危険な暑さ環境/巨大地震想定の最新木造住宅

地球温暖化の影響か、日本列島は夏季「危険な暑さ」が年々厳しさを増しているようです。
筆者の自宅がある大阪府枚方市でも、夏季には連日最高気温が、35~38℃を超え、最低気温も28℃程度までしか、下がらないという日が、あたり前化しています。
直射日光が当たらないガレージに、駐車していた車に乗って出かけようと、車載の外気温度計を見ると42℃を指しているということも珍しくは無いので、気象庁の発表気温より、実際の気温は高いのではないかと、いぶかりたくなるほどの異常高温です。
これからの住まいづくりには、「危険な暑さ環境を前提」にした住宅が必要です。
もはや、夏季の危険な暑さも、災害レベルと言ってもよいくらい、厳しさが増していますから住宅の温熱環境性能も実現可能な範囲で、高める必要があると思います。

また、以前から南海トラフ地震が発生する確率は、今後30年以内に70~80%程度と発表されていましたが、この夏、初めて「南海トラフ臨時情報」が出され、1週間は「要注意期間」ということで列島に緊張が走りましたが、とりあえず1週間は、大きな地震もなく過ぎ、一旦は解除されましたが、発生確率が下ったわけではないので、引き続き注意は必要でしょう。

南海トラフ地震は、フィリピン海プレートとユーラシアプレートが接する部分で、プレートが動いて発生する巨大地震のことですから、これまでの住宅の耐震等級3程度でよいのかという疑問も湧いてきます。
巨大地震の発生確率の高さを前提に、耐震/制震性能も引き上げることが住宅にも必要でしょう。

本題から外れますが、震源地の位置によっては巨大地震発生に伴って、津波が発生します。
津波に関しては、東日本大震災のような、巨大津波には、住宅建築側だけで対策することは難しく、立地の変更や防波堤、更には命を守る行動で、速やかに避難するなど、住宅だけで何とかするということは、残念ながらできません。
大規模な崖崩れや山崩れなども同様です。

それでは実現可能な、危険な暑さに対しての最新の温熱環境対策と、巨大地震への対策の、Casa Laboの考え方を、築35年の圧倒的な、快適性能と安全性を併せ持つ住宅の、経年変化の実績も踏まえて、今後の住宅の在り方(特に木造住宅)について説明します。

危険な暑さへの対策を講じた超快適住宅

まず、最初に筆者が暮らしている、築35年の不思議な「実験住宅?」兼「自宅」の話から始めましょう。
仕事の関係で、若いころに、札幌に9年間ほど暮らしていました。
その時に出会った建築の師匠の影響で、外断熱を施した、「蓄熱/蓄冷できる比重の重い材料(ex.鉄筋コンクリートなど)で建築し、外断熱する住宅」は、冬の北海道でも超快適。
それなら、大阪の夏の暑さでも快適だろうと、大阪転勤で、自宅を建てる際に早速実行。
計算上「夏も冬も超快適環境」を「実証するため」には、「自宅での実験」が最適と35年前(1989年)に、ブロック2重壁構造という比重の重い構造躯体に、外断熱を施した住宅(延床面積30坪)を新築しました。
その後、築22年経過(2011年)時に、増築を計画し、今度は「木造外断熱」で増築(15坪増築し、延床面積45坪へ)したため、床面積比2:1で、「蓄熱/蓄冷容量の大きなRC外断熱住宅」と「木造外断熱住宅」の合体という、1棟で「蓄熱/蓄冷容量の大きな超快適性能のRC外断熱住宅」と「快適性能の木造外断熱住宅」を比較できる「不思議な家」になってしまいました。

7月中旬の最も暑い時期に、住宅の温熱環境からデザイン分野までの、北海道と大阪・東京の各専門家20名が来宅され、この不思議な築35年の自邸での、真夏の快適さを体感体験に来られました。
その結論は、「超快適性能と快適性能」の差は、明らかに「快適の質の差」ということになり、その差を言葉にすると、「超快適性能」は「壁がひんやりして爽やかで涼しい」、というこの感覚は「これまで体験したことのない異次元の快適環境」というのが結論。「快適性能」は「心地よいが超快適性能空間と直接比較すると快適さの質が違う」のだそうです。
何を言っているのか体感体験なしでは、分かりませんよね。
出来るだけ分かりやすくなるようにと、数値化する為に、7月中旬~9月初旬までの予定で、夏季の各部屋の、蓄熱性能「ある・なし」などの温度環境を、専門家が計測機器を設置して測定中です。

