「色が持つ効果や特徴」素敵なインテリアにするためのカラーコーディネート
2022/02/28
インテリアコーディネートの重要な要素の1つが「カラーコーディネート」です。
色には様々な効果があり、家の広さ感や落ち着き感、お子様の心理などに大きな影響を与えます。
好みや雰囲気で何となく決めるのではなく、それぞれの色の効果や特徴を知った上で住まいのインテリアコーディネートに活かしてみてください。
カラーコーディネート
色は、組み合わせや対比によって、様々な効果をもたらします。
今回は「モノトーン」「ナチュラル」「ブラウン」「レッド・オレンジ・イエロー」「ブルー」「ヴァイオレット・パープル」「グリーン」「多色配色」の8つの分類で、それぞれの「色が持つ効果や特徴」を知るところから始めましょう。
モノトーン(隣接する色を引き立てる)
黒、白、グレーはモノトーン(無彩色)と呼ばれ、色味のないグループに属しています。
黒
黒は、暗く気持ちを沈ませるイメージを持っているため、広い面積に使いすぎると、圧迫感のある重苦しいインテリアになり注意が必要です。
また、黒は隣接する色を一段と美しく見せる働きもあり、家具や小物などのアソートカラー、アクセントカラーとして使うとメリハリの効いた空間が生まれます。
白
白は、爽やかさや崇高さ、明るさなどのイメージを持っています。
また、白も黒と同じように隣接する色を美しく見せる色ですが、トーンの高い白を広い面積に使った場合、目にまぶしく感じたり、不安定な心理状態になることがあります。
グレー
グレーは、クールや落ち着き、おだやかなどのイメージを持っています。
明度の高い、温かみのあるグレーをベースカラーとしてモダンな空間に使われるのが人気です。
明るいグレーは隣接する色を美しく見せる色として、白黒よりやわらかく、家具や小物を引き立てる働きを持っています。
ナチュラル(自然素材を活かす)
ナチュラル系の色というと、主に木や石などの自然素材の色をそのまま生かしたアースカラーな色合いをさします。
木の素材色を大切にした空間は、家の内外の一体感を重視する日本人の感性が考え出した色合いの一つです。
また、床や壁に用いられる素焼きのレンガや、家具に使われる籐や竹、カーテンや椅子の張り地に使われる生なりの木綿や麻を好む人々も多く、世界各地で多様なインテリアを展開しています。
具体的な色合いとしてはアイボリー、ベージュ、ブラウン系が中心ですが、草木の緑もこのナチュラル系の色に入れることがあります。
【効果】
これらの自然素材の色は、緊張感が少なく、親しみやすい温もり感、くつろぎ感を演出してくれます。
自然と語り合う山荘のインテリアには勿論、ゆったりと落ち着いた気分で家族や友人が語り合うリビングやダイニングに、また静かに読書を楽しむベッドルームなどに適した色合いです。
とくに強い個性を持たせたくない空間や、飽きの来ない空間を望まれる場合に、好んで使われています。
ブラウン(落ち着きと安らぎを与える)
ブラウンは土の色、木の色、動物の色など、人類の身近な存在として古くから親しまれてきました。
肌の色も大まかに言えばブラウンの仲間ですが、人間は自分と同じものを受け入れ、異質のものを排除する傾向があると言われます。
木の椅子、テーブルは目が休まり、木の家は心が安らぐと言われているのもこの辺りの事情によるようです。
ブラウンは落ち着き、安らぎ、渋さ、自然、粋、完熟などのイメージが考えられます。
インテリアの色としてはライトトーンからダークトーンまで、ブラウンは暖かみがあり、他のいろいろな色相との組み合わせもよいので、変化に富んだ部屋づくりができる色としてさまざまに使われています。 ただ、フローリングとドアの巾木のように、ベースカラーとして使うブラウンは微妙な色の違いが空間の一体感を失わせることがありますので、材質は違っても色の統一に注意したほうがいいでしょう。
レッド・オレンジ・イエロー(情熱や暖かみを与える)
レッド、オレンジ、イエローは暖かいという感情の起きる色のグループで、暖色系と呼ばれています。
