家事ラク住宅のつくり方
2022/06/06
現在、日本における共働き世帯の割合は、6割を超えると言われています。
また、「名もなき家事」というのが話題になっていますが、そんな名もなき家事も含めた、共働き夫婦の家事の時間は、男性が12分/日で女性が207分(3.45時間)/日ということも分かっています。
※参照(厚生労働省) https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/17/backdata/3-2-13.html
例えば、平日のとある1日で考えてみましょう。
1日24時間の内、睡眠時間が7時間、移動含めた就業時間が8時間、朝の支度や食事の時間、入浴時間などに3時間使ったとすると、残りの6時間となり、その自由時間の半分以上が家事の時間で占められてしまっているということです。
つまり、特に女性にとっての家事ラクは絶対条件なのです。
では、どのすれば家事がラクな家になるのか考えてみましょう。
家事の負担を軽減する2つのポイント
住宅を計画する上で、家事の負担を軽減するのに重要なのは「収納計画」と「動線計画」の2つです。
※参考記事 「暮らしやすい間取りにするために取り入れるべきポイントhttps://housing-labo.casa/category/plan-design/post-446/」
しかし、1つだけ注意すべきことがあります。
それは、展示場の間取りやプラン集の図面を参考に、そのまま自身の住宅のプランに反映してしまうことです。
住宅会社側からすれば、それほど楽なお客様はいません。
新たな間取りを考えなくても良いからです。
その住宅のつくり方は、本当に注文住宅といえるのでしょうか。
参考例をベースにオンリーワン家事ラク住宅へ
住宅というのは、その購入するモノを外から触って使用する商品と異なり、モノの中に自身が入って生活するという数少ない商品です。
人は、自分自身には気づいていないクセや特徴が必ずあります。
自分にとって使いやすい収納や動線でなければ、いくらプロが考えた参考例も使いにくいモノとなってしまうのです。
まずは、展示場やモデルハウスなどの収納計画をベースに、ご自身の荷物は何がどれくらいの量あるのか、どこに収納するのがベストなのかという視点で体感体験します。
動線計画も同様に、展示場やモデルハウスなどの動線計画をベースに、朝起きてから仕事に行くまでのモーニングルーティーンと仕事から帰って来てから寝るまでのナイトルーティーンがやりやすいのか再現します。
このように、プロが考えた参考例をベースにご自身にとっての使いやすい収納計画と動線計画を設定していくのが正しい家事ラク住宅のつくり方です。
何度も言いますが、展示場やモデルハウスはあくまでもベースとして活用しましょう。
生活のトレースでオンリーワン家事ラク住宅へ
あなたは、問診を受けずに手術を受けますか?
アメリカの不動産の資格は、医師・弁護士に並ぶ三大資格と言われています。
つまり不動産の仕事は、人の人生や命に係わるほど、重大な仕事だということです。
裏を返せば、購入者側のみなさんも、住宅建築というのはこれからの人生を左右するほどに大切な事であるという認識をしなければいけません。
「営業担当者とそりが合ったから」とか「展示場のデザインがイメージ通りだったから」という安易な判断で住宅会社を決めたり住宅建築を行うのは危険です。
自身の事を住宅会社にしっかり知っていただき、住宅会社のこともしっかり理解し、自身の実現したい暮らしを叶えてくれる住宅会社なのかを判断する必要があります。
自身の事を知っていただくというのは、「和モダンにしたい」や「BBQがしたい」などといった、「足が痛いです」とお客様自身が気づいているような表面的なことだけではありません。
触診したりレントゲンを撮るといった行為と同じように、ご家族の平日と休日の1日の生活タイムスケジュールを理解してもらったり、現在の自宅にどのような物がどれほどの量あるのか家具や家電など荷物を全て確認してもらうことが重要なのです。
それらを、しっかり間取りに反映させない限り、家事ラク住宅にはならないのです。
「そんな住宅会社見つからない」という方は、是非当研究所にご相談ください。
info@housing-labo.casa
ITや最新家電を活用した住宅づくり
IT業界や家電業界は日々もの凄いスピードで進化し続けています。
現在、若い世代を中心に「タイパ(タイムパフォーマンス)…時間対効果」を重視する考え方が流行しています。
「人気の店に行ったが定休日だった」なんてことがないように事前に予約しておくことは当然のこと、お目当ての食べ物や商品の在庫があるのかどうかまで事前に確認するという方も増えています。
メディアでもよく取り上げられるのが「コレって何の時間?」とドライヤーの時間やシャンプーの詰め替え交換をしている時間を削るために、手で持たずに髪の毛に風を当てられるドライヤーを固定する金物や巻いておけば乾くタオル、詰め替えなくてもそのまま使えるエコなパウチ型シャンプーなど、各業界様々な工夫で「タイパ」の良い商品が生み出されています。
その辺、少し住宅業界はのんびりしている部分があるので、住宅建築の際は事前に大型家電量販店や特殊家電を取り扱っているお店に行って、どの家事の軽減をしてタイパを上げたいのかを考え、それを取り入れたい旨住宅会社さんに伝えることをオススメします。
自分で考えるのは難しいという方や、その中でも何が住宅に取り入れられるのか分からないという方は、是非当研究所にご相談ください。
info@housing-labo.casa
まとめ
いかがだったでしょうか。
家事ラク住宅の参考間取りや参考書などはたくさん存在します。
しかし、今もなお家事負担で悩んでいる方がいなくならないのはなぜでしょうか。
そうです。参考間取りや参考書はあくまでも参考で、自身にフィットするかどうかとは別の話なのです。
是非、ご自身にフィットしたオンリーワンの家事ラク住宅を見つけてください。
《執筆者》
一般社団法人 住宅研究所
「暮らし視点の住まいづくり」研究開発担当
主任 谷口真帆香