「木造軸組改良構法+プレウォール・パネル工法」の耐震性能

住宅を建てる際に「耐震性能等級は最高等級の3です」という売り言葉を、いろいろな住宅会社や工務店の営業から、よく耳にすると思います。耐震等級は、地震大国である日本にとっては、住宅を建てる際に重要な要素ということを、意味しているのだと思います。それだけで良いのでしょうか?もちろん耐震性は高い方が良いと思いますし、ましてや低い方が良いと言っているわけではありません。正しい総合的な判断力を持っていただきたいのです。

住宅を計画される場合には、耐震等級という単眼的な視点でとらえるのではなく、地震という災害、台風などの強風による災害などについて、「住宅の強度と暮らし」という視点で、もう少し広い視野で考えてみる必要があります。

安全安心快適な暮らしとはどういう暮らしでしょうか

日本国憲法第二十五条には、「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」と明記されています。まず「健康で」ということについては、温熱環境を含む、計画換気や使用する建材がVOC等を発生させないということ等が、住宅には求められていると思います。この健康に関する部分においても、「シックハウス症候群」という、単眼的な見方をされている方が多いと思います。本来シックハウス症候群とは、化学物質などにより室内の空気が汚染され、建物の中にいるときに出る症状の総称です。その場から離れると症状が治まるとも言われています。従って厚生労働省では、ホルムアルデヒドはじめ、13種類の化学物質に関する室内濃度指針値を決めて、一生涯受けたとしても健康への有害な影響は受けないであろう、という言う判断で設定されています。この指針に従って建設されていれば、シックハウス症候群対策を行っていると見なされています。それでも問題が生じてしまうケースがあります。「化学物質過敏症」の人は、体内に蓄積された化学物質の影響により、非常に微量な化学物質に対しても反応を起こす症状です。自然界に存在する化学物質で発症するなど、住宅内外の様々な場所で症状が起こると言われています。

「シックハウス症候群」とそれへの対策、「化学物質過敏症」への対策とは異なることになります。もちろん、住宅を建設する企業は「シックハウス症候群」へは対策して当然です。しかし、それだけでは「化学物質過敏症」の方へは、十分ではないかもしれません。耐震を含む、安全という基準はどこにあり、何を基準にしているのかということを知っておくことが重要です。

住宅と学校/病院、消防署/警察の建物の使用目的

小さな窓で外とのつながりが無いリビング
大きな窓で開放的なリビング

使用目的によって、守るべき耐震等級の最低基準があります。耐震等級2を基準としている、学校と病院の共通点はなにでしょうか。「弱者を守る」ということと、「建物内に居る人数が多い」、「一時的に過ごす場所」ということです。小学生や病気の方々が、多く集まっているため、すばやく避難するにも難儀しますから、より安全な建物をというのが耐震等級2の設定した主旨です。また、どちらも一時的に過ごす場所であって、そこで暮らしているわけではありません。

耐震等級3を基準にしている消防署や警察の共通点は、万一の災害時にも社会インフラ機能として、治安維持や災害対応、人命救助などの役割があり、そうした「機能」を優先確保する必要があるためです。一時的な待機のための宿泊機能は双方ともありますが、そこで消防署員も警察署員も、暮らしているわけではありません。

住宅の耐震等級基準は1等級です。就寝中も含む住宅内で過ごす時間は生涯時間の7割を占めると言われています。こんなに長く過ごす住宅の最低守らなければならない耐震等級の基準が等級1というのはなぜなのでしょうか。耐震という単眼だけで見ると低すぎるような気がします。なぜ3等級にしないのかと。ここで、もう一度、日本国憲法第二十五条の条文に戻ってみましょう。「すべての国民は健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。」とあります。この中の「健康」につては、「心身の健康」を指していますので、「心の健康」も含まれます。永く居住するという意味では、住宅は身体の安全と健康、心の健康を生み出す場という機能が重視されます。従って開放的な大きなリビングで、家族と幸せな時を共有し、心豊かな時間を過ごすために、大空間、吹抜、庭にも大開口を設けて外部と一体化させたいなどの要求も大きいと思います。とは言え、住宅としての最低の耐震基準として守りなさいというのが、耐震等級1ということに設定されているということです。

