失敗しない「住宅会社」の選び方
2021/10/01
住宅会社って何が違うの?どうやって選べば良いの?
ここでは住宅会社の種類別にそれぞれの良さや特徴を参考にしていただき、ご自身に合った住まいづくりのパートナー探しのヒントになれば幸いです。
住宅会社の種類と特徴
住宅を購入できる業者は大きく分けてハウスメーカー(全国/地域)、ホームビルダー/工務店、設計事務所の3つに分類されます。
それぞれに良さがありますので、正しく理解し、正しく選択し、後悔のない住まいづくりをしましょう。
①ハウスメーカー(全国/地域)
ハウスメーカーと聞くと、高そうなイメージ。CMもしているし、安心なイメージ。
どんなイメージをお持ちですか?
ハウスメーカーとは
正式な定義はありませんが、ハウスメーカーは、日本全国に広く展開する住宅会社を指します。
ハウスメーカーは、CMなどを活用してブランド力が高く、多くは総合住宅展示場に出展しており、簡単にモデル住宅を見学することができます。
企業体質としては、一部では工場生産の品質の高さを訴求している会社もありますが、営業会社という側面が強く、実際の施工は地域の施工店が担っているケースが多く見受けられます。
ハウスメーカーのメリットとデメリット
■メリット
・資本力に優れているため、倒産リスクは低い。
・知名度やブランド力があり、ステータスを得ることが出来る。
・展示場やモデルハウス、構造見学施設等、目で見て分かりやすい。
・商品開発専門の担当やアフターサービスの仕組みがしっかりしている。
・全国の拠点数が多いため1棟当たりの広告宣伝費は低く抑えられている場合が多い。
■デメリット
・会社で定められた仕様部材があるなど型式化されており制約がある場合が多い。
・子会社や下請け施工店等が工事をしていることが多く、それぞれに利益がかかりコストが割高になる。
②ホームビルダー/工務店
ホームビルダー/工務店と聞くとハウスメーカーよりも安そうなイメージ。自分の好みに合わせてくれるイメージ。
どんなイメージをお持ちですか?
ホームビルダー/工務店とは
こちらも正式な定義はありませんが、地元に密着した建設会社を指します。
ホームビルダーや工務店だから安いということは無く、それぞれの工務店の考えで、国が定める性能基準を大きく上回った住宅を建てている会社やこだわりある素材を使用しているため、ある程度のコスト高になるホームビルダーや工務店もあります。
ハウスメーカーはある程度、会社で定められた仕様部材や自社で開発した素材などを使用しなければならいないケースは多いですが、その点工務店は高い自由度があります。
しかし、営業力・設計力・技術力は会社によってばらつきがあり、優良ホームビルダー/優良工務店を見分けることが重要です。
ホームビルダー/工務店のメリットとデメリット
■メリット
・設計の自由度がかなり高い。
・地域の気候風土に合った工夫を取り入れている会社が多く見受けられる。
・木造在来工法が主流のため施工後の増改築やリフォームがしやすい。
■デメリット
・ハウスメーカーに比べると資本力が劣るため、倒産リスクがある。
・営業、設計、工事の分業体制が取れていない場合が多く、話を進めるスピードや設計や工事の期間が長くなる場合がある。
・商品開発部門やアフターサービス部門が設置されていない場合が多く住まいづくりのトータルな仕組みが曖昧な場合がある。
・展示場やショールーム等を持たず、実物を見て判断出来ない場合がある。
③設計事務所
設計事務所と聞くとオシャレな建物を建てているイメージでしょうか?
設計事務所とは
お客様と工務店の仲介的存在で、プラン作成や工務店が図面通りに施工しているのかの工事監理を第三者的に行います。
設計事務所と言っても、デザイン系の設計事務所や、名の通った建築士に依頼する場合は、工事費の約10~20%を設計監理費用を支払う必要が出てきます。
設計事務所のメリットとデメリット
■メリット
・設計監理まで依頼した場合、施工中に施工者とは別の第三者の目で現場を確認してくれる。
・デザイン系設計事務所の場合、独創性の高いデザインを作ることが期待できるが、生活場面での利便性や耐久性などに問題が生じている場合もある。
■デメリット
・名の通った建築士に依頼する場合以外でも、設計監督費用が工事費以外に別途発生する。
・お客様の住宅ではなく建築士の作品として作っている建築士も存在する。
・デザイン系の設計事務所の場合は一品生産のため実物を見て判断出来ない可能性が高い。
まとめ
住宅を発注する業者の種類と特徴を記しましたが、それぞれメリットとデメリットはあります。
どれが絶対に譲れない条件なのかを考える必要はありますが、長期に亘っての住宅の基本性能を有していることは最低の条件として、業者を決める最も大切な基準はたった1つです。
ご自身を中心においた住まいづくりをしてくれる会社なのか
住宅会社の多くは、他社と差別化することが目的となり、自社の構造面等の特徴説明やデザイン力の説明に力を入れているところをよく目にします。
ある程度以上構造や性能の向上やデザイン性がアップした今、会社の良さや特徴を比較して判断する住まいづくりは正しいのでしょうか。
これからは、それぞれのお客様の暮らしを理解しフィットした住まいづくりを、その住宅会社が採用している構造や性能を使うことによって、実現しようとしている「お客様の暮らしを中心とした」姿勢なのかどうかが重要です。
つまり、構造的に大きな窓を採用できることが重要なのではなく、“テラスでビニールプールを楽しんでいる子供の様子を家事をしながらキッチンから見ておきたい”というお客様の要望を実現するために、キッチンとテラスをつなぐ大きな窓の採用が必要で、その大きな窓を採用したとしても耐震性能と断熱気密性能が落ちない工夫をしているという自社の特徴を活かす住まいづくりをしているということが重要だという事です。
それぞれのお客様が実現したいと思っている暮らしを理解しようと最大限の努力をしてくれて、更にその暮らしを実現するための必要な性能をプロとして情報提供しつつ親身になって相談に乗ってくれる業者なのかどうかを見極め、後悔しない住まいづくりのパートナーを見つけましょう。
《執筆者》
一般社団法人 住宅研究所
「暮らし視点の住まいづくり」研究開発担当
主任 谷口真帆香