RC(鉄筋コンクリート)外断熱住宅を楽しむ暮らし

RC外断熱住宅(正確にはWメーソンリー/ブロック2重壁構造)に暮らして、早いもので34年が経過しました。

北欧、北ヨーロッパ発祥で、日本では北海道から生まれたこの躯体構造は、木造主体の日本のほとんどの地域では、知られないまま、長い時間が埋もれてしまっていました。
私が北海道/札幌へ仕事で赴任した、1978年当時、まだ北海道でも断熱気密技術が十分に確立されておらず、学者や専門家の間でも様々な議論が続いていました。
壁内結露の問題、室内の換気の問題など、断熱気密化を進めたことで起こる様々な障害が、次々に起こり、後手々々に回りながらも、多くの方々のご努力で解決して行った時代でした。
寒冷地の北海道ですら、断熱の技術が無かった時代、無断熱の木造住宅よりも、温熱環境が良いとされて、ブロック住宅が、北海道では戦後の一時期、普及しましたが、現在の水準では考えられないような低水準の温熱環境でした。
1980年代に入り急速に、北欧、北ヨーロッパ、カナダなどの寒冷地の技術を、多湿な環境の日本向けに改良しながら、主に木造住宅の断熱気密化技術が導入されて行きました。
そのような中、北ヨーロッパの石造の蓄熱容量の大きな素材を、ブロックやコンクリートに置き換えて、外側からすっぽりくるんでしまうことで、ブロックやコンクリートの高熱容量を快適環境に利用するという外断熱技術が生み出され、異次元の快適環境住宅の黎明期を迎えました。

このような断熱気密技術の起動期に、多くの優れた学者、研究者、技術者、設計デザイナーの方々と出会えたのは、個人的に、幸運であったと思います。
1987年、大阪へ転勤になり、大阪の夏の暑さを、このRC外断熱技術で快適環境に変えられるという確信の下、自宅をRC外断熱住宅(Wメーソンリー/ブロック2重壁構造)で建設しました。
そのあたりのことについては別掲コラム「34年経過しても新鮮なデザインで、最先端の性能の家」をご参照ください。

前置きが長くなってしまいましたが、ここでは、その躯体性能がもたらす、異次元の快適環境が暮らしを「革新」することになるという視点で述べさせいただきます。

異次元の快適性能が暮らしに「革新」をもたらす

冬季間の寒い時期を暖かく、夏の暑さを涼しく過ごしたいという願いを叶えるのは、住いづくりを進める際の、重要な要素だと思います。
そこで気密性能と共に、遮熱、断熱性能を高めるという技術を、住いづくりに投入して、できるだけ熱損失の少ない住宅造りが現在の先進の住まいづくりです。
ハウジングラボでは、さらにその先の、異次元の快適環境を提供できる「高蓄熱/高蓄冷」性能を持つRC外断熱住宅へと進化させています。
異次元の快適性能が、どのような形で、暮らしに革新をもたらすのかを知っていただきたいと思います。

単純な住宅というハコとしての性能競争ではなく、私たちの日常の暮らしを、より心豊かな「時間の質」として還元されるようにするには、性能を生み出すハード(RC外断熱住宅)と、暮らしへ性能を活かすソフト(Kurashinnovation.暮らしの革新)の両輪を持つ住まいづくりこそ重要です。

快適性能の基礎知識

まず、ハード面を理解するために、熱の伝わり方の3つの形態について基本的なことを知っておきましょう。

  • 熱伝導:熱が個体物質内を介在し移動する現象です。熱伝導の良い棒状金属材料の片側を暖めると熱は棒状内を他端に移動し、暫くすると両端の温度は等しく成ります。つまり直接モノが熱を伝えるのが熱伝導です。冬季の冷たい空気に触れた建物が直接冷やされる場合や、床暖房で直接体に温かさが伝わるなどの場合が「熱伝導」です。サッシもアルミより熱伝導率の低い、樹脂を利用することも、熱伝導を抑える工夫の一つです。
  • 対流:空気や液体等の流体内で熱が、温度差により流体が移動、循環し伝えられる現象です。暖まった空気は上昇し、冷えた空気は下降します。その過程で暖かい空気から冷えた空気へ熱交換されることが「対流」です。グラスウールなど、綿状の断熱材は、中の空気が自由に動けないため、対流による熱交換を阻害し、抑えています。
  • 熱放射:熱が放射線(赤外線)によって空間を移動する現象です。太陽光やガスコンロの炎、赤外線ヒーター、焚火等にあたると暖かく感じるのは人間の体が熱放射を受けているからです。遮熱シート(金属箔など)は、夏の強い太陽光による、熱放射を抑える工夫です。

