住まいを楽しみ、人生を楽しむ暮らしの実現

住まいづくりの目的を明確にして取り組むと良い住まいが手に入ります。
キッチンはこうしたい、あるいはインナーガレージが欲しい、大きな吹抜が欲しいとか様々実現したい夢を、住まいづくりを始めるときには抱くものです。
住まいづくりに向かうモチベーションが明確で、素晴らしいと思います。

このような夢を描くときに、2つの物差しを使うと、もっと夢を具体的に考えることができます。
まず、考えておきたいのは、これから建てる住宅に、どのくらいの期間、過ごすことになるのかという、「時間軸」を物差しにするということ。
そして2つ目の物差しは、「目的」です。
「キッチンはこうしたい」という想いは、憧れのシーンや、ご家族と一緒に食事を作りたいとか、どのように過ごしたいとか、目的があると思います。
この「目的」で考えるという物差しです。
この2つの物差しを持つことで、先ず、日常の家事なども含む、生活の営み自体を楽しむこと、つまり日常の暮らしを楽しむことができる住まいを、創ることができます。
そして生涯を通して、日々を暮らすこと自体、心が満ち足りるという住まいを創ることにもつながります。

なんだか「哲学的で難しい話」のように、思えてしまうかも知れませんが、この2つの物差しは、住まいづくりには大切なことです。
ご自身にとって、納得の行く住まいづくりを実現するための「重要な考え方の軸」です。
具体的に考えてみましょう。

生涯の7割の時間を過ごすのが住宅

衝撃的な事実です。
仮に30才で自宅を建設したとしましょう。
現役バリバリで、仕事も面白く、出張も多いかもしれません。
そんな「仕事中心に生きている」あなたでも、冷静になって自宅で過ごす時間がどれだけあるのか、考えてみてください。

ウィークデーの5日間は、朝6時に起床し、7時に家を出て、通勤、出社、仕事を済ませて19時に帰宅したとしましょう。
24時間の内、自宅と自宅以外の場所で過ごす時間の比率は50:50です。

ウィークエンドは、土曜日は、ゆっくり起きて、のんびり家で過ごし、日曜日は午後から5時間程度買い物やスポーツ、外食をして過ごすとするなら、週末の2日間の自宅と自宅以外の場所で過ごす時間の比率は、概ね10:90です。
年間祝日が16日間あり、ゴールデンウィーク、お盆休み、年末年始の休みを考慮して実態を大まかに掴むと、60%の時間を自宅で過ごしています。
これが現役を退く、70才までの40年間続きます。

70才で現役を退き悠々自適の生活を送る場合、概ね90%の時間を自宅で過ごしているそうです(これでもかなりアクティブ派)。
仮に90才で生涯を閉じるとすると引退後の暮らしは20年間です。
30才で、ご自宅を建ててから90才で、生涯を終えるまでの60年間を、現役時代と引退後の生活で、自宅で過ごす時間を加重平均すると、「人生の7割の時間を自宅で過ごす」ことになります。

この「人生の70%の時間の質をより高くすること」が、住いづくりの「本質」です。
一人一人が過ごす「時間の質」(Quality of Time)の高い暮らしを営むことを目指すのが、住まいづくりのプロの視点です。

おひとり、お一人にとって、楽しい時間、心豊かな時間、笑顔で過ごす時間を上質な時間とするなら、「時間の質」が高いと言っても、その内容は個人差が大きく様々です。

答えは、ご家族ごとに、そしておひとり、お一人の中にあります。それを住いづくりのプロと相談しながら、整理することがポイントです。

確かに住宅は、高額な買い物です。
しかし、人生の7割の時間を過ごす暮らしの器ですから、最も多くの金額を投資すべき対象ですし、人生を楽しむ「時間の質」(Quality of Time)への投資というのが住まいづくりです。

住まいづくりという「暮らしの器づくり」

プラン空間を設計するという行為は、そこに住まうご家族の暮らしの器を設計するということでもあります。
暮らしの器は、先ず、安全安心の高いレベルの耐震性能と併せて、大きな横揺れを減衰する制震性能を有すること。
そして、快適性能の一つの目安である、高いレベルの温熱環境性能を有するというのは言うまでもありません。
さらに自然光を、季節ごとにどのように制御しながら、上手に取り入れるのか、隣家の視線をかわしながら、外部空間を視覚的に取り入れるのかなど「暮らしの舞台」を組み立てて行きます。
このような視点で暮らしの空間を構成できる設計者は、かなりレベルが高いのですが、本来の「暮らし視点の設計」としては、さらにもう一歩高いレベルの設計を目指します。

