総合住宅展示場を見学する時の注意事項
2021/11/22
総合住宅展示場はいくつかのハウスメーカーが出店している体感型展示場です。
様々なハウスメーカーを短期間で見て回る事が出来、とても参考になります。
しかし、一歩間違えればせっかく楽しいはずの住まいづくりが楽しくなったり、失敗する住まいづくりの道へと足を踏み入れてしまう事になるので注意しましょう。
モデル住宅の作り方
総合住宅展示場内にあるモデル住宅は、大きく3種類の作り方に分かれています。 それぞれのメリットとデメリットを理解し見学されることをオススメします。
➀部屋単位でインテリアテイストが異なるモデル住宅
スウェーデン発祥の世界最大の家具量販店「IKEA」のような部屋単位でインテリアテイストを変えるテーマ別モデルルーム形式の作り方です。
■メリット
・ご家族それぞれの好みのインテリアテイストを見つけるための参考になる。
■デメリット
・モデル住宅のお客様像の暮らしが見えにくく、住まいづくりにおいて最も重要なお客様ご自身の暮らしにフィットした住まいづくりを見つけるにくい。
②自社特徴を伝えるための仕組みを盛り込んだモデル住宅
住宅性能である耐震性能や断熱気密性能、耐久性能を伝えるために、壁や天井の一部をスケルトンにし、壁の内部の仕組みを伝えるようなショールーム形式の作り方です。
■メリット
・建ててしまったら見えなくなる部分が事前に確認出来る。
・包み隠さない部分に安心感や信頼感が持てる。
■デメリット
・壁の内部見ても何が良くて何が良くないのか分からない。 ・モデル住宅のお客様像の暮らしが見えにくく、住まいづくりにおいて最も重要なお客様ご自身の暮らしにフィットした住まいづくりを見つけるにくい。
③家族設定をしっかりした統一感のあるリアルなモデル住宅
モデル住宅の「全体コンセプト」「家族構成」「暮らし設定」がしっかり構築された、ご入居済み宅の見学会形式のリアルな作り方です。
■メリット
・モデル住宅の設定家族とご自身のご家族との違いを比較しやすく、どのように変えればフィットした住まいになるのか検討出来る。
■デメリット
・ワンテイストしか見ることが出来ないので、全く異なる設定家族だった場合は別のモデルや実際に住んでおられるオーナー様宅の見学も併用させる必要がある場合もある。
好みのデザインにすることや納得いく性能を確保することは住まいづくりをする上で重要な要素です。
しかし、デザインはある程度好みなテイストに近づけることは可能ですし、総合住宅展示場に建っている住宅会社のほとんどが必要十分な性能レベルに達しているため、住まいづくりの初期の段階では、③のようなモデルを見学し、住まいづくりにおいて最も重要なお客様ご自身の実現したい暮らしを明確にすることから始めましょう。
〇〇無料に惑わされない
総合住宅展示場は、いくつかのハウスメーカーのモデル住宅を一度に見学することが出来る為、ハウスメーカーは常に競合関係にあり、あの手この手で次のステップへ進めようとします。
それは、悪いことではありませんが、最も重要な「お客様ご自身の暮らしにフィットした住まいづくりをする」ということがブレないようにしなければいけません。
➀敷地調査無料
土地有りのお客様に対して、全くお客様ご自身の暮らしが明確になっていないにも関わらず無料の敷地調査を進めてくる住宅会社や、土地無しのお客様に対しても、お客様ご自身の暮らしが実現出来る土地なのか分からない状況で自社分譲地案内を進めてくる住宅会社も少なくありません。
お客様ご自身の暮らしが明確になっていない状態で敷地調査をしても、せっかく所有されている大事な敷地を最大限に活用するための調査にはなりませんし、人生で1番高価な買い物の一部である土地を一般論で良いとされる情報のまま購入してしまい後々後悔するといったことも少なくありません。 「敷地調査無料ですよ」と、無料だからと言って敷地調査をしようとするハウスメーカーではなく、「お客様の暮らしにフィットした住宅づくりをする上で、所有される敷地を最大限に活かしたいので敷地を見させてください」とお客様の実現したい暮らしを理解した上でおっしゃられるハウスメーカー様に依頼する事をおすすめします。
②プラン/見積もり無料
「プラン/見積もり無料ですよ」とおっしゃられるハウスメーカーの方をよく目にします。
・ご夫婦とお子様2名の計4名の住まいづくり。
・リビングに併設した和室が必要。
・家事動線を便利にしてほしい。
・建物予算は2,500万円希望。
・建物面積は35坪希望。
以上の5つの条件をクリアしたプランは、インターネットで「4LDK 間取り」や「便利な家事動線 間取り」と検索したらごまんと参考プランが出て来るでしょう。
しかし、そのプランは、「休日は家族でBBQをしたい」という家族や「ワールドカップはリビングに設置した大画面で観戦したい」という家族や「ご主人以外女性で洋服の量がとても多い」という家族、どの家族に対しても一律で一般論のプランです。
このインターネットで検索したプランとハウスメーカーの方に伝えた5つの条件で差は有るのでしょうか。
お客様の暮らしを理解するという事は、プランを書くための条件集めではありません。
結果として4LDKになったとしても、その4LDKの中でそれぞれのお客様毎の暮らし方や持っている物の種類や量によって異なるプランが出来るというのが本来の注文住宅なのではないでしょうか。
初期のまだお客様のことを理解していない段階で無料だからと言ってプランや見積を進めてくるハウスメーカーは、本当にお客様ご家族の事を理解して住まいづくりをしてくれるのかをしっかりと見極めましょう。
まとめ
総合住宅展示場に来られるお客様の中には、「子どもが大きくなってきて家が狭くなってきたからそろそろ家を建てようかな」「親に言われたからそろそろ考えた方が良いのかな」「いつかは家を建てたいな」そんな漠然とした気持ちの方も多く見受けられます。
どのような形でのスタートであれ、お客様が家を建てる1番の目的は「家族の幸せ」だと思います。
総合住宅展示場に行った際には、住宅会社都合ではなくお客様ご自身の暮らしにフィットした案内や進め方をしてくれるお客様を中心に置いた住まいづくりをしてくれる住宅会社を見つけましょう。
《執筆者》
一般社団法人 住宅研究所
「暮らし視点の住まいづくり」研究開発担当
主任 谷口真帆香