公的な機関の建物とは異なり、住宅は個人の住居ですから、住居費や建設費は個人の負担ということになりますから、開放的で丈夫にもすることは現在の建築技術で出来ないことは無いと言っても良いのですが、それと引き換えに建設コストが増大します。出せる資金の限界があるということになります。特に住宅を建設される主な年齢層は30才台半ばくらいの年代層ですから、まだ収入もそう多くはありません。そういう条件の中で、耐震性能という安全マージンをどこに設定されますか、ということが耐震等級の選択の仕方ということになり、建築主と設計、建設側と協議することになります。もちろん、設計側、建設側の耐震性能に対する考え方、捉え方の、こうあるべきというポリシーもあると思います。

住宅の使用期間中(50年間と想定)に、80%程度の確率で、数度は起こることが想定されている地震動レベル、震度4~5程度の地震を「中地震」として想定して、どこまでの安全性(軽微な被害〈主要機能確保〉~無被害に抑える)を見込んだ住宅とするのか。使用期間中に一度は起こるかもしれない発生率10%程度の地震動レベル、震度6程度の地震を「大地震」として想定して、どこまでの安全性(中破〈人命保護〉~小破〈限定機能確保〉~軽微な被害〈主要機能確保〉~無被害に抑える)を見込んだ住宅とするのか。安全マージンの確保をどこに置くのか。安全マージンをどんどん上げて行けば、建設コストが増すとともに、耐震だけでは不十分で、制震技術も投入する必要があるかもしれません。会社としてこうあるべきという住宅設計/建設側の地震災害に対する、技術的な見解もあると思います。

安全マージンに対する考え方で、もちろん優先されるのは建築主である、お客様の判断であることは言うまでもありませが、安全安心と神経質になり過ぎて、これでもかという安全を追及すると刑務所のような、閉鎖的な空間構成に向うこともなりかねず、よくないと思います。心身ともに、健康で心豊かな文化的な暮らしとの両立というバランスが大切ということです。

木造軸組改良構法+プレウォール・パネル工法

ハウジングラボの木造住宅は、安全マージンを十分に確保した上で、より開放的で、大きな空間を、可能な範囲で自由に空間構成できるように工夫した「木造軸組改良構法(ドリフトピン結合)+プレウォール・パネル工法」を基本としています。

地震力は水平方向と上下方向に大きく2つの力に分けられます。「木造軸組」改良構法(ドリフトピン結合)ですから、主要な構造部材の柱梁に大きな力が加わるように構成されています。住宅は、耐用期間中に予想される地震や風圧に対して、柱梁に応力(抵抗する力)が、十分に生じて抵抗するように設計しています。この応力については、部材ごとのバラツキをなくし、安定して発揮できるように、自然素材である木材を、加工した集成材を柱梁に採用しています。また、柱梁(桁、胴差、土台)の接合部はドリフトピン結合として、接合部の強度を強化しています。これらによって、横架材(梁など)と垂直材(柱)に加わった地震や風圧による外力を、破綻することなく確実に基礎を経由して地盤面に逃がすようにしています。

特に、阪神淡路大震災時のように最初に「ドーン」と来た「縦揺れ」時の上下方向の衝撃で土台と柱、梁と柱がはずれ、住宅の倒壊という惨事につながった建物(ほとんどは老朽化した建物)がありました。これを防ぐためにも、柱梁等の主要な部材の接合部をドリフトピン結合として強化しています。このドリフトピン結合によって、在来工法では避けることが出来なかった、「ほぞ穴」という仕口(部材の接合部分)の大きな断面欠損を無視できる程度まで低減させることでも、さらに強度を増しています。このドリフトピン結合によって、組み合わされた、部材全体で応力を発揮できるようにしています。

水平方向の地震力や風力に対しては、「プレウォール・パネル工法」の耐震断熱パネルが受け持ちます。在来木造軸組み工法の躯体に外側から、構造用合板等を打ち付けた一般的なモノコック構造とは異なり、柱間に構造用合板をはめ込み、真壁構造の形式に構造用合板を組み込んでいるため、一般的なモノコック構造とは異なり、水平力が加わり構造用合板が外側に膨らんで釘が抜ける方向の力を受けて緩んだり、抜け落ちたりすることはありません。そういう意味では安全の上にも安全を重層化した考え方で、航空機の安全設計思想と同じ、フェールセーフ構造です。その安全性については、積雪時を想定したトップヘビー状態で、実大実験を繰り返して、その安全性は実証しています。

