在宅ワークに最適な書斎のつくり方とは
2022/01/17
住宅の中で、新型コロナウィルス感染症拡大により最も影響があったのは「書斎」ではないでしょうか。
また、コミュニケーション不足や仕事環境が整っていない部屋で仕事をしている事からプライベートと仕事のメリハリがつけられず「テレワークうつ」になる方も増えています。
こういった仕事環境の変化によって、元々住んでいた家では面積や部屋数、音の問題などの理由から、住宅建築/購入された方、住宅建築/購入を検討されている方も少なくありません。
「多少不便でも広い家が建てられる地域」や「出社の必要性が無いため自然豊かな田舎」等のエリアだけでなく、そもそも住宅購入に至った1番の理由である「在宅ワークに最適な書斎」をつくるためのポイントを抑えた上で住宅建築/購入を進めましょう。
書斎
新型コロナウィルス感染症拡大以前「書斎」は、男の憧れといった存在で、ご主人が「家の中で1人になれる場所」や「趣味の事を行う場所」、「コレクションを飾る場所」として取り入れられる事が多く、奥様からの反対で許されても2帖程度のコンパクトな書斎を何とか取り入れてもらえたなんて事も少なくありませんでした。
しかし、「書斎」の在り方が「あったら嬉しい部屋」から「家計を支える仕事を行うための無くてはならない部屋」に変わったのです。
毎日使うかどうか分からず使ったとしても1時間程度といった暮らし方では、2帖程度の書斎があれば十分だったかもしれませんが、毎日6~8時間仕事をするという暮らし方になった今、2帖程度の書斎では気が滅入ってしまったり良いアイディアが生まれないということもあるでしょう。 部屋をつくれば良いという事ではなく、どのような書斎にして効率を上げていくのかを考えた空間づくりをしていきましょう。
書斎づくりの検討ポイント
まず、 以下の検討事項に注意しながらご自身の仕事内容をイメージしてみましょう。
➀Web会議の有無
Web会議が行われる業務内容の方は、ご自身以外の住人の方の声や生活音が聞こえないようにする必要があったり、スピーカーやヘッドフォンなど何を使ってWeb会議相手の音声が聞き取りやすくするのかを検討する必要があります。
また、背景は実際の部屋を写すのかバーチャルにするのかを検討し、背景の色やインテリアを決めます。
Web会議は対面よりもお互いの表情を読み取りにくくなるため、自然光の取り込みや照明計画も重要な検討要素になります。
②モニターの使用台数
アプリの開発や写真家、投資家など、複数のモニターを使用して仕事をされる方もおられると思いますが、その場合、それぞれのモニターの用途や見え方、サイズによる配置の仕方などをしっかり検討した上でデスクサイズ(幅や奥行)や窓サイズ、窓配置などを考えていきます。
また、一般的な住居で検討されるコンセント量やワット数では不足する可能性もありますので、電気配線などもしっかり計画しておきましょう。
③夫婦共に在宅ワーク
夫婦共に在宅ワークとなった場合、同じ部屋で作業するのか、それぞれに書斎をつくるのかを検討します。
どちらかがWeb会議がある場合や電話対応をする場合は、音の対策が必要な場合もあります。
また、仕事内容を共有する可能性がある場合、横並びの方が良いのか対面の方が良いのかも考えます。
④複数アイテムの使用
パソコンや筆記、参考書など、様々なアイテムを使用する場合、デスクサイズ(幅や奥行)は重要です。
また、ノートやメモはパソコンのキーボードの手前に置きたいのか、横に置きたいのかなど、自身の癖も理解した上で検討することが大切です。
⑤書籍や参考書の有無
書籍や参考書を使用する可能性のある方は、振り返った後ろか横か、正面のデスクの上や下にあった方が良いのかなど検討します。
量がたくさんある方は、使う頻度によって、置き場所を変えるなどすると便利になる場合もあります。
⑥家族の様子を把握する必要性
小さなお子様がいらっしゃる家庭で、リビングでお子様が過ごしている様子やお昼寝している様子が見える必要はあるが音は聞こえないようにしたい場合、部屋と部屋の間の室内窓を設ける必要があるのか検討します。
⑦時間帯による日射しや照明計画
太陽は東から上り南を過ぎて西から沈みます。
そのため、朝は東側が明るく、日中は南側は太陽がゆっくり移動し、夕方は西側が明るくなります。
つまり、朝の9時~夕方の17時まで仕事をするという方の場合、時間帯で日射しが変わり、光が安定しないという事です。
その点、北側は東南西の直射光とは異なり、天空光と言う方向性がなく均一な安定した採光が得られます。
長時間仕事をされる方は、方角を意識した書斎や窓の配置計画が大切です。
逆に夜の時間帯に仕事をすることがある方の場合は、照明計画が大切になります。
息抜き
趣味で使用する書斎とは違い、長時間仕事をする書斎の場合に最も大切になるのが、息抜きです。
ご自身には、どのような息抜きが合っているのか考えてみましょう。
そして、仕事スペースに付随して、ご自身にあった息抜きがしやすい空間づくりを行いましょう。
まとめ
書斎は、ただ空間を造り、デスクとパソコンが置けたら良いというものではありません。
無計画に書斎をつくってしまい「テレワークうつ」にならないよう、ご自身に合った「書斎づくりの検討ポイント」や「息抜き方法」を考えた長時間仕事をするということを前提とした在宅ワークに最適な書斎づくりを行いましょう。
《執筆者》
一般社団法人 住宅研究所
「暮らし視点の住まいづくり」研究開発担当
主任 谷口真帆香