水が高いところから低いところに流れるように、温度も高いところから低いところへ、熱伝導、対流、熱放射の3つのルートで伝わって行き、均質になろうとします。
冬季間に冷えた外気が直接住宅内にはいらないように気密化工事を施し、汚れた空気を外部へ非出して、新鮮な空気を室内に取り入れる換気のために、熱交換換気を行う等の工夫をし、熱損失を減らしています。
建物の断熱性能をあげるため、熱伝導、対流、熱放射の3つルートから熱を逃がさないように、出来るだけ屋根もしくは天井、壁、床もしくは基礎、開口部の断熱性能を上げる工夫をしています。
例えばアルミサッシを、樹脂、もしくはアルミ/樹脂の複合サッシにして「熱伝導」を抑え、ペアガラスの間にアルゴンガスを封入して「対流」による熱交換を抑制し、ガラスに金属コーティングをして「熱放射」を抑えるという工夫です。

断熱性能、気密性能を極限まで上げても、文字通りの「熱を断つ」ことはできません。
冷えた外部温度環境と暖かい内部温度環境は、何も室内に熱源を設けなければやがて均一の温度環境になります。
外部と内部環境が同じ温度環境になろうとするのを、邪魔して遅れを生み出すことが断熱/気密性の限界です。
もちろん昼の取得熱を有効に使いこれを熱源としてゼロエネルギーの住宅を目指すということも技術的には可能です。

快適を蓄える住まい

日本国憲法第25条、「すべて国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とあり、温熱環境だけを目的とするわけには行かず、精神的な健康や、より文化的な暮らしを求めると、例えば、庭に向って開放感満載の空間を求めれば、より大きな開口部の設置などが必要になってきますが、断熱性能はやや低下します。
住宅は性能競争のハコではなく、「人生を楽しむ暮らしの実現」の場であるべきです。
このバランス感覚が良い住まいづくりのポイントの一つになります。

ハード性能と暮らしの楽しさ、心豊かな暮らしを実現する住まいづくりのバランスを、より高い次元まで進化させたのが、「異次元の快適性」をもたらす「高蓄熱/高蓄冷容量」という、新たな快適性能を有するRC外断熱住宅です。
実生活の中では一日を通して全く同じ温度環境ということは無く、朝から夕暮れまでの日射時間などによっても、食事の準備のための加熱による熱取得などによっても、温度環境は変化しています。
夜間は、太陽からの取得熱が消え、陽が昇れば外部からの取得熱は上がり室温は上がります。
自然エネルギーで発電した電気を蓄えて有効に活用することが、重要なテーマであるように、住宅の熱の出し入れのダムの役割として、冬季には蓄熱、夏季には蓄冷できる性能を持つことができると、より均質で、上質な住環境が実現できます。
もちろん省エネでもありますが、何よりも快適さの質が異なります。

RC外断熱住宅は、言い方を変えれば、季節や時間帯、生活状況によって生じる室内温度の上下をRCの躯体が吸放熱し、快適温熱環境を維持しようとします。つまり、「快適を蓄える」ことができるということです。

熱が伝わる熱伝導、対流、熱放射の3つのルートで、室内の温度環境が一時的に上下しても、ゆっくりとRC(鉄筋コンクリート)の構造躯体全体で吸放熱して温度を均質にたもとうとする能力のことを「高蓄熱/高蓄冷容量」を持つ住宅と言います(蓄電池の容量が大きいのと同じです)。

RC躯体に蓄冷/蓄熱された熱が、住空間に躯体から供給される熱の伝わり方は、人間にとって最も心地よい「輻射熱(放射熱)」として供給されるので快適さの質が異なります。
四季を通じて余分な熱をRCの躯体が自然に吸放熱をすることで快適な温熱環境を提供してくれます。

拙宅の1・2階の壁、RCの梁、2階のスラブ(鉄筋コンクリートの構造床)、2階の屋根スラブの温度を計測すると、四季を通じて、全てのカ所で21~23℃を維持しており、快適を蓄え、維持してくれています。
この快適温度環境が建物全体から輻射熱として、そこで暮らす人をやわらかく包み込んでみ、厳冬期であることや、猛暑日であることを全く忘れさせる、「異次元の快適性」を提供してくれます。

