住宅と敷地を一体で活かして暮らしを楽しみましょう
2022/04/15

戸建住宅の魅力は何と言っても敷地があるということです。
敷地が狭小地であっても有効に使うと心豊かな暮しが実現できます。
敷地にゆとりがあり屋外に出て敷地内で子供と遊ぶという直接敷地を楽しむ楽しみ方と屋内から眺めて四季を楽しむなどという間接的な楽しみ方があります。
せっかく戸建住宅を建てるなら住宅と敷地を一体で活かして暮らしを楽しみましょう。
露地アプローチという敷地の使い方

敷地に入ってから玄関までのアプローチを出来るだけ長くとるという考え方です。
帰宅時の「外の人」から「家庭の人」へ。
「友達との世界」から「家族の和」に入っていく際の切り替えのための「露地アプローチ」は気持ちを落ち着かせ我が家へ誘います。
露地の仕上げにタイルや石を使うなど様々なスタイルの露地を造ることができます。
露地の左右の植栽やアプローチライトの設置で表情豊かな露地アプローチを演出します。
露地アプローチは直線だけではなくL字に曲げるなど敷地の個性を活かして設定します。
雨や雪を避けるための建物本体の軒の出の工夫なども含めて建物のデザインの一部として組み込んで設定します。
住いに近づく際にホッとする気持ちをもたらせてくれる敷地の最初の有効な空間です。
玄関は外との接続空間

毎日出入りする玄関は外とつながる接続空間です。
半外、半内という海へとつながった湖、汽水湖のような空間です。
内玄関から外の空間へと視線を拡げて繋ぐ地窓は豊かな空間を生み出します。
仮に隣地境界との間が僅か50cmしか空いていないとしてもその空間は工夫次第でゆとりを与えてくれます。
地窓のすぐ外に植栽を適切に配すると四季を感じながら出かけて行くことができます。
昼間は採光にも使えますし夜間は外の植栽にガーデンライトを設置すると夜間の外への広がりを楽しむことができます。
ダイニングからの眺めは食事を豊かにします

朝食時に朝陽を招きいれるのと気持ちの良い朝食タイムになると思います。
同時に花が目に入るとさらに豊かな気持ちになれます。
案外草花で四季を感じるのは、こうした毎朝の忙しい時間のちょっとした「隙間の時間」です。
ダイニングのそぐ外で育てるハーブ、朝食のサラダに摘みたてのパセリというちょっとした新鮮なハーブが食事と会話を盛り上げてくれます。
キッチンからの眺めは工夫して少しでも拡げたい

「旧来からキッチンは暗い場所」というイメージがありましたが最近は「メインの華やかな場所」に設置されることも多くなってきました。
それでも収納を出来るだけ多くということで吊戸棚や壁面収納などで開口部は塞がれ、どうしても閉塞感が生じやすい場所がキッチンです。
収納の工夫を様々行って何とか外への視界の拡がりを確保したいものです。
ここでもわずかな外部空間を有効に使って採光と視覚的な広がりを確保することは可能です。
リビングは外部空間と一体化すると楽しい

例え庭が小さくてもリビングから外部へ出られるようにすると、リビング空間の拡がり感も出ますが、楽しい空間になります。
特に子供たちへの影響は開放感という伸びやかさが気分をワクワクさせます。
隣地や道路からの視線を遮りながらも外部との一体感は得るのもが大きいと思います。
外部のテラスやウッドデッキとリビング側の床面の高さ、天井と軒裏の高さをそろえると空間の一体化はさらに増します。
天気の良い日は物理的に開放的に、真夏や真冬、天候が良くないときには視覚的な開放感が楽しめます。
住宅と一体で計画したいところです。
ガーデニングと植栽の考え方の違い


誤解を恐れずに話をしますと「植栽」はプロが設える庭、「ガーデニング」は住まう人が庭づくりのプロセスも含めて楽しむための庭と解釈できます。
プロのガーデナーにお願いするのも良いと思いますがガーデニングは一般的に住まう人が自身のセンスやその時々の想いで造っていくものだと思います。
草花を自身で植えて手入れすることも楽しむというのが「ガーデニング」で、造園業者、植木屋さんが手入れした庭を楽しむのが「植栽」だと思います。
どちらにしても草花や木は人の心を和ませてくれて四季を感じさせてくれます。
せっかく戸建住宅を建てるのでしたら庭、ガーデンを楽しみましょう。
室内にもグリーンを取り入れて楽しみましょう

グリーンの鉢植えを室内に飾るのも外部のグリーンと相乗効果を生み出して爽やかな空間を生み出します。
屋外も同じことですが日照を必要とする植物やあまり必要としないものなどある程度の知識は必要です。
適材適所を考えてグリーンをインテリアとしてディスプレイしましょう。
グリーンのある生活は心の余裕を生み出します。
まとめ
戸建住宅のメリットである敷地があることを最大限生かして暮らしを心豊かなものにしていきましょう。
メインの庭だけではなく各部屋につながる外部空間を有効に使って戸建住宅の暮らしを楽しみましょう。
設計者とよく相談して住宅と外部空間を一体で活かす工夫を考えてください。楽しい暮らしを創りましょう。
《執筆者》
一般社団法人 住宅研究所
代表 松尾俊朗
一級建築士