住宅にかかるお金のお話➀
2026/06/25
2,000万円の住宅は高いのか、安いのか。
4,000万円の住宅は高いのか、安いのか。
住宅は金額が大きいだけに、判断がとても難しい商品です。
さらに、収入や家族構成、暮らし方によって「無理のない金額」も「価値を感じるポイント」も大きく変わります。身近な人に相談しても、その人にとっての正解が、必ずしも自分たち家族にとっての正解とは限りません。
なぜなら、人は何かを購入する時、自然と「その商品から得られる価値に対して、金額が妥当かどうか」を判断しているからです。
たとえば、100回使えるボールペンが100円、1,000回使えるボールペンが500円だったとします。
たまにしか使わない人にとっては、100円のボールペンで十分かもしれません。
しかし、毎日のように使う人にとっては、500円のボールペンの方が費用対効果は高いと言えます。
住宅は、これよりもさらに複雑です。
食事、睡眠、入浴、家事、育児、趣味、収納、家族との距離感、ひとりで過ごす時間。
どんな暮らしに価値を感じるかは、家族によってまったく異なります。
だからこそ住宅の価格は、単純に「安いから良い」「高いから悪い」とは判断できません。
今回は、住宅にかかるお金を「金額」だけでなく、「得られる価値」という視点から考えてみたいと思います。
住宅にかかる費用と、得られる価値

住まいの選択肢は、大きく分けると「賃貸」と「持家」に分かれます。
賃貸には、アパート、マンション、戸建住宅があります。
持家には、分譲マンションや戸建住宅があり、戸建住宅はさらに中古住宅と新築住宅に分けられます。
それぞれにメリット・デメリットがあり、支払う金額だけでなく、そこで実現できる暮らしも大きく変わります。
賃貸という選択

まずは、賃貸のメリットとデメリットを考えてみましょう。
賃貸の大きなメリットは、身軽さです。
住宅ローンという大きな借入をせずに住み始めることができ、住んでみて合わなかった場合や、家族構成・仕事・生活スタイルが変わった場合にも、比較的住み替えがしやすいという良さがあります。
一方で、賃貸には自由度の低さがあります。
不満があっても大きく手を加えることは難しく、いくら家賃を払い続けても自分の資産にはなりません。
また、バイクや釣りなどの趣味を楽しみたい方、大きなキッチンで料理をしたい方、子どもをのびのび走り回らせたい方にとっては、賃貸では叶えにくい暮らしも多くあります。
では、家賃を長く払い続けると、どのくらいの支出になるのでしょうか。
《計算条件》
30歳から90歳までの60年間で計算
家賃5万円の場合
5万円×12ヶ月×60年=3,600万円
家賃7万円の場合
7万円×12ヶ月×60年=5,040万円
家賃10万円の場合
10万円×12ヶ月×60年=7,200万円
さらに、敷金・礼金・更新料・引っ越し費用などが加わる場合もあります。
もちろん、賃貸の身軽さに大きな価値を感じる方もいます。
ただ、「本当はこんな暮らしがしたい」という不満を抱えながら、資産にならない費用を長く払い続けると考えると、その金額は決して小さくありません。
分譲マンションという選択