暮らし視点の設計

住宅の基本性能の高さと、暮らしの舞台を創れる設計力は共に暮らし視点の設計をする際の必要条件です。
暮らし視点の設計で最も大切なことは、そこに住まわれる方の「暮らしを共有し、価値観を理解すること」です。
むずかしく聞こえるかもしれませんが、「場」×「コト」×「登場人物」で「暮らし」ですから、例えば、キッチンという「場」で、休日に昼食を作るという「コト」を、ご主人、奥様、8才の女の子という「登場人物」で行うことが暮らしです。

このシーンでは、「家族が一緒にワイワイと楽しく昼食を作る」ことに「価値を見いだしている」という事になるのだとしたら、女のお子様を含む3人が一緒に作るためには、身長差のある8才(130cm)の女の子が、料理のしたくに参加しやすくするために、一時的に調理時に使用する高さ15cm程度踏み台を用意するか、キッチンの調理する側の床を15cm下げて(反対側の床は15cm上がった状態)、向かい合わせで顔を見ながら作れるようにするのかなど、様々な対処策があります。
「家族が一緒にワイワイと楽しく昼食を作る」という目的を共有化させていただく工夫で、より質の高い時間を提供することができます。
この次元で住まいづくりを進めるために、「Architecture Design & Life Coordinate」という暮らし視点の設計手法を、ハウジングラボでは、導入し、お客様の時間の質にこだわった設計をしています。

暮らしの時間軸を大切にした住まいづくり

先程の8才の女の子が、14才になったら、8才の時に使っていた踏み台は不要になるだけで済みますが、キッチンの料理をする側の床を、もし15cm下げてしまうと、向かいに立って料理する際の、包丁を使う時には、低すぎるかもしれません。
逆に奥行90cmの広いキッチンだとしても、広範囲に手が届くようになりますから、料理の盛り付けには、有効かもしれません。
暮らし視点の設計では、時間の経過とともに、暮らしがどのように変化するのかという「時間軸」を大切にし、見通した設計も重要な視点です。
「場」×「コト」×「登場人物」=「暮らし」の場は同じでも、コトが、微妙に変化したり、登場人物が成長したり、メンバー構成が変わったりします。
未来の暮らしを考えることも、住いづくりの楽しいプロセスです。

暮らし視点の住まいづくりでの構法選択

ハウジングラボでは、「RC(鉄筋コンクリート)外断熱住宅」と木造進化系の「木造外貼り断熱住宅」の2種の工法を採用しています。
それぞれの特徴と良さについては、別コラムに詳しく記していますが、暮らし視点の住まいづくりという観点で考えると、コストを抑えて、よりきめ細かなレベルでの対応ができるのは、「木造外貼り断熱住宅」です。

ただし、「木造外貼り断熱住宅」でも、最高水準の快適性能を得ることはできますが、「RC(鉄筋コンクリート)外断熱住宅」の「異次元の快適性能」とは一味異なります。
温熱環境の質の違いがもたらす暮らし方の違い、インテリア空間としての構造躯体が見える部分、例えば柱とか梁が木なのかコンクリートなのか、あるいはコンクリート打放の壁の有無など、様々に異なる部分があります。
住まい方、ライフスタイル、ご予算、地耐力という技術面などを総合的に判断させていただき、暮らし方やライフスタイルに応じて、住いづくりのプロと一緒に構法を選択するのが適切だと思います。

暮らしの舞台としてのインテリア空間

RC外断熱住宅の場合は、折角コンクリートという他の住宅構法にはない、素材を使用しているため、コンクリートの梁、壁をその素材をそのままインテリア空間に使うという独自のスタイルを創ることができます。
一方、進化した木造住宅を選択した場合は、コンクリートの素材を活かすということは難しいのですが、それ以外のインテリア空間の作り方の自由度は高くなります。
また、柱はり構造のため、耐力壁という構造的に重要な壁以外は自由に抜くことも可能で、後々になってインテリアテイストを大きく変更することも可能です。
この大規模な模様替えなどを行う場合に木造の場合、配線や配管、照明の位置、スイッチの変更なども、自由度が高く可変性という面では有利です。

時系列で暮らしを考えた住宅設計

「住宅の耐久性能」と「住宅設計」は直接的には、関係がない様に思えますが、実は住宅設計は耐久性能に、大きく影響します。
注文住宅の良いところは、設計の自由度が高いということですが、構造躯体のことを考えずに、むやみにプランをつくってしまうと耐久性能に問題が生じます。
また、生涯この家に住むという視点で考えた場合、数十年単位で大きく暮らし方が変わり、インテリアスタイルや空間構成を大きく変えようとする場合などには、前述の可変性の高い、木造の優位性が発揮されます。

