RC住宅(鉄筋コンクリート住宅)

日本で住宅と言えば、木造住宅が主流です。木を軽量鉄骨に置き換えた住宅も増加して特に違和感なく住宅街に溶け込んでいます。どちらも軸組構造という、日本では約1400年前に導入された建物荷重を柱梁で支える構造です。特に木造は軽量かつ、比較的に加工しやすく、材料の木材も容易に入手可能です。また、災害の多い日本では、被災してもすぐに再建できる(スクラップandビルド)という視点からも、木造軸組み工法が定着してきました。

一方、明治以降に導入された、鉄筋コンクリートで建設するRC住宅は、近年打放壁や、曲線の外壁などがカッコ良いとデザイン面で評価されています。さらに社会環境面では「持続可能な開発目標」SDGsに代表されるように、良いものを長く使うという新たな価値観も浸透して重要視されるようになってきました。また、地球温暖化への関心や、快適性を高めながらも省エネも必須条件とする、複合した社会的要求を満たす住宅が求められています。RC住宅はその多くの問題を解決し、未来へとつながる存在として改めて注目されています。

RC住宅の概要

鉄筋コンクリート(RC)造の建築物は、明治以降長らく公的な建物が中心でした。一般向けのRC住宅の普及は、戦後アメリカ占領下の沖縄で台風に強く、火災にも強いということで、米軍人用官舎から、一気に民間に普及しました。これが初期のRC住宅と言っても良いでしょう。全国的な広がりはなく、戸建住宅の着工数構成比にはごく限られたものでしたが、徐々に富裕層中心に、デザイン性と重量感が好まれて、今日では一定の広がりを見せています。そもそもRC住宅とはどのようなモノなのか、住宅建築の選択肢として、検討する際の知識を持っていただくためにその概要と特徴をまとめました。

RC住宅とは

RC住宅は、鉄筋コンクリート(Reinforced Concrete)を主要な構造材料として建設される住宅のことを指します。鉄筋コンクリートは、鉄筋(引張り力に強い)とコンクリート(圧縮力に強い)を組み合わせることで高い強度と耐久性を持つ躯体構造です。また、RC住宅はその強度と耐震性により、安全で長寿命な住宅です。

さらに、防火、耐火性能にも優れ、家屋が密集する都市部はもちろん、隣家までの距離が離れている田園生活エリアで、地方の消防体制が脆弱なエリアでもより安全な住宅であると言えます。

曲面などの、自由な造形を生み出せるのもRC住宅の魅力でもあり特徴です。特に最近では優れたデザインを求めて、RC住宅にあこがれる方も多くいらっしゃいます。

鉄筋コンクリートの特性

鉄筋コンクリート造の住宅は、鉄筋の引張強度とコンクリートの圧縮強度を組み合わせることで、強度と耐久性の両方を備えた特性を併せ持った、ハイブリッド構法です。RC造には柱梁構造と壁式構造の2種類があります。鉄筋は、柱梁構造の場合も、壁式の場合も、それぞれの躯体に掛かる引張力を受け持ち、コンクリートは鉄筋の保護と、建物に掛かる圧縮力を受け持ちます。この鉄とコンクリートという2種類の建築資材の長所を活かし、短所をカバーし合う、ハイブリッド構法がRC造です。従って、RC住宅の構造は大きな荷重に対して優れた強度、安定性と耐久性を生み出すことができます。

明治以来、日本では、公共建築物をはじめ大規模建築物に利用されてきた建築構造です。特に高い安全性が要求される、病院、学校、警察、消防などは、RC造(鉄筋コンクリート造)がほとんどの建物で採用されています。

RC住宅の構造特徴

RC住宅は、多くの優れた特徴を持っていますので、いくつかのポイントを説明します。

鉄筋コンクリートの耐震性

RC住宅は耐震性に優れています。鉄筋コンクリートの剛性と強度により、地震や風などの外力に対して優れた抵抗力を持ちます。RC造は、許容応力度計算も義務化されている工法で、高度な耐震設計が行われおり、安全性が非常に高い住宅です。

