RC住宅(鉄筋コンクリート住宅)の耐震性能/耐災害性能

RC住宅の優れた特徴の一つが耐震性です。

RC住宅は、地震による揺れに対して優れた耐震性を持っています。大空間を確保しながら、鉄筋コンクリートの組み合わせにより、建物の強度と剛性が向上し、揺れに対して柔軟性を持ちながらも、建物の安全性を確保できる構造です。

高い強度と経年変化に強く長期に亘って耐震性を維持

RC住宅は鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造を持ち、その結果、高い強度と耐久性を備えています。コンクリートは圧縮力に強く、鉄筋は引張力に強いため、地震などの外部からの力に対して優れた耐性を発揮します。

「高い強度」と「経年変化に強く長期に亘って耐震性を維持」することが住宅には求められます。

どっしりとした重力感を持ったRC住宅は、見るからに圧倒的な安心感と信頼感を心理的にも与えてくれます。その印象は、一邸ずつ構造計算をすることで、RC住宅に対する安心感という、感覚や心証が裏づけられています。

壁式RC構造を採用

RC構造は柱梁RC構造と壁式RC構造の2種類があります。ハウジングラボのRC住宅は、大空間を確保できる壁式RC構造を基本として採用しています。この壁式RC構造は、建物全体をRC鉄筋コンクリートをモノコック構造(ジャンボジェット機などに用いられる一体構造)としているため、地震力をRC構造の躯体全体へ分散させることで、さらに安全性を高めています。

高度な安全性が求められる航空機の設計思想と同じ考え方です。

さらに、圧倒的な重量感(木造の5倍以上の重量)が、「少々の事ではびくともしない」という心理的な安心感を与えてくれます。この大きな重量のRC住宅は、強風をともなう台風などの襲来時に高い安全性と心理的安心感を与え続けます。

長期間にわたる耐震性能の持続

日本の住宅は全て、建築基準法で、鉄筋コンクリートの基礎と上部構造体の建物を緊結/一体化するということが義務化されています。住宅の上部構造体が、木造であれ、鉄骨造であれ、全て基礎は丈夫な鉄筋コンクリートで造らなければならないという規定です。縦揺れ、横揺れの地震力で住宅は加振されて、大きな力が掛かるのですが、最終的には地盤面(地球)へその力を、鉄筋コンクリート製の基礎を経由して逃がしています。従って大きな力が掛かる基礎だからこそ、全ての住宅は丈夫な鉄筋コンクリートの基礎が義務化されているのです。その鉄筋コンクリートを建物全体に採用している壁式RC造の住宅の安全性が、これだけでもお分かりいただけると思います。

また、住宅をはじめ、全ての建物が鉄筋コンクリートの基礎に緊結/一体化されているということは、全ての建物寿命は、鉄筋コンクリートの寿命ということになります。鉄筋コンクリートが雨や空気にさらされて、酸化されて中性化し、その強度を失って、寿命を尽きる時がその建物の寿命ということになります。鉄筋コンクリートの世界最古の建物は1904年完成の、フランス、パリ18区のモンマルトルにあるサン=ジャン協会です。約120年の歴史と強度を保っています。仮に30才で、家を建てて100才まで生きたとしても、70年間ですから、その強度は十分保たれています。

外断熱化で異次元の快適性能、安心安全性能、長寿命化

 RC住宅は、鉄筋コンクリートの耐久性が高いため、長い寿命を持ちます。正しいメンテナンスが行われれば、さらに長い期間にわたって使用することができます。これに加えてハウジングラボでは、RC外断熱住宅として、RCの躯体を外側から断熱材ですっぽりとくるんでいますので、外的環境からRCの構造躯体が保護されています。雨や直射日光による劣化を避けるだけではなく、躯体自体が夏の強い日射や、冬の寒さ曝されることがなく、躯体は、年間を通して安定した温度環境が保たれています。これによってRCの構造躯体が大きく伸び縮することもなく、劣化しにくい環境になるよう、自然環境から保護されています。家族や将来の世代にとって安定した住環境を提供するとともに、耐震性能を発揮し続けることができます。

高気密高断熱性能+高蓄熱/蓄冷容量

ⅰ)気密性能

RC住宅の躯体構造は、鉄筋を組み、型枠にコンクリートを流し込んで、基礎、壁、床と屋根が一体形成として建設されますので、躯体自体の気密性は必然的に高気密化されています。サッシも高気密サッシを採用し、躯体との取り付け部分も、壁式鉄筋コンクリート造のため、躯体自体が安定しているため長期に亘って気密性能が保たれます。

ⅱ)断熱性能

ハウジングラボでは、外断熱工法を採用しているため、RCの建物全体をすっぽりと、外側から断熱材でくるんでいます。従って、室内側と屋外側が、直接熱的につながっておらず、いわゆるヒートブリッジという「熱が伝わってしまう断熱の断点」もほとんどないため、優れた断熱性能を発揮しますので、夏涼しく、冬暖かい環境を提供します。