「異次元の超快適性能」を、生み出すRC(鉄筋コンクリート)外断熱構法の原理は、夏季のエアコン(延床面積45坪で1台のみ)設定温度を室温24℃に設定しておくと、構造体の外側で断熱しているため構造体のRC(鉄筋コンクリート)

徐々に冷やされ、やがて24℃に近づいてきます。
24℃という「涼しさを貯金」するようなものです。
ここで注意したいのが、高性能な断熱材を用いても「熱を断つ」わけではなく、「熱が伝わるのを邪魔して、熱が伝わるのを遅らせる」のが断熱材ですので、外気温が37℃、さらに真夏の直射日光に、外壁や屋根は、さらされて外気温度も外壁温度も上昇し、ゆっくりと室内側に伝わってきます。

昼間は外気温度が高く、直射日光も強い時間帯ですから、こういうときには、構造躯体が「蓄冷」という「涼しさの貯金」を使って吸熱し、少ないエネルギーで快適温度/室内設定温度の24℃に保ってくれます。

夜間には、強い直射日光は無くなりますが、それでも外気温度は、最低気温28℃もあります。
そうは言っても、日中に比べて比較的室内の温度環境との差が少ない時間帯です。
昼間は、壁に蓄冷していた「涼しさの貯金」を室内側へ使って、快適環境を生み出していましたが、夜間には、より少ないエネルギーで、構造体への蓄冷という「涼しさの貯金」をします。

つまり、鉄筋コンクリートやブロック2重壁構造の躯体を、高い性能レベルで外断熱することで、夏は蓄冷、冬は蓄暖ができるようになります。
ダムが水を貯えるのと同じように、快適を蓄えることができるということです。

自邸で採用した「ブロック2重壁構造外断熱構法」は、材料の調達が難しく、更に優れた職人がいなくなったため大阪ではもう実現できません。
現在は、より建築資材の調達や、職人が確保しやすく、比重が大きく蓄熱/蓄冷容量の大きなRC(鉄筋コンクリート)外断熱構法を採用しています。
蓄冷/蓄暖容量が、より大きくなった分だけ「超快適性能」は、高まっていますが、ブロックよりも、重量が重たくなるため、敷地の地盤強度によっては、地盤補強コストがかさむのが難点です。

そこで住宅建築の中では、鉄筋コンクリートより重量が軽く、コストも抑えられる木造で、「異次元の超快適性能」に近づく方法がないかと知恵を絞って創ったが、「Casa Labo木造住宅」です。
簡単にその内容をご説明します。

「逆転の発想」で快適環境性能へ

木造建築で外断熱を採用するだけでも、ヒートブリッジという屋内外の温度が逃げやすい部分を無くすなどの、おおきな利点はありますが、大蓄熱容量で「快適を蓄える」ことは難しいと言わざるを得ません。
そこで「Casa Labo木造住宅」では、考え方を切り替えて、外壁材に比重が大きく単位蓄熱容量の大きな「レンガタイル(厚15㎜)」を貼り、そこに、夏の高い外気温と日射、冬は低い外気温と放射冷却を、一旦蓄えるという、逆転の発想で木造住宅の快適性能をアップグレードする手法を採用しました。

夏季であれば、外気側の高熱が一挙に流れると、「熱が伝わるのを邪魔して、熱が伝わるのを遅らせる」断熱材だけでは、室内側に急激に熱負荷が掛かり、エアコンはパワーでこれを抑え込もうと冷気大量に送り出されることで、局部的な温度差が生じ、不快度が上がり、エネルギー代も上がります。
これを穏やかな川(ex.京都の賀茂川〈鴨川の上流〉)に段々に設置された小さなダム(堰)のように、多くは蓄えられないが、通常の外装材より比重が大きく、熱を蓄えることができる「レンガタイル」を採用することで、吸熱放熱を建物の最も外側で行ない、熱の伝わり方を緩和します。
そのすぐ内側に通気層を設けて熱を逃がし、次に遮熱シートで輻射熱を抑え、最終的に内壁に、設置した建築資材としては、世界最高性能のポリフェノール断熱材で断熱します。
従来の木造住宅が「断熱」と「気密」に頼っていた性能に「蓄熱」を活用するというハイブリッド化の手法を独自に取り入れています。

また、レンガタイルは、吸水率が低く、長持ちする材料(材料としては半永久的に)ですので、イニシャルコストは少し高いのですが、大幅にメンテナンスコストも下がり、半世紀以上住まう家ではトータルコストは、下がります。