現実的には、建物重量が重く(木造の3倍以上)どっしりとしているため、阪神淡路大震災、東日本大震災でも、古いRC造で軽微な損傷を受けた建物があったものの、他の構造の建物と比べても圧倒的な安全性を示しました。また、地域全体に及ぶような大火を経験した愛媛県の四国中央市、大型台風が強い勢力を保ったまま、毎年のように上陸するような沖縄県などでは、RC住宅の普及が特別に進むなど、RC造の災害に対する強さが実績として評価されています。

長寿命性な耐久性能

鉄筋コンクリートは非常に耐久性が高く、長期にわたって安定した性能を発揮します。コンクリートは強アルカリ性の性質を持ち、空気中の二酸化炭素や、降雨による酸化、夏の強い紫外線など、厳しさを増す自然環境からの侵食に対して耐性があります。コンクリートによって保護されて、鉄筋は腐食による劣化から守られています。このようなことから、RC住宅は長い寿命を持っています。

防火性能

鉄筋コンクリートは、高い耐火性能を持っています。コンクリートは燃えない上に、内部空間もコンクリ―トによって、保護されています。RC住宅が建物として、防火と耐火という火災に対して強いだけでなく、市街地での大規模火災の拡大を防ぐ役割をも果たします。また、鉄筋は高温になってもその強度を維持するため、構造の安定性を保つことができます。これにより、RC住宅は火災時においても住宅の安全性を確保するだけではなく、街の安全性向上にも貢献しています。

断熱/蓄熱蓄冷性能

RC外断熱住宅は断熱性能、気密性能だけではなく、蓄熱蓄冷性能にも優れています。RC(鉄筋コンクリート)造の躯体を外側からすっぽりと建物全体を断熱、気密化することによって、比重の重いコンクリートは暖かさ、涼しさをたっぷりと蓄えることができますから、朝昼晩、春夏秋冬と、外気温度の変化や、日射の大幅な増減があっても、鉄筋コンクリートの躯体全体を蓄熱蓄冷容量として使えますので「快適を蓄える」ことが来ます。必要に応じてRCの躯体が、放熱もしくは吸熱して快適を保つ働きをします。RC(鉄筋コンクリート)という比重の大きな躯体全体を蓄熱蓄冷体として使っていますので、蓄熱蓄冷容量が巨大ですから、夏と冬には特にものをいいます。冬期間なら室内温度が下がれば、躯体から蓄熱した熱を輻射熱として室内に放熱し、夏季には室内温度が上がれば、蓄冷した躯体のコンクリートが吸熱して、室内の快適温度を維持する方向に働くことで、温度変化をマイルドにしています。高性能な断熱材で、建物全体をすっぽりと隙間なく、施工することで熱の逃げ、あるいは侵入を極力防ぐことができ、冷暖房効果と快適性を高めることができます。RC外断熱住宅のこうした性能が、エネルギー効率の向上や、快適な室内環境を創り出しています。何と言っても高蓄熱蓄冷容量の住いの快適性は、体感体験すればその快適性能が桁違いに優れていることが分かります。

防音性能

RC住宅は優れた防音性能を持っています。鉄筋コンクリートの比重の大きな躯体が音の伝播を抑制し、外部の騒音や隣接する部屋からの音の侵入を軽減します。また、適切な間仕切り壁の防音/吸音のための断熱材や内装材の選択により、室内の音の反響や共鳴を抑えることができます。これにより、RC住宅は、驚くほど静かで快適な居住空間を提供することができます。

併せて防音効果の高いトリプルガラスを採用した、断熱気密サッシを採用することで「不思議に感じるほど」の遮音と防音を実現しています。

RC住宅の設計と施工

RC造の建築物は、300㎡(90.75坪)以上の面積を超えるものは一級建築士でなければ設計をすることはできません。実際に、この面積を超えるRC住宅はそう多くはないのですが、そういう規定があるくらい、高度に専門知識を持つ人材による設計が必要です。せっかく有しているデザインの高度な自由度を活かすには、設計者は、優れたデザイナーであった方が良いでしょう。施工面でも木造や鉄骨造の軸組み工法とは大きく異なるため、専門知識を持った施工力が必要です。