ⅲ)高蓄熱容量

RC住宅を外断熱することで、鉄筋コンクリート造の躯体を、熱的に室内側に取り込むことができるため、比重の重いコンクリートという蓄熱容量の大きな素材を蓄熱体として有効に活用しています。この大きな蓄熱容量のRCの躯体に、室内側の暖かさを、躯体に吸熱させることによって暖かさを蓄えることができます。冬季には、蓄えた熱量を輻射熱として部屋の周囲から放射して何とも言えないぬくもり感のある優しい暖かさを室内に供給してくれます。この大容量の蓄熱によって、玄関ドアや窓を一時的に開けても、侵入してきた冷気による温度低下も、直ぐに吸収してしまい快適性を維持します。

ⅳ)高蓄冷容量

RC住宅を外断熱することで、鉄筋コンクリート造の躯体が、冬季には蓄熱体として有効に使えるのと同じように、夏季には蓄冷体として、その大きな蓄冷容量を快適性のアップと省エネに活用することができます。ちょうど蔵の中や、洞窟の中に入ったような、心地よいひんやり感を生み出します。穏やかな輻射冷却効果で、爽やかな快適さを生み出すことができます。高蓄熱高蓄冷容量のRC外断熱住宅は、冬季、夏季、あるいは四季を通して「異次元の快適温熱環境」を創り出します。

防音/遮音性能

RC住宅は、圧倒的な重量感を持つ、どっしりとした躯体自体で、壁や床が厚いため、外部からの騒音を遮断する効果は高く、防音は他の構法とは比べものにならない基本能力を備えています。さらに外断熱化することで、躯体の外部からの音の侵入を、建物の外側で吸音緩和しているため、外部の音の侵入は最小に抑えることができます。外部からの音の侵入は、サッシ部分の遮音性能で決まると言ってよいほどの、防音/遮音性能をRC外断熱住宅は有しています。ハウジングラボでは、もちろんサッシも最高性能ランクの防音/遮音性能を持った、サッシを採用しています。部屋間の音に対しての対策は、オーディオルームなど大音量の部屋からの音を防ぐ場合は、間仕切り壁をRC壁にすれば、木造の間仕切り壁に比べて、音エネルギーの透過を比較にならないほど、減衰させることができます。RC住宅の防音/遮音性能は、躯体の鉄筋コンクリートという性質上非常に高いレベルにあります。

高い防火/耐火性能

RC住宅は、高い「防火性能」と「耐火性能」を備えています。「防火」とは、周辺の建築物が火災で燃えてしまった場合、その影響を受けないための燃えにくさの事です。RC住宅は、コンクリートの非燃性特性により、高い防火性能を備えています。近隣で火災が発生した場合、延焼を防ぎ、周囲の建物や住民の安全を確保する役割を果たします。「耐火」とは、建物自体の燃えにくさを表しています。「火災が起きた際に、その建物自体が倒壊しにくい」ことと、「周囲の建物に燃え移つらないこと」が「耐火」です。ハウジングラボでは、RC住宅を外断熱化しています。その外断熱の断熱材は、天然石の堅い玄武岩を原材料とした、燃えない上に、溶けない断熱材、「ミネラルウール」を採用していますので、万一近隣から火災が発生しても、安心の不燃材料です。

巨大地震発生時の「2の法則」。20秒程度の大きな揺れに耐え、20分後に火災が拡がり、その後2週間程度は、同程度の大きな地震(従来表現の余震)が発生する可能性が高い地震が多く発生しています。このような場合には、地震の被災地で繰り返し、何度も同じ様な大規模な地震が、繰り返される危険性があるということを示しています。この2の法則にも十分余裕をもって耐えるのが、RC外断熱住宅です。

総合的な耐災害性能

全世界の自然災害被害金額の17.5%を占めるほどの災害大国である日本。地震/津波、台風(強風と大雨、高潮)、洪水、土砂災害、大雪、火山噴火(溶岩流、火砕流、土石流他)、森林火災など、災害の種類も多様です。様々な災害時への対応が必要で、最悪の場合でも人命を守り、次に財産を守るという観点での住まいづくりが住宅性能に求められます。近年地球温暖化にブレーキがかからず、夏は猛暑、逆に冬は厳しい寒冷の上に大雪と、地球温暖化は四季を通して気温が上昇するのではなく、極端な高温の夏と、極端に低温の冬という、両極に振れるという傾向が出ています。このような自然環境変化の中で、住宅の総合的な耐災害性能を見た場合、やはり圧倒的な安全性を持つのがRC住宅です。