次に、分譲マンションについて考えてみましょう。
分譲マンションの大きなメリットは、生活利便性の高い場所に住みやすいことです。
駅近や商業施設の近くなど、通勤・通学・買い物に便利な立地に建っているケースも多く、日々の移動時間を短くできることは大きな価値になります。
また、将来的に売却することになった場合でも、エリアによっては立地の価値が残りやすいという面もあります。
賃貸マンションと違い、専有部分であれば内装の変更や一部の間取り変更ができる点もメリットです。
一方で、分譲マンションにも制約があります。
共有部分には手を加えられず、管理規約による制限もあります。
戸建のように庭や外部空間を自由に使ったり、趣味の道具を大きく広げたり、子どもが音を気にせず走り回ったりする暮らしは、叶えにくい場合があります。
また、住宅ローンや固定資産税とは別に、管理費や修繕積立金などの費用が毎月かかります。
仮に月2.5万円とすると、60年間で1,800万円になります。
《計算条件》
30歳で購入、35年ローン、ボーナス払いなし、金利1%で計算
管理費・修繕積立金は月2.5万円、60年間で計算
3,000万円のマンションの場合
住宅ローン総支払額:約3,560万円
管理費・修繕積立金:約1,800万円
合計:約5,360万円
5,000万円のマンションの場合
住宅ローン総支払額:約5,930万円
管理費・修繕積立金:約1,800万円
合計:約7,730万円
7,000万円のマンションの場合
住宅ローン総支払額:約8,300万円
管理費・修繕積立金:約1,800万円
合計:約1億100万円
ここに、不動産取得税や固定資産税、駐車場代などが加わる場合もあります。
通勤・通学時間を短縮できることに大きな価値を感じるのか。
それとも、家の中での暮らしの自由度を重視するのか。
分譲マンションを選ぶ時は、立地の便利さだけでなく、60年間そこでどのような暮らしをしたいのかという視点も大切です。
戸建住宅という選択

最後に、戸建住宅について考えてみましょう。
戸建住宅の大きなメリットは、暮らしに合わせて住まいをつくりやすいことです。
間取り、部屋数、収納、外構、庭、駐車スペース、趣味の空間、家事動線、子どもの過ごし方。
家族の価値観や暮らし方に合わせて、住まいを考えることができます。
一方で、戸建住宅にもデメリットはあります。
生活利便性の高い駅近エリアでは土地価格が高く、希望の広さを確保しようとすると、少し郊外での建築になる場合もあります。
通勤・通学に電車を使う方にとっては、駅までの距離や移動時間が長くなる可能性もあります。
また、マンションのように管理費や修繕積立金はありませんが、建物のメンテナンスは自分たちで考えていく必要があります。
屋根や外壁、給湯器、キッチン、お風呂、トイレなど、将来的な修繕費も見込んでおくことが大切です。
《計算条件》
30歳で購入、35年ローン、ボーナス払いなし、金利1%で計算
3,000万円の戸建の場合
住宅ローン総支払額:約3,560万円
5,000万円の戸建の場合
住宅ローン総支払額:約5,930万円
7,000万円の戸建の場合
住宅ローン総支払額:約8,300万円
ここに、不動産取得税、固定資産税、将来的な修繕費などが加わります。
ただし戸建住宅には、住宅というハコに家族の暮らしを合わせるのではなく、家族の暮らしに合わせて住宅というハコをつくることができるという大きな価値があります。
60年という長い時間を、日々の満足感とともに過ごせる住まいであれば、単純な金額だけでは測れない費用対効果があると言えるのではないでしょうか。
大切なのは「自分たちにとって妥当か」

住宅に関する費用の情報は、今やインターネット上にたくさんあります。
しかし、住宅の価格は「安い」「高い」だけで判断できるものではありません。
大切なのは、その金額によって自分たちがどのような暮らしを得られるのか。
そして、その暮らしに自分たち家族が価値を感じられるのかということです。
同じ3,000万円でも、ある人にとっては高く感じるかもしれません。
一方で、毎日の暮らしが豊かになり、家族の時間が心地よく整うのであれば、十分に価値のある金額だと感じる方もいるでしょう。
住宅は、単なるモノではありません。
毎日の食事、睡眠、家事、子育て、趣味、くつろぎ、家族との時間を受け止める、暮らしの器です。
だからこそ、目先の金額だけで比べるのではなく、「自分たちはどんな暮らしにお金をかけたいのか」を考えることが大切です。
住宅価格の正解は、誰かが決めるものではありません。
自分たち家族の暮らしにとって、その金額が本当に妥当なのか。
その視点を持つことが、後悔しない住まい選びの第一歩になるのではないでしょうか。
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