単身世帯こそ心豊かに過ごせる住まいが必要
2022/04/27
全世帯に占める単身者の世帯構成比は34%を超えています。
全世帯の1/3以上が単身世帯ということです。
もともと単身世帯は結婚して家族を持つまでの仮住まいでしたから賃貸の集合住宅が主流でした。
しかし近年価値観の多様化で男女とも終生単身という考え方も社会に受容れられてきました。
ところが住居は「仮住まいの賃貸集合住宅」のままか「親の築60年の大きすぎる家」というのが実情です。
「これでいいのか」と悩まれておられる方も多いのではないでしょうか。
今回はこの単身世帯の住宅について考えてみたいと思います。
単身世帯≠賃貸集合住宅
結婚して家族を持ってという旧来からの価値観は否定しませんが、様々な生き方、人生の描き方ができる現代社会では住居のあり方も大きく変える必要があると思います。
仮住まいならともかく生涯暮らす家となると話は変わってきます。
好きな音楽を大音量で聴いたり、動きの激しいダンス楽しんだり、というようなことは集合住宅では上下左右の住居とのトラブルが発生することが予想されるため「我慢」せざるを得ません。
仮住まいならともかく生涯暮らす住まいとなると話は異なります。
単身者が自由にご自身の暮らしを描くことができる住まいは「1戸建の注文住宅」です。
戸建住宅の魅力
戸建住宅の魅力は何と言っても「隣の居室の住民」を気にせず好きなことができるということ。
最近の戸建住宅は断熱気密性も高いので裏を返せば防音性能も高いということですから隣の家へ音が聞こえるということは一般的にはないと思います(もちろん大音響のレベルにもよりますが)。
また、思い切った自身のこだわりをクローズアップした住居を創ることも可能です。
リビングにキッチンとバスとベッドを置いた住宅とかご自身の「実現したいコト」を思いっきり描き実現できます。
庭がある暮らし
戸建住宅の魅力の一つに「敷地がある」という要素は大きいと思います。
ガーデニングや小さなハーブ園などもできますが庭での食事やティータイムは季節の良い時期には素晴らしい時間です。
「囲い庭とすれば完全なプライベートガーデン」にすることもできます。
外部からプライバシーを守る工夫
囲い庭もそうですが外部から住居内の様子が分かりにくいように設計することもできます。
長期のご旅行に出かける際も安心です。
また、バイクや車がお好きならインナーガレージにすることも可能ですから様々に楽しむこともできます。
もちろん大切な車を留守中に荒らされるという心配もありません。
「生涯心豊かに暮らす」住宅は思い立ったら吉日
自由で自分スタイルの住宅づくりは思い立ったら吉日です。
一人で暮らすだけのスペースに加えてたっぷり収納とかアトリエを持ちたいとか様々「実現したいコト」を考えて「自身にフィットした住まいづくり」を進めますが、そんなに大きな家にはならないと思います。
将来パートナーになる方との出会いがあったとしてもゆとりを少し設けて置けば十分に対応可能です。
できるだけ長く自分らしい生活を送るためにも思い立ったら住まいづくりを始める方がベターな選択だともいます。
「暮らしインタビュー」が必須の住まいづくり
住いづくりの現状はファミリー層向けの住宅が主流のため「個性豊かな単身者の住まいづくりに慣れていません」。
従ってお客様の言いなりの住まいづくりになってしまいがちです。
一見正しい住まいづくりのように思いますが暮らしの器として住宅の機能は多岐にわたりますから、そうしたプロの知見も加えて住まいを創っていくのが正しい住いづくりです。
お客様の暮らしを中心に「実現したいコト」や「価値観」を共有して「真意を共有化」しながら進め、それに専門家の知見を加味するというプロセスが必要です。
中心になるのはお客様の実現したい暮らしですから「暮らしインタビュー」が必須です。
「生活タイムスケジュール表」等で事前に暮らしを「見える化」
平日と休日の過ごし方を24時間のタイムテーブルに書き出してお客様がご自身の暮らしを俯瞰し「暮らしの重視しているポイント」を見つけて設計者と共有化します。
現在の暮らしの中にはご本人は無意識で行っている「暮らしの重視ポイント」が潜んでいる場合があります。
コンパクトに広く住む
家事労働の軽減を考えてもコンパクトな住宅は良いのですが、ただコンパクトなだけではなく暮らしやすく生活に便利な工夫をする必要があります。
また、コンパクトでも狭さ感を生じさせない設計の工夫も必要です。
暮らしインタビューも含めて設計者とのコラボでご自身の暮らしにフィットした住まいづくりを進めてください。
まとめ
単身者世帯の伸びやかな暮らしは現状では潜在化した状態ですが思い切って旧来の殻を打ち破って自由に自分スタイルの暮らしを実現しましょう。
戸建注文住宅で「暮らしを楽しみ人生を楽しむ住まいの実現」を目指しましょう。
《執筆者》
一般社団法人 住宅研究所
代表 松尾俊朗
一級建築士