設計段階の重要性

RC住宅の設計は重要な段階です。適切な耐震設計や構造計算を行うことで、安全性と耐久性を確保することができます。また、優れた快適性能を活かした居住空間設計や、暮らしを楽しむRC打ち放し壁など、他の構法では実現できない、独特の空間デザイン、インテリアデザインを生み出す設計が可能です。

耐震設計を含む構造面の設計、RCという無機質の材料特性を活かして創りだすインテリア空間、建物外観デザインについても、意匠性の高いRC住宅独特のデザインを生み出すことができます。RC住宅は設計段階がとても重要です。

性能を活かした異次元の暮らし設計

他の工法では得られない快適性能を生み出すRC外断熱住宅においては、その性能を活かして、従来の暮らしとは、全く異なる、暮らしを楽しむ住まいが実現出来ます。その実現には、個人の価値観やライフスタイルをベースに設計を進める高感度な「暮らし設計デザイン力」が必要です。欧米の高感度/富裕層向けの住まいづくり手法である、「建築設計デザインと暮らしコーディネートの専門家(「Architecture Design & Life Coordinate」Supervisor)」が。直接建築主へ対応して進める設計がおすすめです。従来のように、住宅会社の営業、設計という受注と販売を目的とするスタッフや、モノづくりの工務店の社長との打ち合わせで進める住まいづくりでは、RC外断熱住宅という圧倒的な快適性能と、空間力、デザイン性のパフォーマンスを持った住宅の設計には力不足です。まったく違う設計の対応力が求められます。「建築設計デザインと暮らしコーディネート」の2つの分野に精通した人と進めることで、「性能を活かした異次元の快適性を持った暮らし設計」が可能になります。

着工前の地盤調査と基礎工事

自重の重いRC住宅の建設において、地盤調査が重要です。地盤の強度や地震への耐性を、ボーリング調査などによって評価し、建物の基礎設計に反映させる必要があります。地盤改良が必要な場合は、適切な方法を選択して施工します。基礎工事は、地盤の地質や状態から、地耐力に応じて適切な地盤改良や基礎補強を行い、建物の安定性を確保します。RC住宅の場合、この地盤改良と基礎に予想以上のコストが掛かる場合がありますので、注意が必要です。場合によっては建築資金計画/FPによる資金相談で資金的に無理だという判断が生じた場合は、優れた性能を持つ木造に切り替えるなど、柔軟な発想も必要です。「素晴らしい性能のハコ」を無理して手に入れるのか、新居で「住まいを楽しみ人生を楽しむ暮らし」を実現するのかという、家を持つ本質の目的に立ち返るベンチマーク/ターニングポイントになるのがこの地盤調査と基礎工事です。

型枠工事

木造住宅では、プレカット工場で加工された構造材を使って大工さんが正確に構造を組み立てて行く段階を、建て方と言います。構造材が組みあがった時が「上棟」で、建物の形が骨組み/構造壁として、見えるようになった段階です。一つの区切りとして、「棟上式」という祭祀を執り行うなど、図面という紙(CAD)の中の世界から、実物の住宅が姿を現す段階です。建て方は多くの人手が必要ですので、そこを差配する大工の指揮者のことを「棟梁」と言います。棟梁の監理技術とその木加工/組み立てスキルが、弟子に伝わって大工という職人が育成されていますので、木造住宅を造る現場で一番偉い人は大工の「棟梁」ということになります。

