34年経過しても新鮮なデザインで、最先端の性能の家

印象的な大きな丸窓が人目を引くデザインです。私がこの家に住み始めて34年も経過しましたが、帰宅時に見える我が家の姿は、いつも新鮮なデザインだなあと思っています。

構造はちょっと分かりづらく、長いのですが「補強コンクリートブロック2重壁外断熱構造」と言われる、馴染みの薄い「組積造(メーソンリー)」です。構造名称が長いので以下「Wメーソンリー」と仮に名付けておきましょう。3匹の子豚の、吹き飛ばされなかった家のようなものだと思ってください。Wメーソンリーは性能的には、「高気密高断熱」に加えて「高蓄熱蓄冷」という、新たな機能が付加されています。あまり聞いたことがないと思います。「Wメーソンリー」は熟練の職人と手間がすごく掛かる工法ですので、現在はよりデザイン性も高い「RC外断熱住宅」として鉄筋コンクリートをすっぽり断熱材で外側から包み込む構法へ進化しています。

いずれにしても、時を経てもなお「新鮮なデザイン」と「最先端の性能」の私の家についてお話ししましょう。

北海道で生まれた「高蓄熱蓄冷」技術を夏暑い大阪へ

時代は遡って、1978年、札幌へ転勤して出会ったのが、私の建築の師匠(勝手にそう思っています)、URB建築研究所 主宰の圓山彬雄先生。様々な建築を全国各地で手がけていらっしゃいますが、住宅分野で特に多いのは、このWメーソンリーの住宅作品群です。

未だ20才台の半ばだった私は、圓山先生の住宅作品のデザインと性能に衝撃を受けました。北海道でも、まだ断熱気密技術が確立されていないような時代に、遥か先を行くデザインと温熱環境性能です。そればかりか、2重壁構造の内側の壁が大きな蓄熱容量を持っているため、真冬に玄関ドアを開けて際に、冷気が持ち込んだ寒さを内壁が吸収してしまい、全く冷えを感じないどころか、ほっこりとした暖かさを感じる、これまでにない快適さの「新感覚」でした。

この衝撃を契機に全く別業界の仕事に就いていながら、いつのまにか、独学で建築を勉強し、ついには一級建築士の資格も取得してしましました。「建築は儲からないが、楽しい」という「悪の道」へ私を引きずり込んだのも、圓山先生とこのWメーソンリーの住宅たちでした。夏は猛暑で有名(?)な大阪本社へ転勤が決まり、これはチャンスと自邸をこの「高蓄熱蓄冷」のWメーソンリーで建てたのが34年前のことでした。

大阪の酷暑も異次元の快適さをもたらす「Wメーソンリー」の家

大阪の真冬の時期が暖かいのは、あたり前ですが、猛暑が続く真夏がどの程度快適なのかを、ワクワクしながら最初の夏を迎えました。高蓄熱蓄冷の構造(Wメーソンリー)と、開口部はスウェーデン製の木製トリプルガラスのサッシが合いまって、快適そのもの。庭の木々が真夏の太陽に照らされて、キラキラと輝き、外気温は37°の猛暑日も、室内温度は24℃でしかも「無音」。温度のデジタル表記よりも、体感する素肌感覚が今で言うところの温熱環境等級が高い住宅とは、段違いの「ひんやり感」をベースにした「蔵の中にいるような」感じです。目には夏の緑鮮やかな木々が映っているのに、「爽やか」という不思議な感覚です。「明るい空間の蔵」といった表現が近いかもしれません。

蓄冷/蓄熱の凄さを実感

妻の実家が北海道ですので、夏休みに2週間ほど北海道へ帰省兼家族旅行で自宅を留守にしたことがありました。

その時、大阪は連日36~37℃の猛暑日が続いていた時期と、たまたま重なってしまいましたが、帰宅して玄関を開けたときにびっくりしました。もちろん留守中はエアコンを切っていますので、さすがにこの家でも「室内はとんでもない暑さになっているのだろう」と、覚悟を決めて玄関を開けた瞬間、「えっ、エアコン切り忘れて出かけてしまったか?」と思ったくらい「涼しい」室内で唖然としてしまいました。2週間続いた猛暑日にもかかわらず、エアコンなしで、室温は2℃上昇したのみの、26℃でした。Wメーソンリー構造の高熱容量の内壁が蓄冷しており、おかげで出かける前と同様の、「ひんやり爽やか快適空間を保持」してくれていました。

まったく驚きの体感体験です。

心豊かな暮らしを楽しむ

34年という年月は、住み始めたころは、幼稚園児だった2人の息子が、小学生、中高生、大学生と成長し、巣立っていった家族の成長期のプロセスでもありました。特に高性能であるからこそ実現できた、「家一軒丸ごとワンルーム」という、大胆な空間構成は、暮らし易さと日常の暮らしの楽しさを自然に生み出してくれました。どこに居ても互いの気配を感じながらも、プライバシーが保たれるという空間です。子ども部屋も天井にドームを持つワンルームという、ユニークな空間です。冬期間は、デンマーク製の薪ストーブ1台で全室快適環境です。真冬でも子供たちは短パンにTシャツに裸足という薄着で過ごしていました。初期の頃には、木材をあっちこっちから調達して、私自身が薪割をしていましたが、やがて、仕事も忙しくなり、奈良県の山奥の木こりのおじさんから薪を分けてもらうようになりました。今では長野県からリンゴの古木の薪を、ネットで発注して送ってもらっています。

薪が燃える炎の揺らぎを観ながら過ごす時間は至福の時間です。

薪ストーブからの輻射熱をWメーソンリーの内壁に蓄熱して、夜浅い時間にくべた薪が自然に燃え尽きると、今度は徐々に四方の壁、床スラブ、天井のコンクリートの四方八方から包むように放熱されて、何とも言えない心地よい快適空間を生み出してくれます。

まとめ

  1. Wメーソンリー(補強コンクリートブロック2重壁外断熱構造)の構成がもたらす、快適空間での暮らしは、そこで暮らす家族のきずなを深め、建物内外の斬新なデザインに常に触発され、楽しく心豊かな時間を生み出します。
  2. Wメーソンリーの高い快適性能が、暮らしを革新してくれました。年中薄着で快適、冬布団不要で収納スペース削減、年中どこも寒いところも、暑いところもない室内環境で健康で伸びやかな暮らしが実現できます。
  3. 室内外の仕上は、ブロック地肌を活かした風合いが独特の優しさを生みながらも、一方で直径3.5mの大胆な丸窓デザインをはじめ、空間デザインは年月を経ても、常に新しい感覚を触発してくれます。

厳しい冬の寒さの北海道で生まれのWメーソンリー構造は、大阪でも、もちろん冬も快適ですが何と言っても酷暑の真夏の涼しさが魅力です。冒頭でも述べましたが、このWメーソンリーは熟練の職人の手間が多く掛かるという欠点を、なくすため「RC外断熱住宅」へと進化せています。この快適性能を活かして、「生涯心豊かに暮らしていただく」住まいを広めたいと願っています。

株式会社ハウジングラボ

代表取締役 一級建築士 松尾俊朗

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