後悔しない家を建てる時に考えるべき事8選
2022/02/14
住宅というのは、一生で一度の一番大きな買い物となるケースが大半を占めています。
そのため、何を検討したら良いのか「分からないことが分からない」ほど、検討する項目がたくさんあります。
しかし、ほとんどの方がそれを知らないまま家づくりをするので、「3回建てないとベストな家は出来ない」という言葉が出来てしまいました。
これから家づくりを考え始めるという方には、是非知っておいていただきたい、後悔しない家づくりをするための判断軸8選をお届けします。
家づくりの判断軸
はじめての家づくりで、まず何を考えますか?
外観?インテリア?温かい家?
どれも正解ですが不正解でもあります。
家づくりは結婚相手選びと似ています。
結婚相手を決める時、「ビジュアルが良い」「財力がある」と、どこか1点気に入ったからOK!と簡単に決められるものではないと思います。
住宅というのは、8つの要素が全て兼ね備えられてはじめて良い住宅と言えます。
家づくりの判断軸8選
洋服や日用品は、何度も何度も購入して時には失敗も繰り返しながら少しずつ自身に合った物が判断出来るようになっていくと思います。
失敗するのは、住宅だけではないのです。
しかし、住宅は失敗しても簡単に建替えるということが出来ないため、大きな後悔が起こるのです。
そのため、少しでも後悔しないよう、洋服を購入する際のデザインや素材、大きさや値段などの判断軸があるように、住宅を購入するための判断軸という8つの武器を持ちましょう。
➀外観デザイン
外観デザインは、毎日迎えてくれる家の顔であり、来客があった際に1番に見られる顔です。
そのため、雑誌やインターネットの画像や街中に建っている家の外観を見て、好みをいくつか集めましょう。
その中で、共通点を見つけ、自身の好みをフォーカスしていきましょう。
そして、外観は簡単には変えることが出来ないものなので、「生涯飽きのこないデザインであるのか」ということと、「メンテナンスを最小限に抑えた形状や素材なのか」という2つの時間軸を持ち込んで判断しましょう。
※参照記事「https://housing-labo.casa/category/plan-design/post-518/」
②プラン空間デザイン
2016年のリクルート住まいカンパニーの調査では、夫婦の家の中で過ごす8割前後の時間をリビングで過ごしているという結果が出ていますが、子どもが学生時代、子どもの手が離れた時、子どもが結婚して孫を連れてくる年代等、リビングでの家族の過ごし方は一定ではありません。
未来の家族のあり方は誰にも分かりませんが、ある程度将来の事も含めて、年齢に応じて対応可能な可変性のあるプラン空間づくりを一緒に考えてくれる住まいづくりのパートナーを見つけましょう。 ※参照記事「https://housing-labo.casa/category/plan-design/post-676/」
③構造/工法・性能
住宅性能は、「耐震性能」「断熱気密性能」「耐久性能」の3つで成り立っています。
どれか1つが突出していてもあまり効果はありません。
理由は、いくら建築当初高断熱や高気密であっても、地震を受けた時に、耐震性がなければ家が歪み、壁の中にある断熱材が変形したり隙間が出来る事で断熱性能が落ちてしまいますし、柱と窓の隙間が空いてしまい気密性も低くなってしまいます。
また、いくらメンテナンスを最小限に抑えた外壁材を使って耐久性能をうたっていても、家が傾けば割れたりヒビが入り、耐久性能は失われてしまいます。
日本には、住宅性能表示制度で耐震等級など項目別に住宅性能の等級基準が定められていますが、それはあくまで建築時の初期性能の評価ですので、3つのバランスを兼ね備えられた長期に持続する住宅性能であるのかを判断しましょう。
④仕様(設備/部材)
最近は、サウナブームで若い世代の方も、週に何度かサウナに通っているなんて方も少なくないのではないでしょうか。それと同時に、自宅の入浴時間もシャワー派だったけど必ず湯船に浸かるようになったという方も少なくないのではないでしょうか。
現在は、自宅でもミストサウナの機能や発砲浴することが出来る機能のついた商品も出ています。
掃除の手間を極力減らしたいという方には、掃除機能のついた浴室やトイレなどの商品も出ています。
ご家族の暮らし方や特徴に合った設備部材を判断しましょう。
⑤暮らしやすさ
暮らしやすさは、「収納計画」と「動線計画」の2つの視点で決まります。
■収納計画
・「絶対量」の確保
・「適材適所」の配置計画
・ご家族の「動線内」に配置
■動線計画
・使用頻度を考えた「短い動線」
・効率を考えた「回遊動線」
・便利な「一筆描き動線」
これらがご家族の暮らしにフィットしているのかが暮らしやすさをつくる秘訣です。
※参照記事「https://housing-labo.casa/category/plan-design/post-446/」
⑥価格
イニシャルコストで判断するのではなくランニングコストという視点を含めた、生涯に亘って後悔しない住宅価格の設定を行いましょう。
※参照記事「https://housing-labo.casa/category/financing-plan/post-534/」
⑦住まいづくりプロセス
お酒なら「試飲」、洋服なら「試着」、車なら「試乗」。
住宅にも「試住」が必要です。
しかし、注文住宅の場合ご自身にフィットした住宅を試すことは出来ません。
そのため、展示場やモデル住宅をご自身が「住む」としてイメージしたり体感体験することが大切です。
性能の数値や価格、固定概念で決めた面積だけで判断するのではありません。
現存する展示場やモデルで「試住」を行いながら、ご家族の暮らしに合った明るさや開放感、温熱環境など、納得のいくプロセスを踏みながら住まいづくりを行いましょう。
⑧会社ポリシー
住宅会社は、考え方や作り方に差はあっても、今やどの住宅会社もある程度以上の必要十分な性能レベルに達しているのが現状です。
そのため、自社特徴を全面的にアピールするばかりではなく、その性能を使って可能な限りお客様の暮らしにフィットした住まいを提供するというポリシーを持つ住宅会社であることが大切です。
※参照記事「https://housing-labo.casa/category/plan-design/post-352/」
まとめ
住宅会社の見学に行くと、各社自社の良いところばかり話して、住まいづくりの本来の目的を見失ってしまう方をよく目にします。
「家族が生涯に亘って幸せに暮らす」ことが実現出来る家づくりをするという目的をブラさないために、家づくりを検討する際は、8つの軸という武器を持って各住宅会社の見学に行きましょう。
最も大切なのは、「お客様自身の実現したい暮らし(ソフト)」と「デザインや性能という各社の特徴(ハード)」のフィッティングです。
この記事で1人でも多くの方の1度で上手くいく住まいづくりのヒントになれば幸いです。
《執筆者》
一般社団法人 住宅研究所
「暮らし視点の住まいづくり」研究開発担当
主任 谷口真帆香