鉄筋コンクリート造という、質量の大きな建物という利点が様々な種類の災害に活かされています。

最も命を守ることが優先される災害時の緊急かつ危険な状況に際して、ポテンシャルの高い安全性能を有し、住民の生存確率を高める可能性が、最も高いのはRC住宅です。

  • 台風などによる耐強風性能(大きな質量が耐風効果を発揮)
  • 海洋部で発生した地震による耐津波性能(津波の巨大エネルギーに抗する大きな質量)
  • 大雨による耐洪水性能、耐土砂災害などでも、大きな質量のため流される危険性が最も低い
  • 大雪時の建物にかかる大きな圧縮力に対して抗するコンクリートの丈夫さ
  • 火山噴火に伴う火山弾、溶岩流、火砕流、土石流などの頑丈な鉄筋コンクリート造の強み
  • 森林火災、都市部での強風下での大規模火災発生時の防火性能、耐火性能は極めて有効

被災を免れるということが出来ないような激甚災害時でも、最も命を守れる可能性を持つ住まいが、RC住宅です。

被災後の生活においても、電気、ガスなどのエネルギーラインが寸断され、復旧に時間を要する場面でも、RC外断熱住宅が持つ高気密高断熱性能、さらに高蓄熱蓄冷容量という他にはない性能が、エネルギーが途絶えた後も

最低限の温度環境を維持し、住宅内の温熱環境の悪化によって健康を害するという、2次災害を防ぐ機能を有しています。太陽光発電や、蓄電池、PIHV車、EV車などとの組み合わせで、災害の大きさにもよりますが、快適環境を維持することすら可能になります。

安全安心の躯体性能に加えて「デザイン自由度」という性能

RC住宅は、自由に折り曲げることのできる鉄筋(建物にかかる引張力の受持部分)と型枠の形状に併せて流し込めるコンクリート(建物にかかる圧縮力の受持部分)によって、構成されているため、住宅デザインの自由度が非常高いというのも大きな特徴です。コンクリートの素材感を活かす「打放の壁」は人気ですが、この「コンクリート打放の壁を曲面」にすることで、「コンクリートという硬い素材」を使って、「やわらかで優しさを持った空間」を生み出すことも可能です。

内部空間と外観デザインの創造性の高さ

天井をドーム空間にして、漆喰仕上にすれば、ドーム窓から入る自然光をマイルドに拡散させることができ、やわらかな光に包まれる空間を生み出すこともできます。外観デザインでも、大小様々な円形の窓を配置したり、外壁を緩くカーブさせて曲面化させることも可能です。R屋根という個性的で、なおかつ周囲の環境に溶け込む、外観デザインを生み出すこともできます。シャープな直線デザインも、RC住宅の最も得意なデザイン要素です。このように建物を自由にデザインができるだけではなく、そこに暮らすご家族の暮らしが、より心豊かになる空間を創造し、外観に個性を生み出すような様々なデザインが可能なのが、RC住宅が持つデザインの自由度の高さという性能であり、魅力です。

さらに環境への配慮

RC住宅は、コンクリートの原材料であるセメントの製造過程において二酸化炭素を排出しますが、高い耐久性によって、RC住宅は、建物の寿命が長いため、資源の浪費を抑えることにもつながります。また、最近東京大学や、鹿島建設などで、二酸化炭素を積極的に吸収するコンクリートが開発、実用化される段階まで来ています。このようなコンクリートを使用して建築したRC住宅は、一度建物が完成すると、100年以上の長期間にわたって二酸化炭素を吸収し続ける効果が期待されています。

まとめ

RC住宅(鉄筋コンクリート住宅)は、高い耐震性を持っているだけでなく、経年変化に強く長期に亘ってその優れた耐震性能を維持する構造を有しています。このRC住宅を外側から断熱材ですっぽりとくるんだ「RC外断熱住宅は、更に劣化を防ぎ、長期間にわたって耐震性能が持続されます。RC外断熱住宅は、この耐震性能の高さと性能持続性だけにとどまらず、高気密高断熱の快適性に加えて、躯体のコンクリートの高蓄熱蓄冷容量を活かすことで「異次元の快適性」を有しています。高蓄熱蓄冷容量という、快適を保存する能力と、その快適の貯蓄を必要に応じて輻射熱での室内へ供給するという人体に優しい熱のやり取りで異次元の快適性を生み出すことができます。

また、高い防音性能、遮音性能に加えて、高い防火性能、耐火性能を持っています。鉄筋コンクリートの持つ圧倒的な質量感と併せて、RC外断熱住宅は、災害大国である様々な災害に対しての総合的な耐災害性能を誇っています。「異次元の快適性能」と「総合的な耐災害性能」という性能を有しながら、さらに、鉄筋コンクリートという建築素材の「デザイン自由度」と質感を活かした洗練されて、独創性に富んだ建築デザインを可能にし、そこで暮らすご家族の心豊かな暮らしを創造することができます。

株式会社ハウジングラボ

代表取締役 一級建築士 松尾俊朗

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