巨大地震への耐震/制震対策

地球表面の地殻と、そこに近いマントル上部の硬い岩盤を、プレートと言います。
大陸は今もプレートに乗って移動し続けています。
大陸は、1,000万年とか1億年とかいう長い時間をかけて、数百kmから数千kmも移動したわけですから、水平移動の速度は、数cm~10cm/年と見積もられます。
たとえば太平洋プレートは、年間8cmほどの速度で日本に押し寄せ、日本海溝で地球深くに沈み込んでいきます。
約3000万年前に、プレートの沈み込みによって、ユーラシア大陸の東端から日本列島は引きちぎられ、のた打ち回るような動きをして、現在の列島のカタチを形成しています。
短い時間で見れば、動いていないように見えても、長期的に観れば「のた打ち回っている」状況は、現在も継続中です。
南海トラフ地震は、プレートの動きと膨大なエネルギーによって生じますから、規模が大きく巨大地震の発生が危惧されているというわけです。

それなら、どこまで耐震性能を上げればよいのかという論議になりそうなのですが、その前に、日本で震度計での地震データが記録されはじめてから、まだ150年程度ですから、地球誕生からの時間で考えれば、「ついさっき」からのデータしかないということになります。
世界に枠を広げて、更に歴史地震という、書物に記された状況証拠を合わせても、1800年位前までの巨大地震を推測し、考えることになります。
もちろん最近の地震研究は急速に進んでいますが、実際にどの程度の、どのような地震が、どこで起こるのか、先を読むのはかなり難しいようです。
それに加えて現実的なコスト範囲内で、耐震をどこまで進めるのかは、悩ましいことになります。
そうした現状の中で、最も安全な木造建築を「Casa Labo木造住宅」として提示します。

上部構造体という木造部分は、構造用合板を「柱間に挟む」耐震パネルで、地震時の衝撃で、構造用合板が、外れにくい構造のパネルで、耐力壁として非常時に充分に機能する基本構造を持っています。
また、そのパネルの耐震能力は、特別仕様の「壁倍率5」のパネル(壁倍率1とは壁長1m当り、1.96kNの水平荷重に抵抗できる壁)を、バランスよく、設置可能なすべての壁(制振装置MIRAIE設置壁除く)に、採用しています。
木造では、考えられないほどの高い総合強度を持っている上に、更に「最高性能の制振装置MIRAIE」を12台(2階建延床面積80坪の事例)設置し、巨大地震の揺れを緩和させています。
地震力は上部構造体から、下部構造体を経て、最終的には、地盤へ力を逃がすため、上部構造体の高強度化に呼応させて、下部構造体(基礎)強度を大幅に引き上げています(基礎底板の厚み、地中梁、鉄筋の太さ等)

まとめ

生涯に亘って60~80年間を過ごす住宅です。しかも、生涯時間の正味7割を過ごす住宅です。
Casa Laboでは、そこで暮らす方々の暮らしの器としての住宅は、先進の「Casa LaboRC外断熱住宅」と、「Casa Labo木造住宅」いう構造躯体の「異次元の快適性能」と「巨大地震を想定した耐震/制震性能」をベースに、家族の成長にリンクした暮らしと、住まわれる方々の価値観に基づいた設計を進めています。

さらに、世代を超えて受け継げる資産価値の高い住まいづくりを進めています。
設計デザインというソフトウェアについても、建築設計と暮らしコーディネートという住まいづくりを「住まいづくりパートナー」として、お客様に向き合うことで、お客様の暮らしにとって、最適な住まいを創り上げていきます。
外観デザイン、プラン空間/インテリアコーディネート、仕様設備部材、温熱環境/耐震性能などの住宅性能と、それをもたらす構造/工法、暮らしやすさ、などを、お客様の暮らしを中心に置いて住まいづくりを進めます。
その住まいづくりのプロセス自体も楽しんでいただきたいと思っています。

その中で、従来の、暮らしを超えたKurashinnovation.(暮らしの革新)を実現し、住宅内で過ごす時間の質(Quality of Time)を高め、それぞれのお客様にとって、最適で快適な住まいづくりをCasa Laboは追究し、ご満足をいただける住まいづくりを目指してまいります。
先ずは、お気軽にご相談ください。

〈構法/工法の選択について〉
お客様の暮らしやニーズに対応して、RC(鉄筋コンクリート)外断熱住宅、最新木造外断熱住宅の2種類の構法/工法をご用意しておりますので、適切な工法の選択についてもお気軽にご相談ください。

〈住まいづくり対象エリアについて〉
ご自宅に居ながらオンラインにて全国どこからでもご相談いただけます。
お気軽にお問合せください。

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