今の住まいづくりに納得出来ていないあなたへ
2022/08/08
家を建てようと思ったら、まず何をしますか?
ハウスメーカーが建ち並んでいる総合住宅展示場にある「住宅会社」に行ってみる?
土地が無ければ家が建てられないので「不動産屋」に行ってみる?
右も左も分からないのでまずは相談相手が欲しいので「無料相談カウンター」に行ってみる?
誰を信用したら良いのか分からないので「SNS」や「YouTube」を使って調べる?
ほとんどの方が一生で一回の一番大きな買い物となる「住宅」なので、何から初めて何を選択するのが正解なのか悩まれると思います。
それもそのはずです。
住宅は、手に取って全貌を掴むことが出来ない、自分自身が中に入って暮らしてみないと分からない数少ない商品の1つだからです。
手に取って全貌を掴むことの出来る洋服や化粧品ですらも、自分はどのような形や色が似合うのか判断出来ず、骨格診断やパーソナルカラー診断を取り入れている方も多いのではないでしょうか。
つまり、何か商品を購入する際、ほとんどの方が自分に何が合っているのか分からないという事です。
何が合っているのか分からない状態で、購入するには何千万円という金額の住宅という商品は高額過ぎると思います。
では、どのようにしたら自分に合った住まいづくりとなるのでしょうか。
納得出来ない住まいづくりになっている原因
ハウスメーカーが建ち並ぶ総合展示場にある「住宅会社」に行くと、それぞれの会社の特徴を知ることが出来ます。
「不動産屋」に行くと、いくつかの土地情報を得ることが出来ます。
「無料相談カウンター」に行くと、自分の思考(ex.好みのデザインや希望予算など)に近い住宅会社をいくつか紹介してくれます。
「SNS」や「YouTube」では、お洒落なインフルエンサーさん達の事例を知ることが出来ます。
住まいづくりをする上で、どれも大切な役割を担っています。
しかし、この4者の中に、あなたが実現したい暮らしが見つかるところはありましたか?
つまり、住まいづくりにおいて最も重要なのは、この4者と接点を持つ住まいづくりに入る前の「実現したい暮らし探し」だったのです。
誰もが、これを飛ばして住まいづくりに入ってしまうために、各住宅会社の商品特徴を説明されても、どのレベルの住宅性能を選択したら良いか判断がつきません。
いくつかの土地を紹介されても、どの土地が自分達の暮らしに合っているのか判断がつきません。
具体的な事例でお話させていただきます。
【事例1】窓のサイズと性能
住宅会社に、「当社は構造がしっかりしている為、これだけ大きな窓を採用しても大地震にも耐えられるという実大実証実験済みです。更に、窓もトリプルガラス(3枚ガラス)を採用している為、断熱性に優れています。」という営業を受けた住宅が30坪で3500万円だったとします。
反対に、一般的な構造性能レベルで一般的な窓サイズでダブルガラス(2枚ガラス)の窓を採用している住宅会社の住宅が30坪で3000万円だったとします。
この500万円の金額差はかなり大きく、性能と金額だけを見ると、自分たちの身の丈に合っていないと諦めてしまいそうになります。
しかし、マイホームが手に入ったら、「子どもをテラスのビニールプールで遊ばせたい!」と思っておられる方にとって、この500万円は出す価値のある費用なのです。
なぜなら、お子様がビニールプールで遊ぶ季節というのは真夏のとんでもなく暑い日です。
最近は大きなビニールプールが流行っていますが、一般的なサイズの窓の場合、リビングやキッチンから遊んでいる様子の全貌が見えないため、大人は心配で暑い中日傘をさして外で監視しているというようなことになってしまっている家庭が少なくありません。
子どもがビニールプールで遊んでいる時間、大人は涼しいリビングで撮りためたドラマを見ながら、キッチンで家事をしながら、遊んでいる様子が見える大きな窓がついていたら、大人も子どもも両者にとって快適で楽しい時間が過ごせるのです。
プールで遊んでいる時間が1日1~2時間を約1ヶ月間、3~12歳までの年数あったとすると、外で監視している時間は約500時間にもおよびます。
その他にも、庭の花々や木々を眺められたり、テラスでBBQをする際に内外部空間を繋げられたりする大きな窓は、ご家族の暮らしを随分と豊かにしてくれるはずです。
その際に、構造がしっかりしていなかったり、窓の断熱性能が低ければ、安心安全で快適な住宅とは言えません。
500万円という差額は、豊かな暮らしを行う上で必要な費用だったのです。
つまり、「実現したい暮らし探し」をせずに住まいづくりに入ってしまうと誤った判断をしてしまう可能性が生じてしまうという事です。
【事例2】都心と郊外
続いての事例は、土地についてです。
不動産屋に行くと、まず大まかな希望エリアを伝え、いくつかの土地情報を紹介されるのが一般的です。
1つは、少しコンパクトだけど駅まで徒歩10分の便利なところ。
1つは、全面道路の道幅が少し狭いけど交通量が少なく安全なところ。
1つは、目隠しなどの外構費用がプラスでかかりそうだけど日当たりがとても良いところ。
などなど、土地単体で見ると、それぞれの土地にはメリットとデメリットが存在し、どれを選択しようか迷ってしまいます。
つまり、全てのメリットが詰め込まれた夢のような土地は存在しないという事です。
そこで、土地を選択するための基準として重要になってくるのは、「実現したい暮らし」が出来る土地なのかという事です。
例えば、マイホームが手に入ったら、「月に1回は友人家族を招いてBBQなどを楽しみたい!」という方の場合は、招かれる人数に合わせた広さの庭やテラス、LDKが必要になります。
また、一時置きが出来る駐車スペースの確保も必要です。
利便性を優先し、少しコンパクトな駅まで徒歩10分の土地を選択してしまっては、「実現したい暮らし」が出来ません。
すなわち、通勤の行き帰りの10分のために「実現したい暮らし」や自宅で過ごす約17時間(1日辺りの平均おうち時間24時間の7割)を犠牲にするのかという事が判断材料となるのです。
おそらく、家を建てる理由は、月に1回は友人家族を招いてBBQなどを楽しみたいからといった理由だけではないはずです。
その他の、「実現したい暮らし」も含めてどの土地が最適なのかという目線で、土地探しを行います。
土地探しにおいても、事前に「実現したい暮らし探し」をしておくことが重要だと言う事です。
まとめ
いかがだったでしょうか。
当研究所は、約22年の期間に渡り、住まいづくりのプロである多くの住宅会社様をサポートさせていただいてきました。
その中で、住まいづくりにおいて最も重要な、住まいづくりに入る前の「実現したい暮らし探し」が抜けていることがお客様にフィットした住まいづくりになっていない1番の原因なのだということに気がつき、一般のお客様と施工を得意とする住宅会社様や土地を提供してくれる不動産屋さんとの懸け橋で新たなポジションの「住まいづくりナビゲーター」としてサポートさせていただいております。
具体的なご相談は、下記メールアドレスにてご連絡をお待ちしております。
info@housing-labo.casa
《執筆者》
一般社団法人 住宅研究所
「暮らし視点の住まいづくり」研究開発担当
主任 谷口真帆香