが子どもです。
少しでも家事の負担を減らすため、「掃除・炊事・買い物・洗濯」の4つに分けて考えてみましょう。
⑴掃除
掃除は、今やお掃除ロボットなどがあり、人が掃除をせずとも機械が掃除をしてくれるので随分楽になりました。
しかし、お掃除ロボットのネックは、物が床に置いてあるとそこを避けて掃除をするということです。
つまり、掃除には収納が切り離せないということです。
片付く収納のコツは、絶対量/適材適所/動線に絡むという3つです。
また、片付けても片付けても散らかしてくれるおもちゃ類などの収納は、自ら片付けが出来るようゴールデンゾーンというお子様にも届き片付けやすい位置に収納を確保するという事が重要です。
合わせて、「ママ喉乾いた~」というよく聞くセリフですが、自ら飲み物を入れられるよう、お子様の手の届く位置にコップを収納しておくこともポイントです。
⑵炊事
夏休みは、朝昼晩と3食作らないといけないのが大変です。
ただ料理を作るだけならまだしも、宿題をさせたり遊ばせたりしながらの料理となると、何人いても足りません。
キッチンで料理をしながら宿題している様子が見れる位置にスタディーコーナーを設けたり、テラスでビニールプールで遊んでいる様子が見れるように配置しておくことはとても重要です。
⑶買い物
全てを買い物に行こうとすると重くて暑くて大変です。
夏休みでお子様も連れて行くとなると、余計な物も買わされたりと、買い物の負担は増大します。
新型コロナウィルスの影響もあり、かなり充実し、これからも進化し続けるであろう宅配サービスで重い物(飲み物など)や大きなもの(トイレットペーパーなど)は宅配に任せて、急ぎの物だけ買い物に行くなど上手く活用しながら、家事の負担軽減を行いましょう。
これからの時代は、宅配BOXの設置は必須となる事でしょう。
家事軽減のために、ご自身がどのくらいのサイズの物をどのくらいの量購入するのかを事前に検討した上で宅配BOXのサイズも決めていきましょう。
⑷洗濯
掃除はお掃除ロボット、炊事はレトルト食材やデリバリー、買い物は宅配が随分助けてくれるようになりました。
そのため、近年家事の中で負担に感じられているのは洗濯だと答えられている方が急増しています。
日本は、
➀洗濯機で洗う⇒②ハンガーにかけて外で干す⇒③乾いたら取り入れる⇒④畳む
というのが主流で、この毎日の単純作業の繰り返しに煩わしさを感じる方は少なくないでしょう。
日本は、梅雨や花粉などがあるにも関わらず、衣類乾燥機が主流でないのが不思議ですが、海外では衣類乾燥機やドラム式の洗濯機でそのまま乾燥させるのが主流の国もあります。
➀洗濯機で洗う⇒②ハンガーにかけて外で干す⇒③乾いたら取り入れる
という作業を、衣類を入れたら乾くところまで全て任せるというのも手段の1つです。
衣類の種類によっては乾燥機が使えないという事もありますが、直射日光も紫外線で日焼けしてしまうという事がありますので、上手く使い分けて出来る限りの家事軽減をしていきましょう。
最近は、ランドリールームとファミリークローゼットを取り入れて、
②ハンガーにかけて外で干す⇒③乾いたら取り入れる⇒④畳む
という作業を楽にするという手段も人気です。
④畳むという作業を無くして、ハンガーに掛かっている物をそのままファミリークローゼットに掛けるという方法です。
ご自身に合った手段を選択し、可能な限り家事軽減しましょう。
3.楽しい空間
約40日間の夏休みを飽きずに楽しめる空間にするには、内外部のつながりは欠かせないでしょう。
子どもは、夏の水遊びが大好きです。
お子様がテラスや庭で水遊びしている時に、日傘をさして様子を見ている親御様を見かけることもありますが、これは大人にとっては地獄の時間です。
大人は涼しい室内で水遊びしている様子が見られるよう、間取り計画することや窓のサイズや枚数を決めることが大切です。
夕方には、テラスや庭でBBQや花火などを楽しむ時間も約40日もの夏休みを乗り切るには大切な時間でしょう。
大人にとっても子どもにとっても楽しい空間を取り入れましょう。
まとめ
いかがだったでしょうか。
お子様と過ごす時間はせいぜい20年前後です。
一緒に過ごすことの出来る、長いようで短い20年間を出来る限りストレスなく楽しく過ごすために、「快適環境」と「家事効率」と「楽しい空間」の3つをしっかりと取り入れた住まいづくりをしませんか?
具体的には、是非当研究所へお気軽にご相談ください。info@housing-labo.casa
《執筆者》
一般社団法人 住宅研究所
「暮らし視点の住まいづくり」研究開発担当
主任 谷口真帆香