パフォーマンスが向上する家のつくり方

突然ですが、そもそも「家」の役割は一体何でしょうか?

家族の生活の場。
確かにその通りです。

しかし、戦後の住宅不足への対策から量的充足、地震や温熱環境への質的充足もある程度以上達成し、生活の場という目的のためであれば注文住宅という大きな買い物をせずとも、賃貸や中古物件の購入、分譲住宅の購入で充分であるとも言えるでしょう。

注文住宅を検討するにあたって、手に入れる「家」が生活の場という役割や質的充足は手に入って当然として、どのような役割がプラスされれば、自身のこれからの人生が豊かになるのかを考えておくことが大切です。

「家族が仲良く過ごせる家」「趣味を実現する家」「家事の負担を軽減する家」様々ありますが、今回は「パフォーマンスが向上する家」というテーマで考えてみましょう。

パフォーマンスが向上するための要件

仕事のパフォーマンス、運動のパフォーマンス、勉強のパフォーマンス、向上させたいパフォーマンスは人それぞれあると思いますが、全てのパフォーマンス向上に共通して言えるのは、「心と体」が健康であるということでしょう。

人は、いくら旅行が好きな人でも、いくら仕事に生きている人でも、寝ている時間を含めて、人生の約7割を家の中で過ごしていると言われています。

心と体を健康的に保つために、カウンセリングや健康的な食事、適度な運動など、様々な対策が取り上げられていますが、人生の7割を過ごす家に対して「心と体」の健康を考えて家づくりをしている人はどれほどいるでしょうか。

「家は寝に帰っているだけだから安くて小さい家で良い。」や「家では食べて寝れたら良い。それ以上は求めない。」という言葉を耳にすることがあります。

家の中でも暮らしを重視される人は当然ですが、家の中での暮らしより外部での活動を重視される方にとっても、その外部での活動のパフォーマンスを高めるためには、住環境というのはとても大切なのです。

心の健康

現在、私たちが過ごす社会は「ストレス社会」だと言われています。

災害や事故、身近な人物の死、病気や怪我といった心身への負担がかかる重大な出来事はもちろんのこと、日常生活の中で生じる問題や出来事や環境の変化などの全てが「ストレス」につながっています。

これらのストレスの根本的な解決へ導くのは住環境では難しいかもしれませんが、ストレスの予防やケアにつながる住環境に近づけることは可能だと思います。

ご自身にとってのストレス発散方法

人によってストレス発散方法は異なります。

嫌なことがあった時は、「美味しい物を食べるという方」や「欲しかった物を買って物欲を満たすという方」、「泣ける映画を観てひたすら泣くという方」や「体を動かして汗を流すという方」、様々あると思います。

これらの、自身にとってのストレス発散方法をより快適により満足に行える空間づくり行います。

「美味しい物を食べるという方」は、より美味しい料理が満足に作れるよう広いキッチンにしたり、より料理が美味しそうに見える照明計画や窓配置計画を行ったダイニングにすると良いでしょう。

「欲しかった物を買って物欲を満たすという方」は、買った商品の受け取りがスムーズに出来るよう、宅配BOXを設置したり、買った物が満足に飾れたり収納できるようにすると良いでしょう。

「泣ける映画を観てひたすら泣くという方」は、映画館のような雰囲気を演出しより映画にのめり込めるよう、遮光カーテンにして日中でも部屋を暗くしたり、照明でムードをつくったり、スピーカーを設置すると良いでしょう。

「体を動かして汗を流すという方」は、ご自身が求める運動の内容によって必要な面積や器具の設置を行い、より快適に出来るよう全身鏡の設置や気温や湿度の調整が可能な機器の設置を行いましょう。

体の健康

睡眠の質の向上が話題となっていますが、睡眠や入浴などの疲れを取るための住環境の整備は、体の健康のためにとても重要です。

睡眠の質を向上させる寝室

睡眠は、時間も大切ですが質の良さが更に重要であるということが分かっています。

※OMRON「vol.141 睡眠が健康に与える影響――睡眠は「時間」も大事だが「質のよさ」がもっと重要!https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/141.html

睡眠の質を向上するために、現在様々なグッズが販売されたり、生活の改善方法が提示されたりしていますが、そもそもの住宅自体も睡眠の質向上にはとても重要なのです。

快適環境をつくるには「調温・調湿・換気・空気清浄」の4つの要素が大切だと言われています。

4つの要素を快適にするには、断熱性能の向上や空調設備などの対策が重要です。

家が建ってしまってからでは手遅れとなりますので、事前にしっかり検討しておきましょう。

※参照記事「居心地の良い住まいづくりのポイントhttps://housing-labo.casa/category/plan-design/post-1065/

また、睡眠の質の向上へは、五感への対策も重要となってきます。

87%を占める視覚への対策は、入眠しやすい照明計画やインテリア、起床しやすい朝日の射し込みなどを考慮します。
7%の聴覚へは、外部の音がどの程度気になるエリアなのか、建てる環境を考慮します。
その他にも、寝具の好みやアロマなどの睡眠グッズを活用して睡眠の質を向上させましょう。

入浴の質を向上させる浴室

入浴に対しては、最適な給湯温度だけでなく、肩からお湯を注いでくれるリラックス機能やミストによる癒し機能など、様々な商品が有りますので、「お風呂は入れたら良い。」ではなく、短時間で疲れを取ってくれる浴室も検討しましょう。

まとめ

いかがだったでしょうか。

家の外で行われるコトへのパフォーマンスの向上には、人生の7割を過ごす家の中の環境が、切っても切り離せないほど重要な要素だったのです。

人それぞれ、心と体を健康にする方法は異なりますが、それぞれの方法で住環境を整え、それぞれが求めるパフォーマンスを向上させましょう。

ご自身にとってのパフォーマンスを向上させるための住環境の整え方については、是非当研究所にご相談ください。

info@housing-labo.casa

《執筆者》

一般社団法人 住宅研究所
「暮らし視点の住まいづくり」研究開発担当
主任 谷口真帆香

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