平均や常識にとらわれない住まいづくり
2022/07/25
あなたは何のために家を建てますか?
住まいづくりで見学や検討をたくさんするにつれて、「ご自身の家族が一生涯幸せに暮らすため」という目的を見失っていませんか?
目的を見失わせる様々な要因
「何坪必要ですか?」と問われたら、何坪で建てる人が多いだろう?予算内であれば大きい方が良いのかな?と考え、「和室は必要ですか?」と問われたら、和室は普通はどの家にもあるもの?有った方が便利なのかな?と思うものです。
ご自身の家族にとっての必要面積が何坪なのか明確に把握していない場合でも、和室の用途が明確に思い浮かんでいない場合でも、多くの人は、面積は大きく、部屋数は多いに越したことはないと考える方は少なくありません。
また、日本人の多くは、平均を好み常識で判断します。
「一般的に」「ふつう」などといった選択で、失敗しても「みんな同じだから」ということに安心感を覚えます。
しかし、このように平均や常識で家づくりをしていては、何回建てても「ご自身の家族が一生涯幸せに暮らすため」の家は完成しません。
平均的な住まいづくり
平成に入り、1990年代からインターネット、2000年代からSNSが普及し始めました。
世界中の情報がより簡単に手に入るようになり、実際に自分の目や耳で見て考え判断するのではなく、他人の意見や口コミなどを参考にした住まいづくりが始まりました。
令和に入った今、日本でも、生涯独身、別居婚、同性パートナーなど様々な生き方のカタチが生まれ、多様化が加速化しています。
また、かつて昭和の時代には標準世帯と呼ばれる夫婦2人+子ども2人の4人家族が14.56%を占めていたのが、現在は4.60%まで減少しているのです。
※総務省統計データ参照
これほどに多様化した時代に、平均的な住まいづくりは正しいのでしょうか。
常識的な住まいづくり
昭和の時代は、二間続きの和室、客間、広く南向きの玄関などが常識とされてきました。
そして今尚存在する平成から続く常識的な住まいづくりには以下のような項目があります。
・リビングは南側
・お風呂は1階
・バルコニーの確保
・子ども部屋はそれぞれ1部屋で寝室は夫婦で1部屋
・突然の来客や家庭訪問時に使用する和室
リビングは南側
夫婦共働きで子どもは習い事や塾、部活と忙しく、平日の昼間にリビングを使うことが無かったり、休日はリビングでゴロゴロと映画鑑賞するという方や読書をするという方は必ずしも直射日光が煌々と入る南側がリビングである必要はありません。
南からの光は間接的に差し込み、優しい光が入ってくる北側に配置するという考え方もあるのです。
お風呂は1階
お風呂は1階にあるものだという考えが強いですが、2階でも寝室や物干しスペースと同一階にある方が便利だったり、その分1階のリビングは余裕を持って確保出来るといったメリットもあるのです。
バルコニーの確保
反対に、お風呂が1階にある場合、同一階である1階に物干しスペースを確保すれば、落ち葉の掃除や防水処理が大変なバルコニーの必要性は無くなります。
子ども部屋はそれぞれ1部屋で寝室は夫婦で1部屋
1人1台スマホを持つ時代になった今、プライバシーは手の中にあるため、下記URL記事からも分かるようにリビングで小学生9割、中学生8割、高校生6割と長時間過ごしているお子様が占めており、子供部屋を寝るためだけにしか使っていないというご家庭が増えています。
※参照記事「良いリビングをつくるためのポイント3選https://housing-labo.casa/category/plan-design/post-570/」
突然の来客や家庭訪問時に使用する和室
和室に通すような突然の来客は、どれほどあるのでしょうか。また、ウィルス感染によって今後も変わらぬ形での家庭訪問はあるのでしょうか。
これらの常識も、再度見つめ直す必要が有りそうです。
家族が一生涯幸せに暮らすための住まいづくり
では、ここでもう一度住まいづくりの本来の目的に戻りましょう。
平均や常識にとらわれず、「ご自身の家族が一生涯幸せに暮らすため」の住まいづくりはどうすれば良いのでしょうか。
答えは1つです。
すでに、量的充足(家の数)、質的充足(性能)はある程度以上達しており、多様化したそれぞれの家族のカタチを隅々まで理解した設計を行うということです。
隅々まで理解する方法は、例えばご家族1人1人のモーニングルーティーンやナイトルーティーン、休日の過ごし方や家事の仕方などなど、「生活タイムスケジュール」で把握するということと、現在のご自宅の様子を確認するということです。
デザインは、それこそインターネットやSNSで得た好みのデザインに近づけることは簡単です。
しかし、あなたのご家族と同じ暮らし方をしているご家族は1家族としてこの世には存在しないのです。
平均や常識ではない、本当のオーダーメイド住宅と作るためのパートナーを見つける事こそ「ご自身の家族が一生涯幸せに暮らすため」の住まいづくりへの第一歩なのです。
まとめ
いかがだったでしょうか。
昭和でもなく平成でもない、平均や常識にとらわれない、それぞれのご家族のアイデンティティー、それぞれの個人のアイデンティティーを大切にした令和の時代の住まいづくりを行いましょう。
是非当研究所をパートナーとして考えたいと思われる方はお気軽にご相談ください。
《執筆者》
一般社団法人 住宅研究所
「暮らし視点の住まいづくり」研究開発担当
主任 谷口真帆香