暮らしに木を活かしたインテリアについて

暮らし空間に木を活かすインテリア空間は、多く見受けられ、人気のインテリアです。
木造住宅は元を正せば、柱、梁構造に床、壁、屋根に板を貼って造っていたのがスタートですから、インテリアは全て「木」で仕上がっていたと言っても過言ではないと思います。
やがて土壁や漆喰、瓦、そしてタタミなどが加わり、建具兼間仕切り壁として、障子、襖などで、空間を閉じたり、開け拡げたりという可変的で多用途に使える空間が生まれたわけです。
これらの自然素材をベースとしたインテリアは「アース カラー」を基調とした落ち着いた色合いのものですが、柱はりという直線的な空間に、畳の縁に紺色などの強い色を使った幾何学模様で構成された床など、シンプルで飽きの来ない、それでいて斬新な和のインテリア空間を生み出してきました。

洋風の生活が当たり前となり、ビニールクロス仕上などの、新建材で覆われたインテリアが主流となる中、新たなセンスでの「木」のインテリアが求められてきました。
可能な限りできるだけ、木を露出するインテリアを採用される方も、多くいらっしゃいますが、インテリアとは別の健康素材として着目されて、木を多く採用される等「木」への評価尺度も一様ではありません。

特にインテリアで「木」を活かす場合、木の露出度を減らすと木の良さが発揮されるという傾向もあります。

あえて、木の露出度を減らすことによって、木質の存在感が際立たせるという手法を採ることが多くなってきました。

日本では木を活かすインテリアというと木肌そのものを活かすという一つの方向だけのように思えますが、海外ではそうでもありません。
日本人のインテリア感覚に、遠いようで近い、スウェーデン、フィンランドといった北欧のインテリアは日本以上に木をふんだんに使っていますが、木肌の風合いを活かしてばかりというわけでもありません。
ほとんどがペイント仕上げで、カラフルですが、ちゃんと木質を感じます。
サッシもほとんどが、インテリアの方向感に沿って塗料で着色された木製サッシです。
トリプルガラスという断熱性が高く、しかも重たいガラスをサッシにはめ込むのが一般的です。
サッシの枠を木で製作するので、結構大きな部材で作らないと、その重さに耐えるだけの強度が出ません。
結果として、室内外の大きな部材のサッシ枠の露出面積が大きくなり、そこを人体に無害な塗料でペイントします。
アクセントとすることも、インテリアに溶け込ませることも自由自在です。

対候性を高めるために木製サッシの外側にアルミ材のカバーを取りつけるのが、風雪に曝される部分に取り付けるのが、一般的になってきています。
サッシの内側木製枠はインテリアに合わせて、自由に着色することができますから、それに引きずられるように、外側木製枠に取り付けられたアルミのカバーも、耐久性の高い焼付塗装で、色選択の幅が広く、170色以上から選択することが可能になっています。

私の自邸も35年前の建設時にはサッシ内側の木製枠はフォレストグリーンという深みのあるグリーンで仕上げていましたが、13年前に改装した際にワインレッドに塗り替えて、新たなインテリアを創りました。
サッシの外側のアルミカバーはフォレストグリーンのままです。
塗装仕上げというと日本ではオイルペイントのにおいを含むイメージが強く、あまり受け容れられていませんが、木を活かす塗料を使い、木肌使いとは異なる、木を感じさせる別角度の「木を活かす」アプローチでのインテリアはいかがでしょうか。

木の活かすインテリアと言っても
・木肌をできる限り、多く露出させて木を活かすというインテリア
・逆に木肌の露出度を抑えることによって木肌の存在感を活かすインテリア
・木はふんだんに使っておきながら塗料で着色して、覆い隠し、木肌を全く見せないような処理をしても、木を十二分に感じるインテリア

など、アプローチは多様です。
せっかく木造住宅で自邸を建てられるとするなら、従来の木肌をふんだんに使うという視点以外の木の活かし方も、インテリアテイストの方向性と考え合わせながら、選ぶのも楽しいと思います。

まとめ

暮らしの器が住まいですから、ご自身の暮らし、ライフスタイルを住いづくりのプロと共有しながら、適切な構造躯体の選択を行い、コンクリート住宅ならコンクリートの良さを、木造住宅なら木の良さを活かした住まいづくりを進めましょう。
「場」×「コト」×「登場人物」=「暮らし」という方程式をご自身の暮らしのシーンにあてはめて、考えることでご自身お暮しを立体的に確認できますので、まずそこから始めましょう。
そして生涯の住いとして考えた場合、もう一歩踏み込んで、「目的」と「時間軸」という物差しを使って、暮らしの各シーンについて、踏み込んで考えて行くと良い住まいづくりを行うことができます。

生涯持ち時間の7割を過ごす住宅内部空間、インテリアについて、構造躯体素材のコンクリートや、木を有効に使って、ご自身スタイルの納得の行く、インテリア空間を創りましょう。
特に木造住宅で木を活かしたインテリアにしたいという場合は、従来の木肌を活かす以外の様々な手法がありますので、是非ご相談ください。

株式会社ハウジングラボ
代表取締役 一級建築士 松尾俊朗

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