鮮やかなレッド、オレンジ、イエローはインテリアで使う場合はかなり強い色になりますからアクセントカラーにしたほうが無難です。
これらの色は下手に使うとけばけばしくなったり、安っぽい雰囲気になるので注意が必要です。
レッド
レッドは、暖色系の代表で、膨張色、進出色という特徴があります。
レッドには人を高揚させ活気づける力がありますが、使いすぎると刺激が強すぎて逆に神経をいらだたせます。
レッドと同じ色相でも、これがピンクになると甘いやさしい雰囲気になります。
ピンクでもイエローを混ぜると暖かみのある健康的なサーモンピンクに、ブルーを混ぜると冷たい感じのローズ系のピンクになります。
オレンジ
オレンジは、レッドとイエローの中間にまたがる色で生き生きとした健康的なイメージがあります。
イエロー
イエローは、真昼の太陽のイメージがある鮮明で活動的な色です。
イエローの刺激は神経を興奮させ、脳の情報処理を促して食欲を起こさせるといわれています。
ダイニングルームなどの食事の空間に上手に取り入れたいものです。
一般的には住空間には穏やかな落ち着いた色調が適していますが、プライベートルームなどには部分的に活用すると楽しい雰囲気づくりを演出できます。
ブルー(冷静さや清涼感を演出)
ブルーは、さわやかさ、新鮮さなどのイメージが考えられます。
住宅インテリアの場合は暖かみのある明るさを大切にすることが一般的ですが、冷静さや落ち着きある性格にするために採用するケースもあります。
しかし、「寒い」「沈んだ」イメージに片寄らないよう、面積配分やトーンに注意が必要です。
ヴァイオレット・パープル
紫は、青と赤を混ぜた色であり、青味が多いか赤みが多いかにより、ヴァイオレット(青紫)とパープル(赤紫)に大別され、それぞれの与えるイメージも違います。
紫は、一般的に好まれる色というよりは、個性的な色として受け取られるため、インテリアにはどちらかというと使われにくい色のようです。
しかし、中間のトーンの紫色は穏やかで繊細なイメージを感じさせますので、ファブリックスに使う例も見られます。
また、彩度の高い紫の場合は、和の空間に取り入れれば無理なくまとめることができます。
グリーン(自然と生命を象徴)
緑は、自然と生命の連想から、安心や穏やかさなどのイメージがあり、目を休め、心身をリラックスさせる効果もあると言われていることから、インテリアには非常に多く使われる色です。
しかし、他の色との配色が難しいため、同系、類似配色でまとめられている例がほとんどです。
緑色を他の色と配色するには、かなり高度なテクニックが必要なため、最も難しい色といわれています。
また、観葉植物として緑色をアクセントにする使い方はあらゆるインテリアになじみ、空間のセンスアップになります。
多色配色(カラフルに色を楽しむ)
多色配色は、住まい手のライフスタイルに合った多種多様の配色が考えられます。
一般的に日本のインテリアの色は無難な色にまとめがちです。
しかし、いろいろな色を効果的に取り入れることで、そこに生活する人々により一層、心豊かなうるおいを与えることが出来ます。
多色配色の調和を図る基本的な方法は、トーンに共通性を持たせること。
また、面積や形、配置する場所に十分、考慮する必要があることはいうまでもありません。
手順の一つとしてまず好きな色、その部屋に使いたい色を決め、その色と相性のよい色を選びます。
例えば、好きな絵にあわせてカラフルなクッションをいくつか選ぶという方法もあると思います。
多色配色は大変難しい配色ではありますが、バランスよくまとまりますと楽しく、生き生きとした空間になります。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、それぞれの「色が持つ効果や特徴」をお伝えしましたが、組み合わせや対比させることで更に幅広い効果が出てきます。
インテリアコーディネートをする際は、無難に選択するのではなく、是非様々な色の効果を活用しながら、楽しい空間づくりをしてみてください。
《執筆者》
一般社団法人 住宅研究所
「暮らし視点の住まいづくり」研究開発担当
主任 谷口真帆香