また、耐震性能のみに、地震力を負担させるという考えを一歩進めて、地震力そのものを減衰させる制震ダンパーの採用も適切に行います。

耐震と制震はその文字の通り、上部構造体(建物)に加わった地震力に耐え、下部構造体(基礎)にその力を伝えて、地盤面に逃がすという、地震力をそのまま受けて耐え、地盤へ逃がすという考え方です。これに対して制震という考え方は、地震力そのものを減衰させて、建物に大きな力が働かないようにするという考え方です。大開口を多く設ける場合や、吹抜や大空間で構成するようなプランでの制振装置を有効に使うことで建物への負担を軽減させることも安全確保には有効な手段です。

様々な構造、工法があるなかで、比較的軽量で、地盤への負担も少ない「木造軸組改良構法(集成材/ドリフトピン結合)+プレウォール・パネル工法」は、日本の気候風土の中で実績を積んできた在来木造軸組構法を大きく進化させた高性能な木造住宅の躯体システムです。

さらに地球温暖化が進み、スーパー台風の出現が懸念されている昨今では、耐震性能と共に耐風性能も併せ持っています。この2つの脅威に対して有効な躯体システムです。

住宅の長寿命化と性能の維持

長らく日本の住宅の建て替えサイクルは30年間以下のサイクルという時代が続きました。住宅は耐久消費財とは言え、「スクラップandビルド」の代表格のような存在でした。資源小国の日本がこういうことを繰り返していてよいのかという考えは、高度成長期後半からくすぶっていました。それでも海外は石造だが、日本は木造が主流だから、劣化が早いのは致し方ないという考えが、当時は支配的でした。日本はエネルギーをはじめとする天然資源の多くを輸入に頼っている状況は、木造住宅の主原材料である木材資源についても例外ではなく、木材の自給率は3割で、7割を輸入に頼っているのが現状です。木造住宅の長寿命化の技術も進展し、1世代目が30才台で家を建てて、そこに生涯住むとしても70年、子供世代が引き継いでトータル100年間、その次の孫世代にも引き継がれるとしたら130年程度の耐久性は、防水、防蟻、その他の木造技術をもってすれば十分な耐久性を最新の木造躯体は持っています。古い技術で建築された過去の累積の既存建物数があるために、数値的には中々建物寿命が延びていませんが、「木造軸組改良構法(集成材/ドリフトピン結合)+プレウォール・パネル工法」で建築し、適切なメンテナンスを行えば、130~140年間程度は安心安全で快適に暮らすという意味での、充分な寿命を確保できていると推定されています。

従来は単純に木造住宅が、どの程度持つのかという視点でしたが、ここで言う「新しい概念での住宅耐久性」は、耐震性能と断熱気密性能が、新築時の性能だけではなく、経年後にも持続可能かどうかということです。日本列島に居住している限り、大地震や中地震は、何度も繰り返し発生するでしょう。台風も毎年のように襲来し、さらに地球温暖化でその規模は年々大型化し、強さも増すでしょう。そのような環境下にあっても安全安心で快適という性能が維持できてこその価値ある住宅です。

ハウジングラボの「木造軸組改良構法(集成材/ドリフトピン結合)+プレウォール・パネル工法」は、比較的コストを抑えられる木造住宅の範疇で、持続する耐震性能、温熱環境性能を可能にした躯体システムです。

まとめ

先にも記しましたが、日本の木材の受給率は3割程度ですが、逆に国土の7割は森林です。特に戦後大量の植林を行いこれが伐採時期を迎えているのですが、様々な事情から伐採と利用が進んでいません。国も大型建築物に対して、従来技術を根拠に、安全上の理由から木造を禁じてきた従来の考え方を改め、最新の木造建築技術を前提として、木造を奨励する方向へ大きく舵を切りました。これは木造の耐震性の向上をはじめ、防火、耐火に関する技術的な進歩があって、初めて実現してきたことです。

そうは言っても、現状の木造建築物の主力は住宅です。

地震活動期に入った日本列島でも、高い耐震性能で安心して、世代を超えて住み続けられる性能を維持できる技術も確立されました。さらに、LDKを中心とした大空間や、大開口部を介して、屋外へも拡がる伸びやかな空間など、居住性能向上や、暮らし方の多様なバリエーションにも対応できるプランを実現しながらも、耐震性能を確保し、繰り返し発生する地震にも、確実にその性能を発揮させることで、安心安全と心豊かな暮らしの両立も可能になってきました。ハウジングラボの「木造軸組改良構法(集成材/ドリフトピン結合)+プレウォール・パネル工法」は、これらの高い要求を、高いレベルで実現出来る、現実的な最先端木造住宅です。

株式会社ハウジングラボ

代表取締役 一級建築士 松尾俊朗

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