RC住宅ではどの段階で、だれが建物のカタチを作っていくのでしょうか。RC住宅では配筋業者が図面に従って柱、梁、あるいは壁の配筋を組んで行き、コンクリートを流し込んでカタチが出来上がって行きます。このコンクリートを流し込む型枠を造る大工のことを「型枠大工」と言います。あまり聞いたことがない職種だと思います。鉄筋は自由に曲げることができますし、コンクリートはどろどろの液状で施工されますので、いかようにでも形を変えることはできますが、その形を造るのはこの型枠大工の仕事です。腕の良い型枠大工がデザインの肝になるような部分を担当します。R壁(湾曲した壁)など、RCならではのデザインは、そのデザインが、図面通りにきれいに出来上がるかどうかは、これを型枠でカタチにする型枠大工の腕次第です。隠れたキーマンです。腕の良い型枠大工は引っ張りだこです。

鉄筋/配筋の組み立てコンクリートの打設

RC住宅の骨組みとなる鉄筋の組み立て作業が行われ、型枠にコンクリートが流し込まれます。設計通りの鉄筋配置を確保し、鉄筋とコンクリートを適切に組み合わせて構造を形成するのがRC住宅です。鉄筋の接合部やコンクリートの打ち込みには高い精度が求められます。

配筋工事では、鉄筋の配置や間隔を設計に従って行います。鉄筋はコンクリートが硬化する際に強度を保つ役割を果たすため、正確な位置と形状で配置する必要があります。配筋作業後にはコンクリートを打設し、鉄筋を包み込んで固定します。

生コンはどろどろの流動性の高い材料ですが、コンクリートの打設後、時間と共にコンクリートの気乾が進み、強度が増してきます。適切な強度を出すためには適切な配筋とコンクリートの打設がポイントです。密に組んだ鉄筋は強いのですが、肝心のコンクリートが鉄筋に回り込めずコンクリートに埋め込まれない鉄筋の部分が生じてしまったり、隅角部の一部にコンクリートが届いていないなどという、トラブルが生じない様に進めるのが、一発勝負のコンクリート打設です。コンクリートを上手く鉄筋と絡ませようと、コンクリートの流動性を高めると、強度が出なかったりします。そのためバイブレーターという振動棒を打設時に適切に使って、十分に鉄筋とコンクリートが絡み合って充填されるように施工を進めます。バイブレーターを使いすぎるとコンクリートの骨材(砂利・砂)とセメントが分離してしまい、これも強度が出ないなど品質に問題が生じてしまいます。コンクリートの打設はRC建築に慣れたプロの施工業者のみができる高度な一発勝負の施工技術です。

もちろんコンクリート打設時の温度管理も重要です。冬期間のマイナス温度環境でのコンクリート打設には、設定温度で適正に配合されたコンクリートを打設したり、夏場などには打設後の直射日光で過乾燥が進まないように日陰を作ったり、場合によっては散水するなどの養生も大切です。コンクリートはゆっくり固まってこそ、その強度が発揮されます。

RC住宅は、建築用コンクリート工事のプロの施工店のみが行える建築工事です。

まとめ

RC住宅は木造住宅の3倍以上の重量があり、どっしりとして耐震性にも耐久性にも優れています。デザイン性にも優れ、打ち放しのRC壁などは他の躯体構造では実現できないデザイン性も持っています。

RC住宅を断熱材ですっぽりとくるむ、RC外断熱住宅は、耐久性も高く、単に断熱性能が高いだけではなく、何と言っても「高蓄熱蓄冷容量」という次元の異なる快適性能を持っています。この快適性能を使って、「住まいを楽しみ人生を楽しむ暮らし」を実現するという住宅建設の本質の目的を具現化することができます。

一方で、次の4つのハードルが存在します。

1、木造住宅に比べてコスト高(+1,000~1500万円(税込)/棟)。
2、地耐力等によっては、建物重量が重いだけに建設に不向きな敷地もある。
3、RC外断熱住宅の技術を持った施工業者が存在しない地域もある。
4、工期が約2か月程度長くかかる。

などの制約があります。

資金力もある程度必要になりますが、投資対効果として見た場合には、大きなメリットがあります。
先ずは専門家との相談をおすすめします。

株式会社ハウジングラボ

代表取締役 一級建築士 松尾俊朗

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