エアコンの気流を感じることもなく、ただひたすらに、家の中の環境があまりにも自然に快適となり、体もそれに馴染んでしまい、厳冬期の日であっても、猛暑日でもあっても、開口部を通して、目に入る庭は、いつでも爽やかな庭として目に映つり、この快適室内温度環境が、現実には外部の厳しい温度環境の庭ですら、爽やか環境の庭のように思えてしまうという錯覚に陥ってしまします。
庭の花が気になって、なにげ無くテラスドアを開けて外に一歩出た瞬間、「なんだ、この寒さ!」、「なんだ、この猛烈な暑さ!」となって愕然とすることが、年に何回もあります。RC外断熱の住宅は防音も完ぺきで、外部騒音も伝わってこないため特にこの楽園環境に浸りやすいのかもしれません。

RC外断熱住宅に、暮らしてみての感覚は、従来の常識を覆す、暮らしの「革新」です。

高蓄熱/高蓄熱容量性能を持つRC外断熱住宅の、やわらかな輻射に包まれて、体の芯まで快適さが伝わっているせいか、真冬の寒い日に駅まで、徒歩15分間の間に体が冷えることが無く、むしろ爽やかに、感じて深呼吸をしたくなります。
大阪の真夏の朝夕も暑いのですが、朝夕なら何とか、駅まで持ち堪えられます。

収納内部もいつもカラッと快適

快適性能が上がると、冬の重たい寝具や、厚手の室内着が大幅に減少するか、必要が無いことに気づき、結果として無くなってしまったということも起こります。
静かに実感として感じられる暮らしの「革新」です。
収納内部も、年間を通してカラッとしており、カビとかは無縁の暮らしになります。
もちろん躯体性能だけではなく、換気計画、冷暖房計画も性能に見合ったバランスの取れた設備計画を組み立てることも重要です。
さらに居室の配置だけでなく、収納部の位置、換気計画についても考慮します。
超高性能な快適環境をもたらすRC外断熱住宅は、その性能を上手に使いこなすために、創りて側の、ハード&ソフトの建築、暮らしの総合力が必要な住まいづくりでもあります。

まとめ

ハウジングラボは、「暮らしを研究する」という意味の「Housing Laboratory=住宅研究所」を略して、「Housing Labo」と名付けて設立しました。

「暮らし」×「イノベーション」で、住宅内で過ごす、暮らし「時間の質(Quality of Time)」を高めるために、既成概念にとらわれることなくKurashinnovation.(暮らしの革新)で、一人一人に最適な、そして自然に家族のコミュニケーションが生まれ、暮すこと自体が楽しく、穏やかで、人に優しい暮らしの革新を目指しています。

生活への不満や、不便さの解消という暮らしの「-」領域を、クリアすることは当たり前とし、より暮らしを楽しみ、人生を楽しむ暮らしの「+」領域という、心の豊かさを生み出す空間/住まいづくりを進めています。

家族の在り方や、個人の人生観の多様化が進む中で、一人暮らし、2人暮らしというライフスタイルが、増加し、定着してきています。
年代や、将来もそうかということは別にして、全世帯の2/3が2人以下の世帯です。特殊な暮らし方ではなく、もはや主流と言っても過言ではないでしょう。
しかし、そうしたライフスタイルの多くの方々は、仮住まいとしての賃貸集合住宅に住まわれています。
上下や左右の部屋の音の問題やペットの制約等、「生涯暮らす住まい」としては不充分な状態で、日々を過ごされています。
3人以上の家族を中心に考えるのが家というのも、もはや「不自然」です。
一人のライフスタイル、パートナーとの暮らしなど従前の価値観に縛られることなく、Kurashinnovation.Quality of Timeを創る視点と発想が必要です。
「暮らし」×「イノベーション」は、突飛な発想ではなく「必然の発想」で考えますので、新たなライフスタイルを、お考えの方も、お気軽にご相談ください。

〈構法/工法の選択について〉
「異次元の快適性とデザイン」を求める方には、RC(鉄筋コンクリート)外断熱住宅をおすすめします。
また、「よりきめ細かなプラン/空間構成」を求める方には、木造プレウォール工法の住宅もおすすめしています。
適切な工法の選択についてもお気軽にご相談ください。

株式会社ハウジングラボ
代表取締役 一級建築士 松尾俊朗

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