自然光あふれる住宅は家族を笑顔にする
2022/02/18
自然の光と風と緑を上手に取り入れた住宅は住まう人の気持ちを明るくします。
まず何と言っても光あふれる室内はそれだけで爽やかな空間になります。
広い敷地があれば光を取り入れることはたやすいことですが敷地条件が厳しく隣家が迫っていたりすると光をふんだんに取り入れることの難易度は上がりますが工夫次第です。
光を室内に取り入れるあの手この手を駆使
南に面する窓を大きくすれば光はたくさん入りそうですが隣家の高さとの距離などの関係で必ずしもそうはいかなかったり、逆に大きな開口部は外部から覗かるというストレスを受ける弊害もあります。
折角の大開口部がいつもカーテンを閉めているなんていうことはよくある話です。
敷地の状況などに応じてあの手この手の設計技術を駆使して必要な量の自然光を室内へ取り入れる必要があります。
光を取り入れたいが視線は避けたい
屋根に取り付けるトップライトは外部からの視線を遮る有効な手段です。
しかも通常の壁に取り付けた窓の面積当たりの3倍の光を取り入れることができるなど工夫次第で自然光の明るさを確保しながらプライバシーを確保できます。
このように採光とプライバシー確保の条件が厳しい中でも自然光を取り入れる工夫をすることはできます。
外部の視線を避けながら自然光を室内に入れる手段はもちろん屋根に取り付けるトップライトだけではなく壁に取り付ける一般的な窓からの採光についても工夫次第で視線を避けながら必要な自然光を室内へ招きいれることは可能です。
ハイサイドライトと縦長スリット窓
ハイサイドライトは室内側の壁の高い位置に横長の窓を取り付けて視線を避けてながらも採光を得る手法です。
大型TVを設置した壁からも採光するために、あるいは洗面化粧台の大きな鏡の面積制限することなく採光を得るためになどに採用します。
また、TVを置く壁の両サイドに縦長の細い開口部の「スリット窓」を採用する手もあります。
スリット窓の特長は縦長ですから季節によって、時間帯によって太陽高度が変わっても比較的長い時間採光できるという利点もあります。
下部にスモークガラスを採用すれば外部視線を避けながら有効な採光を得ることができます。
室内側の状況やインテリアデザイン、外部視線の高さなどを考慮して採光手法を選択します。
大開口部の大きな採光面積を活かすには
南面に大開口部が取れる敷地状況なら思い切って大開口部を床から天井まで大きく、さらに横方向にも可能な範囲でワイドに設けたいものです。
豊かな自然光をふんだんに招き入れるだけではなく外部のウッドデッキやテラスと室内側の床面の高さを揃えれば室内外の一体空間で気持ちの良い開放感が得られます。
この場合「軒の出」という軒先までの軒の出幅を適切に設計すれば夏の強い日差しを遮り、冬の優しい光を室内の奥まで導き込むことが出きて快適な空間を生み出せます。
これに加えて外部からの風は通すが視線を遮るフェンスなどの外構の工夫をすれば「カーテンレスの伸びやかな空間」を生み出すことも可能です。
ただし、この大開口と大きな軒の出、さらには道路からの視線を遮る外構の設置などはコストが掛りますからどこまで費用をかけるのかは「この空間でどんなコトをしたいのか」という得られる具体的な暮らしのメリットを考慮して判断します。
方位別の光の特性を楽しむ
南側は夏の直射日光を遮り冬の光を取り入れるために大きめの落葉樹を建物の南側に植えるというのも緑と自然光のコラボを楽しむ方法です。
「西日は避ける」のは夏の暑さを考えれば一般的ですが「冬の西日は貴重」です。
建物の外側に外部用ブラインドを取り付けるなどして西日をコントロールし「冬の西日を楽しむ」こともできます。
北側からの採光は安定した優しい光
北からの採光は「あまり考えないことが多い」のですが北側の開口部からの光は直射日光と異なり空気中の水蒸気などで太陽光が乱反射して方向性が無く均一で安定した優しい光です。
絵を描くアトリエなどは北側に設置している例が多くみられるのもこの安定した光を求めてのことです。
休日の昼間に書斎で読書をしたりスケッチをしたりするには最高の光の環境です。
明暗を楽しむ
自然光を抑えることは庇やブラインド、カーテンなどで可能ですが自然光を取り入れるためには建築の基本設計時に様々な工夫をする必要があります。
入居後からでも光を抑えて暗くすることはできますが燦々と光あふれる空間を創るためには建てる前に様々な角度からよく検討しておく必要があります。
自然光を生活の中へ上手に取り込んで心豊かな暮らしお楽しみください。
まとめ
心豊かな時間を演出するためには自然光の室内への取り込み方が重要な役割を担っています。
インテリア空間の演出にも採り入れた自然光を室内にどのように拡げていくのかというのも暮らしを楽しむための環境づくりです。
自然光の室内への引き込み方は間取りという平面プランでは考えにくく3次元の空間で考え、さらに敷地/周辺環境まで含めて考える必要があります。
プロの設計者と一緒に「この部屋でどんなコトをするのか」というご自身の考え方をまとめてそのための自然光はどうしようかと楽しみながら相談してください。
《執筆者》
一般社団法人 住宅研究所
代表 松尾俊朗
一級建築士