住まいづくりを始めるなら先ず触発を受けよう
2022/04/08
住いづくりを始めようと思い立ったら先ず大いに触発を受けましょう。
Instagramでいいなと思うインテリアを探すのも良いし、最近家を建てた友人の家に行ってどこが気に入ったのか色々聞いてみるのも良いでしょう。
何となくそろそろ家を建てようかなというだけでフワッと住まいづくりを始めるのは避けた方が良いと思います。
多くの方にとって初めての住まいづくりでしょうからその初期段階で自身の感性を目覚めさせてから住まいづくりを具体化する方が良い住いづくりに結び着くと思います。
「知識」の収集ではなく「暮らしへの感性」の刺激を受けましょう
日本の庶民に洋風住宅が紹介されて今年はちょうど100年の節目の年。
初めて2DK住宅に住み始めて70年でもあります。自動車もスマホもなかった時代の延長線上に現在主流のプランである4LDKの和洋折衷の暮らしがあります。
これだけ暮らしが多様化しているにもかかわらずほぼ一律の考え方のプラン構成です。
おそらく今のお住まいもその延長のはず。
これだけ変化の激しい時代の人生100年時代に、これから半世紀以上70年近く住まう家ですからこれまでの固定概念は捨てるぐらいの気持ちで、最新の暮らしについての触発を受けて感性を目覚めさせましょう。
他の商品を買うのとは意味が違う住宅という商品
商品の中に入って自由に動いて、出たり入ったりもしながら半世紀以上の期間で人生の70%程度の時間をそこで過ごすという商品は住宅しかありません。
しかもオーダーメードできるという商品です。
発注者側がしっかりとしたどのように使うのか、つまりこういう暮らしがしたいという方向性を持つ必要があります。
そのために最新の暮しについての触発のシャワーを浴びましょう。
ただし、触発という情報は情報ですから友人であってもその方の住宅であって自分の住宅ではありません。
触発を得たら「自分は新しい住いでどんなコトを実現したいのか」それにこの触発を受けた情報は役立つのかという自身の考え方をしっかり持ちましょう。
いやむしろこういう風に考えることによって自身の実現したいコト、実現したい暮らしがはっきりすると思います。
モデル住宅は有効に使いましょう
住宅は暮らしの器ですから自身がこのモデル住宅に住むとしてという視点で「体感体験」して理解することが大切です。
案内してくれる営業が構造や設備部材の説明をする営業なら無視しても良いでしょう。
住まいづくりの初期に一番大切なコトは「どんな暮らしができるのか」「どんな暮らしがしたいのか」の触発を受けることです。
それがないなら次のモデル住宅へ行きましょう。
※参照記事 総合住宅展示場を見学する時の注意事項
「https://housing-labo.casa/category/housing-company_selection/post-491/」
※参照記事 住宅会社の良い営業マンを見極めるコツ
「https://housing-labo.casa/category/housing-company_selection/post-735/」
新しい住いで「実現できるコト」、「実現したいコト」
触発を受けたい内容は例えば「寝室からウォークスルーのクローゼットを通って洗面、エステルーム、バスとつながっており、起き抜けでシャワーを浴びて全身の手入れをしてこれなら自信を持って颯爽と出かけられる」などの新しい暮らしのヒントでその触発から「私ならこうしたい」を「自身が暮らすとしたら」という視点で考えましょう。
売込みと触発は別次元の話ですから注意しましょう
「この化粧コーナーは便利で素敵ですから提案します」とか「提案」してくる営業はお客様を中心に置いていません。
「提案という名の自社の考えを押し付けてくる売込み」と捉えても良いと思います。
安易にあれもこれもと採用しようかなと考えるのではなく「自分が使うとしたらこれは本当に使いやすいのか」あんな場合、こんな場合と様々具体的にご自身の日常を置き換えて考えてみてください。
「触発」の体感体験と情報提供はしていただけるのはありがたいのですがご自身の暮らしですから売込み(提案)は横に置いて、ご自身で具体的なシーンを想定して判断するようにしてください。
自身がどんな暮らしがしたいのかは案外自分では気づいていない
触発がない状態では自身の現状の暮らしについては案外気づきません。
触発をされて「そうかマイ・エステルームは自分には必需品なんだ」と気づくなんて言うことがあります。
掃除機をかけると思い込んでいたがモップでの掃除が日常になってたんだとか意外な思い込みも発見することがあり「自分の暮らしを自分は理解していない」に気づけば「住まいづくりの具体化はスタート可能な状態」です。
思いこみの殻を破り、触発で感性を目覚めさせれば「自分が住むとしたらこれはどうなのか」「もっとこうした方が良いかな」とご自身の暮らしに置き換えて自分自身で暮らすとしたらという視点で正しく判断できるようになります。
住まいづくりの具体化の準備完了です。
「モノからコトへ」が重要な順序
住宅というモノは「自身と家族が新しい住いで実現したいコト」があって初めてプランというモノのカタチを正しくつくることができます。
プランづくりというモノのカタチを決めるのではなく「実現したいコト」を家族で共有化することが大切です。
その「実現したいコト」をご自身とご家族がモデル住宅で疑似的に体感体験していただくとより鮮明化します。
実現したい暮らしの「コト」がはっきりすれば間違いのない「モノ」という住宅が出来上がります。
まとめ
住いづくりのスタートは「触発」を受けるところから。
現実的な敷地の広さや法規制、資金計画などの建築与条件の枠組みがあるからこそ何を優先して住まいづくりを進めればよいのか。
これから先半世紀以上も暮らす住宅ですから最新情報にも触れながら「ご自身が住むとして」という視点でブレることなく考え、取捨選択を進めてよい住まいづくりを進めましょう。
《執筆者》
一般社団法人 住宅研究所
代表 松尾俊朗
一級建築士